24 / 57
8度:穏やかな時間
24話
しおりを挟む
そんな時はずっと時計を確認してしまう。早く仕事が終わらないかな…と。
待ち遠しいという言葉の意味を、最近初めて知ったような気がする。
慧くんの愛は甘くて。でも重すぎなくて。ちゃんと愛されているなと実感することができる。
この愛は私だけの特別で。他の人に渡したくないし、他の人に譲らない。絶対に。
それぐらい、私の愛は日に日に大きくなっている。どんどん慧くんを好きになっている。
この熱は上昇していくばかりで。冷めることを知らない。
きっと如月くんも心の中で一人、そうなっているのかもしれないと思うと、自分で沈静化しない限りは難しいなと思った。
でも如月くんなら、いつか沈静化できると思う。
早く如月くんと普通の同僚に戻れることを信じた。
*
今日が一番、やっと仕事が終わったと思った。
ルンルン気分を隠せないまま、身支度を始めた。
「お疲れ様でした。お先に失礼します…」
気がついたら、駆け足で歩いていた。
待ち合わせ場所まで向かう道のりが、もっと短ければいいのに…と思ってしまう。
それぐらい今、慧くんに会いたい気持ちが抑えきれないまま、慧くんとの待ち合わせ場所に向かっている最中だった…。
「葉月…」
偶然、如月くんと遭遇した。
もしかしたら、如月くんのことだから、偶然を装った可能性も高い。
それでも今、私に会ったということは、答えは一つしかなかった。
「如月くん…」
「葉月、今、返事が欲しい」
やっぱりそうだった。
私はずっと頭の中で考えていた答えを、伝えることにした。
「ごめんなさい。如月くんの気持ちには応えられません」
はっきりと答えた。如月くんはそれを望んでいると思ったから。
すると、如月くんは優しく微笑んでから、喋り始めた。
「そっか。答えてくれてありがとう。幸せになれよ」
その言葉が嬉しかった。
これでやっとただの同僚に戻れると思った。
「うん、ありがとう。幸せになるね」
私がそう言うと、如月くんは、「またな」と一言だけ残し、その場を去った。
私はそのまま慧くんの元へと向かった。とびっきりの笑顔で…。
「慧くん、お待たせ」
先に待ち合わせ場所に着いていた慧くんに声をかけた。
「いえ。そんなに待ってないので大丈夫ですよ」
いつも通り、爽やかな笑顔でそう言われた。
そんな慧くんを見て、さすが慧くんだなと思った。
「…京香さん、嬉しそうですね。何か良いことでもありました?」
慧くんには表情だけで、すぐにバレてしまった。
私は先程起きた出来事を、慧くんに報告した。
「あのね、実はさっき如月くんに会ってね。それでやっと如月くんに答えを伝えることができたの。
これで心置きなく、同僚として接しられるなと思ったら嬉しくて」
如月くんが私を好きだという気持ち自体は嬉しかった。
でも、私が如月くんと同じ好きかどうかは別問題で。
私の気持ちは別の人にあったから、如月くんの気持ちに応えることはできなかった。
なんとなくだけど、最初から如月くんの気持ちに応えられないことを分かった上で、如月くんは告白してきたんだと思う。
告白された段階で、私が慧くんと付き合っていることを知っていたというのもあるが、それだけではなく、私が一切、如月くんを恋愛対象として見ていないことを、如月くんは分かっていたように思う。
これは完全に推測なので、本当のところは分からないが。
ただなんとなく如月くんなら、そんな気がした。
「そう…だったんですね。京香さんが嬉しそうでなによりです」
慧くんもどこか嬉しそうだ。
私が嬉しそうなのもあると思うが、慧くん自身も不安要素が取り除けたことで、心から安心できるようになったのが、一番大きな要因であろう。
やっとこの問題が解決できて、私も心から安心している。
もうこれで心置きなく、慧くんとイチャイチャできる。それも嬉しかった。
「うん、そうだね。…慧くん、早くお家へ帰ろう」
今すぐにでも、慧くんとイチャイチャしたい。その気持ちで胸がいっぱいだ。
「はい。早く帰りましょうか」
自然と互いの手が触れ合い、手を繋ぎ合った。
「…今夜は覚悟しておいて下さいね」
列車を待っている間に、耳元で甘く囁かれた。
どんな甘い夜が待っているのか、今からドキドキしているのであった…。
待ち遠しいという言葉の意味を、最近初めて知ったような気がする。
慧くんの愛は甘くて。でも重すぎなくて。ちゃんと愛されているなと実感することができる。
この愛は私だけの特別で。他の人に渡したくないし、他の人に譲らない。絶対に。
それぐらい、私の愛は日に日に大きくなっている。どんどん慧くんを好きになっている。
この熱は上昇していくばかりで。冷めることを知らない。
きっと如月くんも心の中で一人、そうなっているのかもしれないと思うと、自分で沈静化しない限りは難しいなと思った。
でも如月くんなら、いつか沈静化できると思う。
早く如月くんと普通の同僚に戻れることを信じた。
*
今日が一番、やっと仕事が終わったと思った。
ルンルン気分を隠せないまま、身支度を始めた。
「お疲れ様でした。お先に失礼します…」
気がついたら、駆け足で歩いていた。
待ち合わせ場所まで向かう道のりが、もっと短ければいいのに…と思ってしまう。
それぐらい今、慧くんに会いたい気持ちが抑えきれないまま、慧くんとの待ち合わせ場所に向かっている最中だった…。
「葉月…」
偶然、如月くんと遭遇した。
もしかしたら、如月くんのことだから、偶然を装った可能性も高い。
それでも今、私に会ったということは、答えは一つしかなかった。
「如月くん…」
「葉月、今、返事が欲しい」
やっぱりそうだった。
私はずっと頭の中で考えていた答えを、伝えることにした。
「ごめんなさい。如月くんの気持ちには応えられません」
はっきりと答えた。如月くんはそれを望んでいると思ったから。
すると、如月くんは優しく微笑んでから、喋り始めた。
「そっか。答えてくれてありがとう。幸せになれよ」
その言葉が嬉しかった。
これでやっとただの同僚に戻れると思った。
「うん、ありがとう。幸せになるね」
