1 / 31
第1話 黒の女神
しおりを挟む
『高嶺の花』
遠くから見れるだけで。
──自分の手には、納められないもの。
勝手に憧れられるだけで。
──自分には、ほど遠いもの。
◆◆◆
校舎の廊下から、鹿児島特有の桜島からの噴煙が見える、2060年7月中旬
そんな見慣れた普遍的な景色を見ながらトイレから帰っている途中、中庭から男女の声が聞こえた
「お、おれ……柳田 澪さん。あなたのことが好きです! 付き合ってください!!」
「ごめんなさい、私には、一生を共にする人がいるんです……すいません…」
「そ、そうですか、ははっ……柳田さんの幸せをいのっています」
「ありがとうございます、そちらこそ、一生を共にする、愛人が見つかるといいですね」
ふられた少年は俯きながら、辿々しい足取りで、校舎の中へと入って行った。
振られて、相当ショックだったんだろうな―、まぁ、おれには関係ないけど
柳田澪
6月の終盤に突如、先生達からの連絡もなく転校生として、おれの学校に来た。
なぜ、こんな中途半端な時に転校してきたんだろうと、多分全員思ったんだが……
人間離れした肌の白さに、全国の女性が羨ましがるような、艶がある、美しい漆黒の黒髪で、癖つない綺麗なロングヘアー、瞳の色は、淡い青色で、その青色は 、氷で一面を覆われた湖のように澄んでいる、そんな瞳には、穏やかで冷たさを感じさせながらも、どこか優しさげな温もりも秘めていて、見つめられると心が奪われそうになるを思わせるような神秘的な輝きを放っている。この瞳の色は彼女の存在を一層際立たせ、黒髪とのコントラストが、圧倒的な美しさを引き立てる。
これらの特徴のせいで、学校でもいい意味で少し浮いた存在であり、その美しさとオーラは誰もが認める特別なものだ。そして、俺が通う桜島高校では、黒の女神――そう呼ばれている。
◆◆◆
「おまえら、どうせ出席番号順だと思うだろから、今回は珍しく、逆から行こうと思う
別にどうでもよくね、大事なのは点数なんだ
おれは答案返却の順番なんて、心底どうでもいいと思いながら、外の風景を見たいた
「柊」
「はい」
おれの心拍数はきもいことになっていつだろ、それもそのはず、この国語の点数で課金できるかできないかが決まるから
「おい蒼、まだ見るなよ」
「はいはい」
柊蒼は高校に入って一番最初にできた友人、島津康太郎とテストの点数で賭けていた
内容は、事前にテストの予想点を書き、予想点が実際の点数とのプラマイの値が大きい方が何か奢る、というのだ
ごめんよ、康太郎、おれは推しをお迎えしなければならないんだ
この勝負、なんとしてでも勝たなければならない——不正をしてでもね
おれはこっそりと、答案用紙を持ち上げ、点数を見た。
68
ラッキー、不正しなくても良かったじゃん
おれは消しゴムを音が立たないようにファスナーを開け、筆箱に直した
てか、普通に400いって嬉しいな
おれは不正をしてようとしていると思われないように、適当に考え事をしているように見せ、康太郎の答案を待った
「蒼、いくぞ」
「いいだろう」
康太郎の点数は…92……まぁ、いつも通り、大差で負けた
「相変わらず、文系科目クソ雑魚だな」
「普通に傷つくからやめろ」
「ごめんごめん…で、プラマイ何点だ」
「ふ、ふ、ふははははぁ、ごめんなぁ―、康太郎……おれの勝ちのようだ」
「なん…だと」
おれは、引き出しの中から、クリアファイルを取り出し、そこから、自分の予想点を書いた紙を出した
「この紙を見るが良い…おれの誤差は、数学のマイナス2、化学の0、社会のプラス4、国語の0、英語のマイナス10…よって、誤差16点、康太郎の誤差は国語のせいでプラス2点になり、誤差12……よって、おれの勝ちが証明された」
「……参りました…1500円でいいよな?」
「いいよ」
無事、賭け事にも勝ち、400点も超えれたので、気分が高くなりながら、おれは帰ろうとした。
しかし、神様は、おれを面倒事に付き合わせたいらしい
午後2:50、体育館裏に来てください
いらねー、まじでいらん、せっかくのイベランの時間がぁ―
