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転生美少女、先生をしようと思う
31話
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魔法とは?
体内の魔力を操作し、魔力を消費して、魔法と言う超常的な現象を表す?
確かにそれで正解。でも、それって魔法って言うものの概念であって、正しい理解には繋がらない。
魔法の理解。それは魔法使いにとってとても重要な事。理解なんて自分流でいいから、まず、どんな魔法を使いたいかって言うのを想像すれば、今後どんな魔法を習得するか悩む必要はないよね?そして、その魔法の理解を深める。
全部習得するより、的を絞ってそこを重点的に極めれば強い武器になる。
「___これは、分かるよね?私はどんな魔法でも使えるけど、人によって向き不向きがあるから使えないものもある。
炎の魔法に特化した人が水の魔法に不得手なのもその理由」
「じゃあ僕は炎魔法って得意じゃ無いの?」
「うーん、まぁそうとも言える。けど、強い炎魔法を使えない訳じゃ無い。さっきも言った通り、“魔法”と言う現象の“理解”を深めれば、ある程度は使える。
でもまぁ、今はまだ不得意な事を極めるより、得意な事を極めればいい。苦手な事に挑戦しようとして失敗すればセリニオスくんの魔力量ならこの宮殿を吹き飛ばしちゃうね。
吹き飛ばしても私がいれば大丈夫だけど、それはセリニオスくんは嫌でしょ?」
「うん。
お姉ちゃん……何でセリニオスくんなの?」
「ふふ、先生っぽいでしょ?」
掛けていた伊達メガネの縁をクイっとあげた。
魔法の先生っぽく知的に!
髪だってハーフアップだし、服装は胸元にフリルの重なった白のブラウスに紺のタイトスカート、そして白いガーター付きのニーソ。知的で清楚な性癖ど真ん中で最高過ぎる。
勿論、ローブ着用。
ローブは皇帝陛下から貰った、宮廷教師の証である模様が背中部分に刺繍されてる。めちゃくちゃ触り心地が良くて最高の生地でございます。
「私は今この時間は先生です!だから、セリニオスくんも先生って呼んでね。師匠でもいいよ?」
「し、師匠って呼ぶ。くんはつけなくて大丈夫だよ、師匠」
「セリニオスね。こう言う呼び方新鮮!」
先生嫌いだけど、セリくんの先生になるなら万々歳!
いつもと同じ様なテンションになるのを堪えて、一つ咳払いする。
「セリニオス、魔法ってどのくらい見た事ある?」
「おね…師匠が見せてくれたやつだけ」
「今日はじゃあ、一般的な属性の下級魔法を見せてあげるね」
本当は必要ないけど、久々の“白木の杖”を手に取る。
「これが、火魔法 “火球”。
炎の大きさや威力が火魔法より高くて階級が中級になるのが、炎魔法」
赤く美しく燃える手のひらサイズの火の玉を見せる。
「これが、水魔法“水球”。
水魔法と、氷は系統似てるけど難易度とか諸々が全然違っててね、火と炎の魔法の魔法と違って別の魔法扱いになるの。
これが、”氷球”
氷魔法は、中級から上の階級しか無いから、コレは下級魔法を覚えてから教えてあげるね」
両手に一個ずつ、水の玉、杖を持つ方で氷の玉を作る。
まほい頬を赤く染めてうんうんと頷く姿に、やっぱり波長の近い氷や水の方が好きなのだなと実感する。
「これが、風魔法“風球”。
これが、雷魔法“雷球”。
雷魔法も、中級からしか無いから、ゆっくり進めていこう。
これが、土魔法“土球”
これが、光魔法“光球”
これが、闇魔法“闇球”」
これら八種類の魔法の玉を並べ、クルクルと回す。
さまざまな姿、色、様子を見せるこれらは、魔法と言う現象の美しさを魅せるのに、丁度いい方法だ。
「私は今、丸い形にしてるけど、必ずしも丸くしなくていいよ。何故かと言うと、水魔法を発動させる時に丸くする様に操作するのって面倒でしょ?