私がそう言うと、如月くんは、「またな」と一言だけ残し、その場を去った。
私はそのまま慧くんの元へと向かった。とびっきりの笑顔で…。
「慧くん、お待たせ」
先に待ち合わせ場所に着いていた慧くんに声をかけた。
「いえ。そんなに待ってないので大丈夫ですよ」
いつも通り、爽やかな笑顔でそう言われた。
そんな慧くんを見て、さすが慧くんだなと思った。
「…京香さん、嬉しそうですね。何か良いことでもありました?」
慧くんには表情だけで、すぐにバレてしまった。
私は先程起きた出来事を、慧くんに報告した。
「あのね、実はさっき如月くんに会ってね。それでやっと如月くんに答えを伝えることができたの。
これで心置きなく、同僚として接しられるなと思ったら嬉しくて」
如月くんが私を好きだという気持ち自体は嬉しかった。
でも、私が如月くんと同じ好きかどうかは別問題で。
私の気持ちは別の人にあったから、如月くんの気持ちに応えることはできなかった。
なんとなくだけど、最初から如月くんの気持ちに応えられないことを分かった上で、如月くんは告白してきたんだと思う。
告白された段階で、私が慧くんと付き合っていることを知っていたというのもあるが、それだけではなく、私が一切、如月くんを恋愛対象として見ていないことを、如月くんは分かっていたように思う。
これは完全に推測なので、本当のところは分からないが。
ただなんとなく如月くんなら、そんな気がした。
「そう…だったんですね。京香さんが嬉しそうでなによりです」
慧くんもどこか嬉しそうだ。
私が嬉しそうなのもあると思うが、慧くん自身も不安要素が取り除けたことで、心から安心できるようになったのが、一番大きな要因であろう。
やっとこの問題が解決できて、私も心から安心している。
もうこれで心置きなく、慧くんとイチャイチャできる。それも嬉しかった。
「うん、そうだね。…慧くん、早くお家へ帰ろう」
今すぐにでも、慧くんとイチャイチャしたい。その気持ちで胸がいっぱいだ。
「はい。早く帰りましょうか」
自然と互いの手が触れ合い、手を繋ぎ合った。
「…今夜は覚悟しておいて下さいね」
列車を待っている間に、耳元で甘く囁かれた。
どんな甘い夜が待っているのか、今からドキドキしているのであった…。
0
お気に入りに追加
16
あなたにおすすめの小説
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。
最後の恋って、なに?~Happy wedding?~
氷萌
恋愛
彼との未来を本気で考えていた―――
ブライダルプランナーとして日々仕事に追われていた“棗 瑠歌”は、2年という年月を共に過ごしてきた相手“鷹松 凪”から、ある日突然フラれてしまう。
それは同棲の話が出ていた矢先だった。
凪が傍にいて当たり前の生活になっていた結果、結婚の機を完全に逃してしまい更に彼は、同じ職場の年下と付き合った事を知りショックと動揺が大きくなった。
ヤケ酒に1人酔い潰れていたところ、偶然居合わせた上司で支配人“桐葉李月”に介抱されるのだが。
実は彼、厄介な事に大の女嫌いで――
元彼を忘れたいアラサー女と、女嫌いを克服したい35歳の拗らせ男が織りなす、恋か戦いの物語―――――――
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?
すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。
「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」
家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。
「私は母親じゃない・・・!」
そう言って家を飛び出した。
夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。
「何があった?送ってく。」
それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。
「俺と・・・結婚してほしい。」
「!?」
突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。
かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。
そんな彼に、私は想いを返したい。
「俺に・・・全てを見せて。」
苦手意識の強かった『営み』。
彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。
「いあぁぁぁっ・・!!」
「感じやすいんだな・・・。」
※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。
※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。
※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。
※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。
それではお楽しみください。すずなり。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
明智さんちの旦那さんたちR
明智 颯茄
恋愛
あの小高い丘の上に建つ大きなお屋敷には、一風変わった夫婦が住んでいる。それは、妻一人に夫十人のいわゆる逆ハーレム婚だ。
奥さんは何かと大変かと思いきやそうではないらしい。旦那さんたちは全員神がかりな美しさを持つイケメンで、奥さんはニヤケ放題らしい。
ほのぼのとしながらも、複数婚が巻き起こすおかしな日常が満載。
*BL描写あり
毎週月曜日と隔週の日曜日お休みします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる