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10度:抑えきれない欲求
38話
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「いつでもいいので、もらって下さい…」
結婚を急かしていると思われたかもしれない。急かしているつもりはないが、こういう会話を繰り広げていると、よりリアルに感じた。あながち私もそう遠い話ではないのだと…。
「逆に俺でいいですか?って思うくらい、今すぐに欲しいです」
そんなのこっちの台詞だ。慧くんのような素敵な男性と、私が釣り合っているとは思っていない。
寧ろ逆だ。私なんかでいいのかと思ってしまうこともある。
それでも彼が傍に居てくれるから、私はあまり気にしないようにしている。
大切なのは彼の気持ちだから。私は彼の気持ちを大切にしたい。
「それは私の台詞だよ。私でいいの?」
ズルい私は、ズルい聞き方しかできない。
素直に嬉しいって言えたらいいのに…。
「もちろん、京香さんがいいです」
彼は私の欲しい言葉をちゃんとまっすぐに伝えてくれる。
そのまっすぐな言葉にいつも心が潤う。彼にちゃんと愛されていると実感することができて。
「これから先もずっと京香さんだけです」
そんなことを言われてしまえば、私はもう何も言えなくなってしまう。嬉し過ぎて言葉を失ってしまうのであった。
「待っていて下さいね。必ずお迎えに参りますので」
彼はちゃんと私との将来を考えてくれている。それだけで幸せで。私はいつかくる未来に期待した。
「うん。待ってるね」
それが近い将来なのか、はたまたまだ少し遠い未来なのか…。それは分からないが、その時がくるということが分かった。
私にはないと思っていた未来。その未来があるだけで心から安心した。
「ありがとうございます。あまり長くお待たせする気はございませんので、近い将来のつもりでいてください。その前に俺がもっと京香さんを支えられるように頑張らないとですけどね」
それはきっと金銭的な面を指しているのであろう。私は気にしないが、慧くんは気にしているみたいだ。
私の方が歳上で、先輩だから、お給料の面でも貯金の面でも、慧くんよりお金があるのは仕方がない。
でも慧くんは一人の男性として、たった一人の大切な女性を支えるほどの収入と貯金という面でお金がないことに対して、責任を感じているんだと思う。
そんなこと気にしないで…と言えたら簡単だが、それはあまりにも無神経すぎる。慧くんが無理なく頑張ってくれるのが一番嬉しい。
「私も頑張るね。だからお互いに無理なく頑張ろ」
慧くんが欲しい言葉を言えたかなんて分からない。もしかしたら傷つけてしまったかもしれない。
それでも私は、二人で一緒に頑張りたいと思った。これからも長くずっと一緒に居るためには、二人で手を繋いで歩いていくことが大事だから。
「そうですね。一緒に頑張りましょう」
私の言葉がまっすぐ慧くんに届いたみたいだ。それだけでもう充分で。今は一旦、将来のことを忘れることにした。今が大事だから。
「さて、今は料理に集中しよっか。早く作って食べよ」
お腹が空いている。もう一刻も早くお腹を満たしたい。
「そうですね。ササッと作っちゃいましょう」
先ほどまでの雰囲気から一転、二人で一緒に共同作業をし、すぐに作り終えた。
一緒に作った料理は美味しくて。気がついたら目の前の料理がなくなっていた。そのくらい美味しかった。
「さて。このままお風呂に入っちゃいましょう。せっかくなので一緒に…」
慧くんが一緒にお風呂に入るのが好きだということが最近分かった。
さすがに今回はたくさん求め合ったので、お風呂ではそういう展開にならないであろうという高を括って、私は了承した。
「いいよ。一緒に入ろっか」
私がそう言った瞬間、とても嬉しそうな表情を浮かべた。私自身はそこまで一緒に入ることに前向きではないが、彼がこんなに喜んでくれるので、その顔が見たくて了承していると言っても過言ではない。
「やった。それじゃ俺、京香さんの分の着替えも用意してきますね」
手ぶらで来てしまったため、私は何も準備していない。本当に申し訳ないことをした。せめてお泊まりの準備をしてから来るべきだった…。あと事前に連絡も。
「お待たせ致しました、はい。これが京香さんの着替えです」
慧くんの寝衣を貸してくれた。さすがに下着までは…。男女ということもあり、下着を貸すことは難しい。それに慧くん家に荷物を置いていくこともないため、替えの下着もない。今回は今着ているのを着回すことにしよう。
「ありがとう。助かります」
寝衣に着替えられるだけマシだ。寝る時くらいは寝やすい格好に着替えたい。
「これぐらいお安い御用です。それじゃ早速、一緒にお風呂へ入りましょう」
「そうだね。そうしよう」
私達は一緒にお風呂に入るために、脱衣所で服を脱ぎ、浴室へと入った。
まずは身体をシャワーで洗い流し、そのまま身体を洗う。交代でそれぞれ自分の身体を洗った。
身体を洗い終えた後は、私はお化粧もしているので、メイクを落とし、洗顔もした。
先に顔も身体も洗い終えている慧くんは、既に湯船に浸かっている。私は慧くんの元へと向かった。
「お邪魔します…」
慧くんの前に腰掛けるように、湯船に浸かる。所謂、バックハグの体勢になった。
肌と肌が触れ合う。なんだか彼の温もりが直に伝わってきて。とても心地良い。安心する。
「京香さんとくっついてると、めちゃくちゃ落ち着きます」
彼も同じことを考えていたみたいで。とても嬉しかった。
好きな人の温もりって、どうしてこんなにも心地が良くて、落ち着くのだろうか。こういう肌の重ね方もある。これならずっと味わっていたいと思ってしまう。
「うん。そうだね。落ち着くね。このままじゃあまりの心地の良さに、出るタイミングを逃して逆上せちゃいそうだね」
そうなる前に、キリの良いところで出ようと思う。二人して逆上せたら、洒落にならない。
「ですね。そろそろ上がりますか」
名残惜しいが、いつまでもお風呂に入ってはいられないので、この辺で出ることにした。
それにお風呂から出ても、彼の温もりを感じることはできる。寧ろお風呂から出た方が、より彼とくっついていられる。
「うん。上がろう。上がったら、そのままベッドでくっついて寝よう」
起きていられるうちは、彼の温もりをまだ感じていたい。少しでも長く彼と触れ合っていたいから。
「もちろんです。京香さんに言われる前から、そうするつもりでいましたから」
今日はなんだかお互いにずっと触れ合っていたいみたいだ。離れることなんてできない。こんなに幸せな感覚を手放せないから。
「本当?それならよかった。早く着替えてベッドでゴロゴロしよう」
私は急いで着替えた。一分一秒でも時間を無駄にしたくなかった。
「そうですね。俺も早く着替えちゃいますね」
二人して慌てて着替えた。一刻も早くベッドで二人でゴロゴロしたいから。
「私はもう着替え終わったよ。だから先にベッドに行くね」
一足先に寝室へお邪魔しようと思い、脱衣所を出ようとしたら、慧くんに腕を掴まれた。
「まだ待ってて下さい。俺も一緒に行きたいです」
そう言われて引き止められてしまうと、待つしかない。私は慧くんに逆らえない。慧くんに甘えられると弱いから。
「仕方ないな。いいよ。なるべく早く着替え終わってね」
私がそう言うと、彼は急いで着替えを再開した。男性なので、女性と違ってすぐに着替えが終わった。
「お待たせしました。早くベッド行きましょう」
また腕を掴まれた。今度は一緒に寝室へと向かう。
「うん。行こっか」
寝室に着くと、明かりを消して、既に眠りの体勢へと入った。今日はこのままもう眠る。少しゴロゴロした後に…。
「今日は嬉しかったです。会いに来てくれて。会えないと思っていたので」
優希とどのくらいの時間、会っているか分からなかったので、今日は会えるか分からなかった。
結果、優希とお互いの彼氏の話をしていたら、会いたくなってしまい、慧くん家まで会いに来てしまったというわけだが。
「なんか無性に会いたくなっちゃって。嬉しいって言ってもらえて、私も嬉しい」
慧くんがそっと頭を撫でてくれた。そして同時に、正面から抱きしめられた。
「はい。これからも気軽に会いに来て下さいね」
そう言ってもらえると助かる。これからは気兼ねなく会いに来ようと思う。
「分かった。会いたい時に会いに来るね」
「はい。いつでもお待ちしております」
彼と一緒に過ごさない時間を経験し、改めて彼と一緒に過ごす時間の大切さを知った。
こうやってダラダラ一緒に過ごせるだけでも幸せで。これからもこうしてずっと一緒に過ごせたらいいなと思った。