コレは、最初に魔法を覚える為の装置。
でもこんな小さな魔法でも、何個でも作って、どんな風にでも操作できれば凄く強いと思わない?」
「っ思う!!」
「魔力操作を極めれば、魔力の消費も少なく済むし、そう言う事カッコいい事ができます。
魔法に正解なんてないから、こう言う事がしたい!って思うなら、そう出来る様に努力しないとね」
ぶっちゃけ私は刷り込みだったけどねん。
わぁ凄い!と目を輝かせるセリくんに、そう言っては元も子もないから言わないつもりだ。この秘密は墓場まで持っていく。
「セリニオスはどんな魔法を使いたい?」
「どんな……?
うーん、師匠に…氷のお花をあげられるやつ…は、違うよね?」
そう、それは通過点に過ぎない。
「うぅーん?
分かんない。どんな魔法って、何??」
頭を捻って考えるその様子に思わずくすくすと笑いを溢した。
「ふふふ。
どんな自分になりたいかを想像すれば、おとずと答えは見えてくる。
この問題は、“いつか”までの宿題ね。
今日は、魔力操作の練習から。
セリニオスの場合魔力操作は、魔力暴走を起こして事故を起こすリスクを避ける為の行為に直結する。
魔力の安定は心の安定。どんなに頭に血が上った時でもその行為が貴方を救う。
貴方の魔法が、簡単に人の命を奪えると言う事を忘れちゃダメだよ」
ふと、なら私はどうだろう?と、考えた。
セリくんにこう言って置いて、私は簡単に人を殺せる魔法で、心を痛める事なく何人も殺してる。
正当防衛?
ううん、違う。
私は、心が痛まないからこそ楽な道を選んだんだ。
今の私じゃ、セリくんにとって良くない。いや、私にとって良くない。セリくんに教える毎に、私の心に矛盾を生む。
駄目だ。
心が日々神子に変わっているのに、まだ残ってる“私”が、それは駄目だと言ってる。
「………私も、今の私じゃ駄目だね」
「?何て言ったの?」
「ううん、何でもない!」
……殺す理由が出来るまで、人は殺さない。
殺さない理由を探して、生かす方法を考えよう。どんな方法であっても、どんな悪人であっても、死以外の償わせ方を探そう。
体内の魔力を操作し、魔力を消費して、魔法と言う超常的な現象を表す?
確かにそれで正解。でも、それって魔法って言うものの概念であって、正しい理解には繋がらない。
魔法の理解。それは魔法使いにとってとても重要な事。理解なんて自分流でいいから、まず、どんな魔法を使いたいかって言うのを想像すれば、今後どんな魔法を習得するか悩む必要はないよね?そして、その魔法の理解を深める。
全部習得するより、的を絞ってそこを重点的に極めれば強い武器になる。
「___これは、分かるよね?私はどんな魔法でも使えるけど、人によって向き不向きがあるから使えないものもある。
炎の魔法に特化した人が水の魔法に不得手なのもその理由」
「じゃあ僕は炎魔法って得意じゃ無いの?」
「うーん、まぁそうとも言える。けど、強い炎魔法を使えない訳じゃ無い。さっきも言った通り、“魔法”と言う現象の“理解”を深めれば、ある程度は使える。
でもまぁ、今はまだ不得意な事を極めるより、得意な事を極めればいい。苦手な事に挑戦しようとして失敗すればセリニオスくんの魔力量ならこの宮殿を吹き飛ばしちゃうね。
吹き飛ばしても私がいれば大丈夫だけど、それはセリニオスくんは嫌でしょ?」
「うん。
お姉ちゃん……何でセリニオスくんなの?」
「ふふ、先生っぽいでしょ?」
掛けていた伊達メガネの縁をクイっとあげた。
魔法の先生っぽく知的に!
髪だってハーフアップだし、服装は胸元にフリルの重なった白のブラウスに紺のタイトスカート、そして白いガーター付きのニーソ。知的で清楚な性癖ど真ん中で最高過ぎる。
勿論、ローブ着用。
ローブは皇帝陛下から貰った、宮廷教師の証である模様が背中部分に刺繍されてる。めちゃくちゃ触り心地が良くて最高の生地でございます。
「私は今この時間は先生です!だから、セリニオスくんも先生って呼んでね。師匠でもいいよ?」
「し、師匠って呼ぶ。くんはつけなくて大丈夫だよ、師匠」
「セリニオスね。こう言う呼び方新鮮!」
先生嫌いだけど、セリくんの先生になるなら万々歳!
いつもと同じ様なテンションになるのを堪えて、一つ咳払いする。
「セリニオス、魔法ってどのくらい見た事ある?」
「おね…師匠が見せてくれたやつだけ」
「今日はじゃあ、一般的な属性の下級魔法を見せてあげるね」
本当は必要ないけど、久々の“白木の杖”を手に取る。
「これが、火魔法 “火球”。
炎の大きさや威力が火魔法より高くて階級が中級になるのが、炎魔法」
赤く美しく燃える手のひらサイズの火の玉を見せる。
「これが、水魔法“水球”。
水魔法と、氷は系統似てるけど難易度とか諸々が全然違っててね、火と炎の魔法の魔法と違って別の魔法扱いになるの。
これが、”氷球”
氷魔法は、中級から上の階級しか無いから、コレは下級魔法を覚えてから教えてあげるね」
両手に一個ずつ、水の玉、杖を持つ方で氷の玉を作る。
まほい頬を赤く染めてうんうんと頷く姿に、やっぱり波長の近い氷や水の方が好きなのだなと実感する。
「これが、風魔法“風球”。
これが、雷魔法“雷球”。
雷魔法も、中級からしか無いから、ゆっくり進めていこう。
これが、土魔法“土球”
これが、光魔法“光球”
これが、闇魔法“闇球”」
これら八種類の魔法の玉を並べ、クルクルと回す。
さまざまな姿、色、様子を見せるこれらは、魔法と言う現象の美しさを魅せるのに、丁度いい方法だ。
「私は今、丸い形にしてるけど、必ずしも丸くしなくていいよ。何故かと言うと、水魔法を発動させる時に丸くする様に操作するのって面倒でしょ?
コレは、最初に魔法を覚える為の装置。
でもこんな小さな魔法でも、何個でも作って、どんな風にでも操作できれば凄く強いと思わない?」
「っ思う!!」
「魔力操作を極めれば、魔力の消費も少なく済むし、そう言う事カッコいい事ができます。
魔法に正解なんてないから、こう言う事がしたい!って思うなら、そう出来る様に努力しないとね」
ぶっちゃけ私は刷り込みだったけどねん。
わぁ凄い!と目を輝かせるセリくんに、そう言っては元も子もないから言わないつもりだ。この秘密は墓場まで持っていく。
「セリニオスはどんな魔法を使いたい?」
「どんな……?
うーん、師匠に…氷のお花をあげられるやつ…は、違うよね?」
そう、それは通過点に過ぎない。
「うぅーん?
分かんない。どんな魔法って、何??」
頭を捻って考えるその様子に思わずくすくすと笑いを溢した。
「ふふふ。
どんな自分になりたいかを想像すれば、おとずと答えは見えてくる。
この問題は、“いつか”までの宿題ね。
今日は、魔力操作の練習から。
セリニオスの場合魔力操作は、魔力暴走を起こして事故を起こすリスクを避ける為の行為に直結する。
魔力の安定は心の安定。どんなに頭に血が上った時でもその行為が貴方を救う。
貴方の魔法が、簡単に人の命を奪えると言う事を忘れちゃダメだよ」
ふと、なら私はどうだろう?と、考えた。
セリくんにこう言って置いて、私は簡単に人を殺せる魔法で、心を痛める事なく何人も殺してる。
正当防衛?
ううん、違う。
私は、心が痛まないからこそ楽な道を選んだんだ。
今の私じゃ、セリくんにとって良くない。いや、私にとって良くない。セリくんに教える毎に、私の心に矛盾を生む。
駄目だ。
心が日々神子に変わっているのに、まだ残ってる“私”が、それは駄目だと言ってる。
「………私も、今の私じゃ駄目だね」
「?何て言ったの?」
「ううん、何でもない!」
……殺す理由が出来るまで、人は殺さない。
殺さない理由を探して、生かす方法を考えよう。どんな方法であっても、どんな悪人であっても、死以外の償わせ方を探そう。
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