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魔法教師、トラブルを呼ぶ
番外編小話
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「ありがとう悪魔ちゃん」
何でここにいるのよと言いたげな悪魔ちゃんにお礼を言えば引き攣ったような顔をされた。私、君に何かしたっけ?
…隠れた悪魔を探すなんて造作も無い事だ。
陛下の温情のお陰か悪魔ちゃんはピンピンしてる。心なしが、パーティの時より元気がいい。
私と目も合わせてくれないけど。
「ふんっ、何の事だかさっぱり分からないわ」
「そうなんだ。お礼に飴玉でもあげようと思ってだんだけど…「アタシ感謝することね!」」
魔力塊を奪い取って口と中に放り込む。今日は炎の属性。
「ん~~おいしぃ~」
「それはよかった」
「血も涙もない奴と思ってたけど、案外律儀なのね」
「私の大切な相棒の家族を連れ戻してくれたんだもん、お礼くらいする」
私じゃあの子達を連れ戻す事は出来ない。
夢っていうのは繊細なのだ。記憶を覗く事とは訳が違う。
悪魔は悪魔でも、夢に傾倒する悪魔なら夢に潜るなど造作も無い事だろうけど。
私は別空間にいる際は存在は神と同じ。私が干渉すれば夢もまた神域と同じ。
天に近い領域である程、精神体のあの子達に影響を及ぼす可能性があったのだ。
もし成仏でもされたらたまったもんじゃ無い。
「大変ね。カミサマも」
「残念ながら私は神じゃ無いよ。近しいものではあるけど」
「アタシから見れば十分神よ」
「そう?」
万能な力はあれど、全能では無い。
「そう見えるなら、そうなのかなぁ」
案外ヴァルフゴールもアンタレスも私の正体に気がついてるかも。
「にしても不思議ね。あんたの魔力、味がこの前のより微妙に違う」
「ああ、それは属性の系統を変えてるからだよ。今日は炎属性に魔力属性を傾けてみた」
「…聞いた事ないわよそんな事」
ああそうかもね。
じっとりとした視線を受け流して、次は雷にする?と言葉をかける。
「そうね、あんたの魔力酔いそうになるくらい美味しいもの。何でもオールOKよ」
「あ、じゃあ濃度も濃くしてみる?」
「……あんた本当に規格外ね」
魔力が糧の悪魔であっても毒になりかねない私の魔力。
水で薄める様に魔力を練ってたけど、もうちょっと濃くてもいいらしいね。魔力ってお酒とかジュースっぽいのかな?
「アタシはピリッとしたのも好きよ」
なる程。雷はピリ辛なのか。
「そう言えば、悪魔ちゃんはこれからどうするの?」
「帝国に留まるわ。コウテイに教団の内部情報ときな臭い事を報告すれば壊滅に向けて動いてくれるって言ってたから。
アタシも手伝いくらいはできると思ったの」
「へぇ。悪魔が人間の手伝い…人間に縛られてたのに、人間が嫌じゃないの?」
「ニンゲンは嫌いよ、大嫌い。でも、悪魔と居るよりアタシはニンゲンのそばの方が心地が良かったの」
そのせいで捕まえられて、色々利用されたけど…。
やれやれの首を振って、それでもそう言うものだと悪魔は言い切った。
「アタシはね、同胞に悪魔らしくないなんて言われてきたわ。下級悪魔だから、チカラも無い。その上、燃費も悪いの。
悪魔の魔力吸収のスキルは、対象に触れて相手の魔力を奪って自分のものにするんだけど、アタシはそれがどうしても出来なかった」
だから弱って、あっさり人間に捕まった。
黒い蝙蝠の翼がバサリと揺れる。
「馬鹿でしょう?笑ってくれて良いのよ」
「笑わないよ」
私は、悪魔ちゃんがどんな子なのか知らないから、何か言える事は無いけど、こんなに優しい子を笑ったりしない。
優しいのに、人間に辛い目に遭わされて来たのに、それでも人間を助けてくれる優しい子だ。
「魔界じゃ役立たずだけど、こっちじゃ役に立てるの。
アタシ、誰かに必要とされるの結構好きよ」
真っ赤な唇から白い歯が覗いた。
案外、人間より人間らしい悪魔ちゃんだ。
「ねぇあんた、名前は?」
「マユラ。悪魔ちゃんは?」
「____へディよ」
何でここにいるのよと言いたげな悪魔ちゃんにお礼を言えば引き攣ったような顔をされた。私、君に何かしたっけ?
…隠れた悪魔を探すなんて造作も無い事だ。
陛下の温情のお陰か悪魔ちゃんはピンピンしてる。心なしが、パーティの時より元気がいい。
私と目も合わせてくれないけど。
「ふんっ、何の事だかさっぱり分からないわ」
「そうなんだ。お礼に飴玉でもあげようと思ってだんだけど…「アタシ感謝することね!」」
魔力塊を奪い取って口と中に放り込む。今日は炎の属性。
「ん~~おいしぃ~」
「それはよかった」
「血も涙もない奴と思ってたけど、案外律儀なのね」
「私の大切な相棒の家族を連れ戻してくれたんだもん、お礼くらいする」
私じゃあの子達を連れ戻す事は出来ない。
夢っていうのは繊細なのだ。記憶を覗く事とは訳が違う。
悪魔は悪魔でも、夢に傾倒する悪魔なら夢に潜るなど造作も無い事だろうけど。
私は別空間にいる際は存在は神と同じ。私が干渉すれば夢もまた神域と同じ。
天に近い領域である程、精神体のあの子達に影響を及ぼす可能性があったのだ。
もし成仏でもされたらたまったもんじゃ無い。
「大変ね。カミサマも」
「残念ながら私は神じゃ無いよ。近しいものではあるけど」
「アタシから見れば十分神よ」
「そう?」
万能な力はあれど、全能では無い。
「そう見えるなら、そうなのかなぁ」
案外ヴァルフゴールもアンタレスも私の正体に気がついてるかも。
「にしても不思議ね。あんたの魔力、味がこの前のより微妙に違う」
「ああ、それは属性の系統を変えてるからだよ。今日は炎属性に魔力属性を傾けてみた」
「…聞いた事ないわよそんな事」
ああそうかもね。
じっとりとした視線を受け流して、次は雷にする?と言葉をかける。
「そうね、あんたの魔力酔いそうになるくらい美味しいもの。何でもオールOKよ」
「あ、じゃあ濃度も濃くしてみる?」
「……あんた本当に規格外ね」
魔力が糧の悪魔であっても毒になりかねない私の魔力。
水で薄める様に魔力を練ってたけど、もうちょっと濃くてもいいらしいね。魔力ってお酒とかジュースっぽいのかな?
「アタシはピリッとしたのも好きよ」
なる程。雷はピリ辛なのか。
「そう言えば、悪魔ちゃんはこれからどうするの?」
「帝国に留まるわ。コウテイに教団の内部情報ときな臭い事を報告すれば壊滅に向けて動いてくれるって言ってたから。
アタシも手伝いくらいはできると思ったの」
「へぇ。悪魔が人間の手伝い…人間に縛られてたのに、人間が嫌じゃないの?」
「ニンゲンは嫌いよ、大嫌い。でも、悪魔と居るよりアタシはニンゲンのそばの方が心地が良かったの」
そのせいで捕まえられて、色々利用されたけど…。
やれやれの首を振って、それでもそう言うものだと悪魔は言い切った。
「アタシはね、同胞に悪魔らしくないなんて言われてきたわ。下級悪魔だから、チカラも無い。その上、燃費も悪いの。
悪魔の魔力吸収のスキルは、対象に触れて相手の魔力を奪って自分のものにするんだけど、アタシはそれがどうしても出来なかった」
だから弱って、あっさり人間に捕まった。
黒い蝙蝠の翼がバサリと揺れる。
「馬鹿でしょう?笑ってくれて良いのよ」
「笑わないよ」
私は、悪魔ちゃんがどんな子なのか知らないから、何か言える事は無いけど、こんなに優しい子を笑ったりしない。
優しいのに、人間に辛い目に遭わされて来たのに、それでも人間を助けてくれる優しい子だ。
「魔界じゃ役立たずだけど、こっちじゃ役に立てるの。
アタシ、誰かに必要とされるの結構好きよ」
真っ赤な唇から白い歯が覗いた。
案外、人間より人間らしい悪魔ちゃんだ。
「ねぇあんた、名前は?」
「マユラ。悪魔ちゃんは?」
「____へディよ」
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