改めて好きな人と触れ合う喜びを知ったのであった…。
結婚を急かしていると思われたかもしれない。急かしているつもりはないが、こういう会話を繰り広げていると、よりリアルに感じた。あながち私もそう遠い話ではないのだと…。
「逆に俺でいいですか?って思うくらい、今すぐに欲しいです」
そんなのこっちの台詞だ。慧くんのような素敵な男性と、私が釣り合っているとは思っていない。
寧ろ逆だ。私なんかでいいのかと思ってしまうこともある。
それでも彼が傍に居てくれるから、私はあまり気にしないようにしている。
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「それは私の台詞だよ。私でいいの?」
ズルい私は、ズルい聞き方しかできない。
素直に嬉しいって言えたらいいのに…。
「もちろん、京香さんがいいです」
彼は私の欲しい言葉をちゃんとまっすぐに伝えてくれる。
そのまっすぐな言葉にいつも心が潤う。彼にちゃんと愛されていると実感することができて。
「これから先もずっと京香さんだけです」
そんなことを言われてしまえば、私はもう何も言えなくなってしまう。嬉し過ぎて言葉を失ってしまうのであった。
「待っていて下さいね。必ずお迎えに参りますので」
彼はちゃんと私との将来を考えてくれている。それだけで幸せで。私はいつかくる未来に期待した。
「うん。待ってるね」
それが近い将来なのか、はたまたまだ少し遠い未来なのか…。それは分からないが、その時がくるということが分かった。
私にはないと思っていた未来。その未来があるだけで心から安心した。
「ありがとうございます。あまり長くお待たせする気はございませんので、近い将来のつもりでいてください。その前に俺がもっと京香さんを支えられるように頑張らないとですけどね」
それはきっと金銭的な面を指しているのであろう。私は気にしないが、慧くんは気にしているみたいだ。
私の方が歳上で、先輩だから、お給料の面でも貯金の面でも、慧くんよりお金があるのは仕方がない。
でも慧くんは一人の男性として、たった一人の大切な女性を支えるほどの収入と貯金という面でお金がないことに対して、責任を感じているんだと思う。
そんなこと気にしないで…と言えたら簡単だが、それはあまりにも無神経すぎる。慧くんが無理なく頑張ってくれるのが一番嬉しい。
「私も頑張るね。だからお互いに無理なく頑張ろ」
慧くんが欲しい言葉を言えたかなんて分からない。もしかしたら傷つけてしまったかもしれない。
それでも私は、二人で一緒に頑張りたいと思った。これからも長くずっと一緒に居るためには、二人で手を繋いで歩いていくことが大事だから。
「そうですね。一緒に頑張りましょう」
私の言葉がまっすぐ慧くんに届いたみたいだ。それだけでもう充分で。今は一旦、将来のことを忘れることにした。今が大事だから。
「さて、今は料理に集中しよっか。早く作って食べよ」
お腹が空いている。もう一刻も早くお腹を満たしたい。
「そうですね。ササッと作っちゃいましょう」
先ほどまでの雰囲気から一転、二人で一緒に共同作業をし、すぐに作り終えた。
一緒に作った料理は美味しくて。気がついたら目の前の料理がなくなっていた。そのくらい美味しかった。
「さて。このままお風呂に入っちゃいましょう。せっかくなので一緒に…」
慧くんが一緒にお風呂に入るのが好きだということが最近分かった。
さすがに今回はたくさん求め合ったので、お風呂ではそういう展開にならないであろうという高を括って、私は了承した。
「いいよ。一緒に入ろっか」
私がそう言った瞬間、とても嬉しそうな表情を浮かべた。私自身はそこまで一緒に入ることに前向きではないが、彼がこんなに喜んでくれるので、その顔が見たくて了承していると言っても過言ではない。
「やった。それじゃ俺、京香さんの分の着替えも用意してきますね」
手ぶらで来てしまったため、私は何も準備していない。本当に申し訳ないことをした。せめてお泊まりの準備をしてから来るべきだった…。あと事前に連絡も。
「お待たせ致しました、はい。これが京香さんの着替えです」
慧くんの寝衣を貸してくれた。さすがに下着までは…。男女ということもあり、下着を貸すことは難しい。それに慧くん家に荷物を置いていくこともないため、替えの下着もない。今回は今着ているのを着回すことにしよう。
