形成級メイクで異世界転生してしまった〜まじか最高!〜

ななこ

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転生美少女、迷子を送り届ける

24話

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「紹介から始めようか…私の右隣に居るのが宰相のクロロテス・ノイモン。私の左隣に居るのは、太陽騎士団団長リノン・アスピタ。
どちらも信用のおける人物だ」
「ご紹介に預かりましたクロロテス・ノイモンと申します。宰相を務めております、この度は第一皇子殿下の保護、そして宮廷まで安全に送り届けて下さった事、誠に感謝申し上げます。
お帰りなさいませ、皇子殿下」
「同じく、太陽騎士団団長のリノン・アスピタ。御三方の活躍に感謝します。ありがとう。
セリニオス殿下、ご無事で何よりです」

…やっぱりここは、セリくんにとって悪影響が出るほど悪いところではなかった様だ。
すごく嫌な所だって勝手に想像してたよ。ごめんなさい。

「初めまして、マユラと申します。ご存知かと思いますので簡潔に…私の後ろに居るのが従者のアンタレスとヴァルフゴールです。
宜しくお願いします。ノイモン卿、アスピタ団長様」
「宜しくお願いします」
「こちらこそ宜しく。同性同士だし、気軽にリノンと呼んで欲しい」
「リノン様ですか?」
「できれば様は無しで」
「では、リノンさんで。

リノンさんは女性でいらっしゃるのに、剣お一つで団長まで上り詰めたのですよね?帝国にはあまり詳しくありませんが、リノンさんの武勇は耳にしてます」
「それは嬉しいな」
「アスピタ領にも二週間ほど前に訪れました。自然豊かで、とても景色の良い町でした。ご飯も美味しくて、ついつい屋台で食べ過ぎてしまって…」
「マユラ殿は褒めるのが上手い様だな。ありがとう、私の好きな景色だから、そう言ってくれると嬉しいよ」

そう、リノンさん凄い人なのだ。
大公領で買い物中、騎士団長様は凄い!って言う話で盛り上がってた集団がいたのだ。それに便乗して彼女はあれが凄いこれが凄いとお酒の入った人達皆リノンさんのことを褒め称えていたのを良く覚えてる。

恥ずかしいなと照れるリノンさんを小突いたのは、宰相のノイモン卿だった。
ちょっと意地の悪そうなお顔をしていらっしゃる。

「お前より語彙力がありそうですね」
「煩いぞ陰湿眼鏡」
「何です?」
「何だ?」
「客人の前だぞ、控えろ」

陛下が仲裁すれば、ピタッと止まる。
なんだろう?漫才でも見せられてるのかな?
これも一種の緊張をほぐしてもらおう的な芝居?でもあの顔はガチだったでしょ。

「んン“。この後、略式ですが玉座の間にて皇子殿下と共に陛下と対面し、太陽神様が降臨し殿下に加護を授けられます。
名目は貴方方に感謝を伝える場ですが、これはパフォーマンスだと思って下さい。

謁見の間には集められるだけの高位貴族を承認として待たせてありますので、皆様は入場して、陛下の御前までまっすぐ歩いて来て下さい。

詳しいやり方は後々説明させて頂きます。
この謁見は、殿下の権威を取り戻す為、地位を築く為のもので御座いますので、ご容赦を」

うん?つまり、無事帰還した場面と太陽神様の加護を直々に受けたセリくんを貴族の人たちが目撃する事で、セリくんが皇族であり後々に皇太子としての資格と素質は十分にあるって事を示すって事でおけ?

私は察し力100%女子なんで、セリ君のためなら一肌…いや、ふた肌脱ぎましょう!

「二人とも良いよね?」
「いいぜ」
「うん」

一芝居打とうじゃないか!!


 ◆    ◆    ◆    ◆    ◆    ◆    ◆    ◆    ◆    ◆


「セリニオス・シエロ・ドゥ・ヒペリオン第一皇子殿下、並びにマユラ殿率いる御一行様、どうぞ中へ」

合図を聞いて、重厚な扉が開く。
真っ白な大理石の床は広く広がり、まっすぐに伸びる端が金のラインの赤い絨毯、天井に吊るされたキラキラのシャンデリアと、ヒペリオンの太陽がモチーフの国旗。

きょろきょろと見渡して観察するわけにはいかないから、目の前一点を見るけど、凄く気になる。

玉座に上がる階段の三歩前くらいに止まり、セリ君が前、私がその後ろ、左右にアンタレスとヴァルフゴールと言う形で跪く。
片膝は地面につけて、もう片方の膝の上に手首を乗せる。声をかけられるまで下を向いて置けば良いらしい。

「表を上げよ」

陛下の言葉を聞いて、顔を上げる。

「冒険者マユラよ、此度は第一皇子の保護そして、宮廷まで送り届けてくれた事感謝する」
「ありがたきお言葉に御座います」
「褒美は事前に不要だと申しておったが、それではこちらの気がすまぬので、感謝のる証として、これを用意した。受け取ってくれ」

控えていた人が手に何かを持って私の方へとやってくる。
うん?何それ聞いてない??

小さな赤と金の蔦模様の箱を開ければ入っていたのはオーロラの様な様々な色を見せるクリスタル。

「其方は魔法使いとして優秀だと聞き及んでおる。これは、最高品質の魔結晶だ。受け取ってくれ」



  魔結晶石『千年結晶樹の欠片』

何千年と掛けてゆっくり魔力を帯び続け魔結晶となった、極めて純度の高い結晶樹の欠片。


思わずと陛下をみる。
頷いたから本当に貰っても良い代物だ。


「ありがたき幸せに御座います。謹んで頂戴致します」
「うむ」

見返りとか本当に求めてなかったのにコレは予想外すぎる!どうしよう!?
何かお返しするべき???

私の心配をよそに、台本通りに式が進むんだ。
私を置いていかないで欲しいよ。


「__そして皇子よ、よく無事に帰ってきた。父として、喜ばしく思っている」

…これで、皇帝は息子を鑑みていないと言う噂話は無くなったも同然。
ありもしない事を話した噂好きは痛い目見たんだろうねコレは。

「関係者諸共は死刑、それに準ずる刑に処した。逃げ仰てる者も居るが、じきに見つかる」

…これで、皇子に危害を加える人間は死刑だからな。って言う印象付ける。
皇帝の監視下でセリくんに危険が及ぶ事はない。

「お前の居住区は第一宮に移動になった。急に移動させてすまないな。が、其方の方が安全なのだ」

第一宮とは正当な後継者のみが使う皇太子宮の事。
…これで、セリくんは正式に皇子…後に皇太子として発表すると暗に伝える。
セリくんに相応の態度を示せよと言う事だ。


___そして、最後の仕上げ。


《遅くなってすまなかったセリニオス。
お前に太陽の加護…そして、太陽の眷属を授けよう。
コレがお前を守り、お前の力になる事を願う。

そして、マユラよ。礼を言う___

____色々とな》


人型の光の塊が金色の螺旋を描いて降りてきた。
セリくんの頭に触れて、離れる。

多分、チラッと私の方を見たと思う。光り輝いててわからないけど。


”コレはお前のギフトだ。受け取ってくれ”


…皆の注目がセリくんに集まってくれてて良かった。
まさか太陽神様が私にまで加護をくれるとは…しかもスキルまで。
くれるならありがたく受け取るけど…。

目の前のセリくんは炎…いや、太陽の様な輝きを全身から放って、ゆっくり身体の内側に沈んでいく。
…魔力が増幅してる。皇帝陛下より多い…皇帝も皇族の中では多い方がって聞いてるけどそれより多いって事は歴代で1番多いんじゃ?
これは…教え甲斐がありそうだ。

内心高揚が抑えられずセリくんを見つめる。

さっき言っていた眷属は、セリ君の手の中にいるあの子かな?

まだ幼体であるが見たいだけど、どっからどう見ても虎。体毛が赤みを帯びる子虎。
(…何あの虎?)
『正式な名称はありませんが、名称をつけるとするなら太陽虎サンティーガーですね。
太陽の神がこの為にわざわざ創造したようです。眷属ではありますが幼体です。
いずれは国守として太陽帝国を守護する守護聖獣となるでしょう』
(またとんでもねぇものを…)
『同感ですね』

虎ってどうなの?ペットみたいには扱えないよ?

チラリとセリ君に目を向ければ、その目はもうキラッキラ。
どうしたのかなその目は???

「可愛い猫!ありがとうございます太陽神様!!」
「……」
『!?!?!?』

違う!猫科だけどそれは猫じゃない!!!!

声を大にして叫びたかった。
…セリくん、そう言うとこ可愛いよね…。
可愛いけど、その可愛さ発揮するのは今じゃない。

《……大切に育ててくれ》
「はい!」

太陽神様、訂正するのを諦めないで。

取り敢えず後でこの子は虎だよって教えてあげよう。うん。
まかせた!って顔しないで欲しいよ太陽神様。コレはあなたの仕事だよ。

《ではまた。

我の加護を受ける子らよ、また会おう》







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