婚約者を奪われて前世の記憶を思い出したので色々と何か企みます

Part1 第三章

第三十八話 間違い

　私はエレナを捕まえてまた仕掛けた。この時でも私はエレナに何か仕掛けれるか考えてしまった。ゲームでエレナが言っていた言葉。それは間違いだと修正したらエレナは傷付くだろうか？

「アメリア！今度は何をする気なの！？……って何を！！それを返しなさい！！」

   私はエレナが持っていた“魔剣”を取った。

「エレナ、貴方はもしかしてこれを使えるのは自分だけだと思っている？」

「はっ？そんなの当たり前だわ！資料にも適正外の人間には拒絶反応が出るって！」

「そう。適正外の人間にはね。この剣はマルティネス家の血筋が流れている人間以外に拒絶反応が起こるのよ。よってーー私も使えるのよ」

　エレナはとても絶望的な顔をした。その顔は初めて見た顔でいつものニコニコしている笑顔からは想像が出来ない顔だった。

　ゲームでのエレナは途中から魔法が目覚めて、尚且つ精霊が取り憑いていた。だから周りからは「聖女だ」とチヤホヤされていたらしい。そういうことがあってエレナは「私にしか使えない力があるのね」と勘違いが始まったみたいだ。
　なぜ私がマルティネス家の者なら使えることを知っているかと言うとこのゲームの製作者のインタビュー記事に「マルティネス家の血筋を持っている人なら誰でも使える」と書かれていたからだ。見ていてよかったな、と今では凄く思う。

「エレナ。貴方は間違っているわ。それにこの剣で殺すのは許されないことなのよ！だから私はこの剣を使わないわ」

   そう言って“魔剣”を下に置こうとすると“魔剣”から出る黒いオーラが吸い込まれるように上に向かっていった。

「えっ…？……何だろう？」

　暫くするとそこにあった“魔剣”はゲームで見た“聖剣”に変わっていた。

「聖女様のタンジョウダ！オイワイヲ、シナイト、ナラナイ！」

　今まで黙っていた精霊が話し始めた。

「そこにいるバカ！私が聖女よ！」

「……ダレガ、バカ、ダッテ？」

　精霊が声のトーンを低くしていて、とても怒っているように見えた。すると精霊はエレナに向かって魔法を放った。エレナが気絶をしたら今度は今までどこに行っていたのか分からなかったヴィヴィが現れてエレナに転移魔法を使った。

「ヴィヴィ…？エレナをどこに送ったの？」

「エッヘン！負け犬は負け犬らしく豚小屋に送らせて頂きました！」

　負け犬らしく豚小屋に送るってどういうこと…？

「……はっ！それよりもノアの所に！」

　私はノアの方へと走り始めた。