「ありがとう。助かります」
寝衣に着替えられるだけマシだ。寝る時くらいは寝やすい格好に着替えたい。
「これぐらいお安い御用です。それじゃ早速、一緒にお風呂へ入りましょう」
「そうだね。そうしよう」
私達は一緒にお風呂に入るために、脱衣所で服を脱ぎ、浴室へと入った。
まずは身体をシャワーで洗い流し、そのまま身体を洗う。交代でそれぞれ自分の身体を洗った。
身体を洗い終えた後は、私はお化粧もしているので、メイクを落とし、洗顔もした。
先に顔も身体も洗い終えている慧くんは、既に湯船に浸かっている。私は慧くんの元へと向かった。
「お邪魔します…」
慧くんの前に腰掛けるように、湯船に浸かる。所謂、バックハグの体勢になった。
肌と肌が触れ合う。なんだか彼の温もりが直に伝わってきて。とても心地良い。安心する。
「京香さんとくっついてると、めちゃくちゃ落ち着きます」
彼も同じことを考えていたみたいで。とても嬉しかった。
好きな人の温もりって、どうしてこんなにも心地が良くて、落ち着くのだろうか。こういう肌の重ね方もある。これならずっと味わっていたいと思ってしまう。
「うん。そうだね。落ち着くね。このままじゃあまりの心地の良さに、出るタイミングを逃して逆上せちゃいそうだね」
そうなる前に、キリの良いところで出ようと思う。二人して逆上せたら、洒落にならない。
「ですね。そろそろ上がりますか」
名残惜しいが、いつまでもお風呂に入ってはいられないので、この辺で出ることにした。
それにお風呂から出ても、彼の温もりを感じることはできる。寧ろお風呂から出た方が、より彼とくっついていられる。
「うん。上がろう。上がったら、そのままベッドでくっついて寝よう」
起きていられるうちは、彼の温もりをまだ感じていたい。少しでも長く彼と触れ合っていたいから。
「もちろんです。京香さんに言われる前から、そうするつもりでいましたから」
今日はなんだかお互いにずっと触れ合っていたいみたいだ。離れることなんてできない。こんなに幸せな感覚を手放せないから。
「本当?それならよかった。早く着替えてベッドでゴロゴロしよう」
私は急いで着替えた。一分一秒でも時間を無駄にしたくなかった。
「そうですね。俺も早く着替えちゃいますね」
二人して慌てて着替えた。一刻も早くベッドで二人でゴロゴロしたいから。
「私はもう着替え終わったよ。だから先にベッドに行くね」
一足先に寝室へお邪魔しようと思い、脱衣所を出ようとしたら、慧くんに腕を掴まれた。
「まだ待ってて下さい。俺も一緒に行きたいです」
そう言われて引き止められてしまうと、待つしかない。私は慧くんに逆らえない。慧くんに甘えられると弱いから。
「仕方ないな。いいよ。なるべく早く着替え終わってね」
私がそう言うと、彼は急いで着替えを再開した。男性なので、女性と違ってすぐに着替えが終わった。
「お待たせしました。早くベッド行きましょう」
また腕を掴まれた。今度は一緒に寝室へと向かう。
「うん。行こっか」
寝室に着くと、明かりを消して、既に眠りの体勢へと入った。今日はこのままもう眠る。少しゴロゴロした後に…。
「今日は嬉しかったです。会いに来てくれて。会えないと思っていたので」
優希とどのくらいの時間、会っているか分からなかったので、今日は会えるか分からなかった。
結果、優希とお互いの彼氏の話をしていたら、会いたくなってしまい、慧くん家まで会いに来てしまったというわけだが。
「なんか無性に会いたくなっちゃって。嬉しいって言ってもらえて、私も嬉しい」
慧くんがそっと頭を撫でてくれた。そして同時に、正面から抱きしめられた。
「はい。これからも気軽に会いに来て下さいね」
そう言ってもらえると助かる。これからは気兼ねなく会いに来ようと思う。
「分かった。会いたい時に会いに来るね」
「はい。いつでもお待ちしております」
彼と一緒に過ごさない時間を経験し、改めて彼と一緒に過ごす時間の大切さを知った。
こうやってダラダラ一緒に過ごせるだけでも幸せで。これからもこうしてずっと一緒に過ごせたらいいなと思った。
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