ベルのビビ

映画泥棒

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第11話 帰国

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3日後、逢音は帰国していた。疲れ果てていた。
ロンドンでの2人の死については、ベルのチカラを使い、ダンに罪を背負ってもらうことにした。
家を明け渡すよう瞳美から要求されたダンが怒って瞳美をナイフで脅そうとした時に、止めに入った母親(エミリー)を誤って刺したこと。瞳美は追いかけてくるダン逃れようとして二階から落下したこと。
これらをダンに供述させることで、逢音と父は警察の追及から逃れることができた。
英語でこれを伝えるのに苦労したが、スマホアプリの翻訳機が役に立った。
ダンは警察当局に逮捕された。
問題は父親だった。
逢音は、瞳美のロンドン旅行に同行することになったのだと理解させた。能力はつかっていない。
一切の記憶のない父であったが、自分が実際イギリスにいること。切符を手配したのが自分であることから、逢音の話に納得せざるを得なかった。
もちろん事件については、正気であったため、ダンの供述指示どおりの目撃情報を信じるようベルの力を使った。
それぞれの代償はすべて父からのたわいのない要望(水を飲ませろ、トイレの場所教えろ)
だったので事なきを得た。
ただ、現場に居合わせた2人を簡単にロンドン警察が見逃すはずはなかった。
2日間拘留されたが、結局ダンの自供が信用された為、釈放された。
瞳美の棺とともに帰国した逢音。
日本では大変な騒ぎとなっていた。
泣き崩れる瞳美の両親の姿を見るのはつらかった。ただ、両親は逢音と父親が瞳美のせいで事件に巻き込まれたと思っており、2人に対して同情的だったのには救われた。
瞳美の葬儀が終わった夜、逢音はひとり自室にいた。
目の前には3つの道具。ベル、黒メガネ、香水のビンが並んでいる。
逢音は香水のビンを手に取った。ビンのそこに書いてある文字を呼んだ。
「Smell NeNe!」
ネネ「へーい。新しいご主人さまだな。」
逢音「聞きたいことがある。香水がなくなったら、もう能力は使えないの」
ネネ「いや、能力はこのビンにあるんだ。これに水をいれれば、私のチカラで水は魔力を持つんだよ。」
逢音「なるほどね」
次に逢音は黒メガネを手に取った。この呼び出し方は分かっていいる。
「Vision GaGa!」
ガガ「逢音、大変だったな。お!ネネもいるのか」
逢音「聞きたいことがある。もし私がこのメガネを壊したら…再生不能なくらいにバラバラにしたらお前も消えるの?」
ガガ「いや。ビビから聞かなかったか?われら五感の神は、道具が壊れれば、ほかの道具に住処を変えるんだ。持ち主もリセットされる」
逢音「じゃあ、全部五感の道具を全部集めて破壊しても、五感の神を滅ぼすことはできないのね」
ガガ「そういうことだ」
逢音はベルを取り出した。
「Hearing BiBi」
ビビ「そういうことだ。だから壊すなんてもってのほかだ」
逢音「でも、私は瞳美との約束を果たさねばならない」
ビビ「しったこっちゃねーよ…といいたいところだが同情はするよ。できもしないことを一生背負って生きていくんだからな」
逢音「ガガ、あなたは瞳美から何か聞いてないの?」
ガガ「五感の神全部を集めることは知っていたよ。でも全部の神を滅ぼすことは逢音との会話で初めて知ったよ。ビビった」
ビビ「気安く呼ぶな」
ガガ「お前のことじゃない」
逢音「五感すべてを集めれば、全知全能の神を操れるのよね。そういったわよね、ビビ?」
ビビ「ん…ああ、そんなこと言ったかな」
逢音「そうすれば、全て葬り去ることもできるんじゃないかしら…」
ビビ「……」
ガガ「……」
ネネ「……」
逢音「とにかく疲れたわ。みんな今日はもうおやすみー」
ビビ、ガガ、ネネ「おやすみなさあーい」
逢音は深い眠りについた。
逢音が寝息を立て始めた時のこと。
ビビ「ガガ、ネネ、話し合おうぜ」
ガガ「おう」
ネネ「あい」
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