おれは、気分が下がったが、おれはカス男では無いので、そのまま下校せず待った、勇気を出してくれた、この書き出し人に失礼だからな
まぁ、その告白の答えは既に確定しているんだけど…てか、これ以外の言葉を言ったら、殺されそうだし
午後2:50
「私は、柊君のことが…」
残りは、好きです、この4文字を聞けば告白が終わるはずだった。
そう、終わるはずだった
何故終わらないのか……答え、目の前の彼女からしたら、今、一番来ないで欲しい、邪魔者が入ってしまったから
―――――――――――――――
あとがき
今日と明日は6時、9時、12時、15時、18時に1話ずつ投稿します
遠くから見れるだけで。
──自分の手には、納められないもの。
勝手に憧れられるだけで。
──自分には、ほど遠いもの。
◆◆◆
校舎の廊下から、鹿児島特有の桜島からの噴煙が見える、2060年7月中旬
そんな見慣れた普遍的な景色を見ながらトイレから帰っている途中、中庭から男女の声が聞こえた
「お、おれ……柳田 澪さん。あなたのことが好きです! 付き合ってください!!」
「ごめんなさい、私には、一生を共にする人がいるんです……すいません…」
「そ、そうですか、ははっ……柳田さんの幸せをいのっています」
「ありがとうございます、そちらこそ、一生を共にする、愛人が見つかるといいですね」
ふられた少年は俯きながら、辿々しい足取りで、校舎の中へと入って行った。
振られて、相当ショックだったんだろうな―、まぁ、おれには関係ないけど
柳田澪
6月の終盤に突如、先生達からの連絡もなく転校生として、おれの学校に来た。
なぜ、こんな中途半端な時に転校してきたんだろうと、多分全員思ったんだが……
人間離れした肌の白さに、全国の女性が羨ましがるような、艶がある、美しい漆黒の黒髪で、癖つない綺麗なロングヘアー、瞳の色は、淡い青色で、その青色は 、氷で一面を覆われた湖のように澄んでいる、そんな瞳には、穏やかで冷たさを感じさせながらも、どこか優しさげな温もりも秘めていて、見つめられると心が奪われそうになるを思わせるような神秘的な輝きを放っている。この瞳の色は彼女の存在を一層際立たせ、黒髪とのコントラストが、圧倒的な美しさを引き立てる。
これらの特徴のせいで、学校でもいい意味で少し浮いた存在であり、その美しさとオーラは誰もが認める特別なものだ。そして、俺が通う桜島高校では、黒の女神――そう呼ばれている。
◆◆◆
「おまえら、どうせ出席番号順だと思うだろから、今回は珍しく、逆から行こうと思う
別にどうでもよくね、大事なのは点数なんだ
おれは答案返却の順番なんて、心底どうでもいいと思いながら、外の風景を見たいた
「柊」
「はい」
おれの心拍数はきもいことになっていつだろ、それもそのはず、この国語の点数で課金できるかできないかが決まるから
「おい蒼、まだ見るなよ」
「はいはい」
柊蒼は高校に入って一番最初にできた友人、島津康太郎とテストの点数で賭けていた
内容は、事前にテストの予想点を書き、予想点が実際の点数とのプラマイの値が大きい方が何か奢る、というのだ
ごめんよ、康太郎、おれは推しをお迎えしなければならないんだ
この勝負、なんとしてでも勝たなければならない——不正をしてでもね
おれはこっそりと、答案用紙を持ち上げ、点数を見た。
68
ラッキー、不正しなくても良かったじゃん
おれは消しゴムを音が立たないようにファスナーを開け、筆箱に直した
てか、普通に400いって嬉しいな
おれは不正をしてようとしていると思われないように、適当に考え事をしているように見せ、康太郎の答案を待った
「蒼、いくぞ」
「いいだろう」
康太郎の点数は…92……まぁ、いつも通り、大差で負けた
「相変わらず、文系科目クソ雑魚だな」
「普通に傷つくからやめろ」
「ごめんごめん…で、プラマイ何点だ」
「ふ、ふ、ふははははぁ、ごめんなぁ―、康太郎……おれの勝ちのようだ」
「なん…だと」
おれは、引き出しの中から、クリアファイルを取り出し、そこから、自分の予想点を書いた紙を出した
「この紙を見るが良い…おれの誤差は、数学のマイナス2、化学の0、社会のプラス4、国語の0、英語のマイナス10…よって、誤差16点、康太郎の誤差は国語のせいでプラス2点になり、誤差12……よって、おれの勝ちが証明された」
「……参りました…1500円でいいよな?」
「いいよ」
無事、賭け事にも勝ち、400点も超えれたので、気分が高くなりながら、おれは帰ろうとした。
しかし、神様は、おれを面倒事に付き合わせたいらしい
午後2:50、体育館裏に来てください
いらねー、まじでいらん、せっかくのイベランの時間がぁ―
おれは、気分が下がったが、おれはカス男では無いので、そのまま下校せず待った、勇気を出してくれた、この書き出し人に失礼だからな
まぁ、その告白の答えは既に確定しているんだけど…てか、これ以外の言葉を言ったら、殺されそうだし
午後2:50
「私は、柊君のことが…」
残りは、好きです、この4文字を聞けば告白が終わるはずだった。
そう、終わるはずだった
何故終わらないのか……答え、目の前の彼女からしたら、今、一番来ないで欲しい、邪魔者が入ってしまったから
―――――――――――――――
あとがき
今日と明日は6時、9時、12時、15時、18時に1話ずつ投稿します
0
お気に入りに追加
0
あなたにおすすめの小説

会社の上司の妻との禁断の関係に溺れた男の物語
六角
恋愛
日本の大都市で働くサラリーマンが、偶然出会った上司の妻に一目惚れしてしまう。彼女に強く引き寄せられるように、彼女との禁断の関係に溺れていく。しかし、会社に知られてしまい、別れを余儀なくされる。彼女との別れに苦しみ、彼女を忘れることができずにいる。彼女との関係は、運命的なものであり、彼女との愛は一生忘れることができない。

如月さんは なびかない。~片想い中のクラスで一番の美少女から、急に何故か告白された件~
八木崎(やぎさき)
恋愛
「ねぇ……私と、付き合って」
ある日、クラスで一番可愛い女子生徒である如月心奏に唐突に告白をされ、彼女と付き合う事になった同じクラスの平凡な高校生男子、立花蓮。
蓮は初めて出来た彼女の存在に浮かれる―――なんて事は無く、心奏から思いも寄らない頼み事をされて、それを受ける事になるのであった。
これは不器用で未熟な2人が成長をしていく物語である。彼ら彼女らの歩む物語を是非ともご覧ください。
一緒にいたい、でも近づきたくない―――臆病で内向的な少年と、偏屈で変わり者な少女との恋愛模様を描く、そんな青春物語です。

気が合わない許嫁同士だったはずなのに
結城芙由奈@コミカライズ発売中
恋愛
【喧嘩ばかりの許嫁同士がとった最終手段は……?】
子爵令嬢アメリア・ホワイトと同じく子爵令息ニコル・ブラウンは両家が決めた許嫁同士。互いに二十歳になった暁には結婚することが義務付けられていたのだが、この二人会えば喧嘩ばかりだった。そこでこの状況を打開すべく、アメリアはある行動を取ることに……
*他サイトでも投稿中
* 前後編のショートストーリーです
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。


甘すぎるドクターへ。どうか手加減して下さい。
海咲雪
恋愛
その日、新幹線の隣の席に疲れて寝ている男性がいた。
ただそれだけのはずだったのに……その日、私の世界に甘さが加わった。
「案外、本当に君以外いないかも」
「いいの? こんな可愛いことされたら、本当にもう逃してあげられないけど」
「もう奏葉の許可なしに近づいたりしない。だから……近づく前に奏葉に聞くから、ちゃんと許可を出してね」
そのドクターの甘さは手加減を知らない。
【登場人物】
末永 奏葉[すえなが かなは]・・・25歳。普通の会社員。気を遣い過ぎてしまう性格。
恩田 時哉[おんだ ときや]・・・27歳。医者。奏葉をからかう時もあるのに、甘すぎる?
田代 有我[たしろ ゆうが]・・・25歳。奏葉の同期。テキトーな性格だが、奏葉の変化には鋭い?
【作者に医療知識はありません。恋愛小説として楽しんで頂ければ幸いです!】
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる