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異世界転生はじまりはじまり

2話

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ヴヴ《風の神が貴女の様子を伺っています》

ヴヴ《芸術の神が貴女の変装技術を高く評価しています》

ヴヴ《夜の女神が貴女に関心を持っています》

ヴヴ《地球の神が貴女に祝福を授けました。加護“地球の神の祝福”を獲得。ステータス値が大幅に上昇しました》

ヴヴ《聖狼_フェンリルが貴女の存在を感知しました》

ヴヴ《豊穣の女神が貴女に、加護”自然の恩恵”を授けました。自然を司る精霊と親和性が深まりました》

ヴヴ《魔法の神が貴女に、称号“魔法の鬼才人”を与えました。魔力量が増幅し、魔力操作がより精密になりました》


ピロンピロン 《エルディエンの神が貴女に世界の調整を頼みました。貴女がこの世界で魔法を行使する度にエルディエンに充満する魔素が安定します》


ヴヴ《“案内人”が貴女の覚醒を促しました。
これより、覚醒します》


    ◆   ◆   ◆   ◆   ◆   ◆   ◆   ◆   ◆   ◆


「ん、んぅ……」
か、硬い。ベッドと枕がゴツゴツつしてるんですけど………

ピィーヨロロロロロ

ん?

毎朝きく雀の鳴き声ではない事に気がつき、目を覚ます。

んん?

ぼうっとする頭で昨日の事を思い出した。
死んで転生して、生死の危機に陥って逃げて森の中彷徨って、川を下る様に下流に進んだんだっけ?

それで、確か…力尽きて、ぶっ倒れて寝た?

「うそん」

昨日みたいな生き物に寝入りを襲われて死ななくて良かった。と言うか、乙女自称してる訳で、屋外でぶっ倒れて爆睡とか恥ずかし過ぎる!

「おっし、とりあえず落ち着いて顔洗おう」

痴態は無かったことにしよう。そうしよううん。


川の水に手をつけ、顔を洗って口を濯ぐ。水面に映る自分の姿はやっぱり可愛い。
「異世界来てコンプレックス無くなったとか最高じゃん」
朝の2時間メイクから解放されるのはやっぱり嬉しい。けど、メイクポーチもスキンケア用品も無いのは困るわ。せめて日焼け止め欲しい。
この珠の様な肌が焼けるとか自死したくなるほど許せない。

ん?何この指輪?


ヴヴ《おはようございます。朝の支度は済みましたか?》

「わぁっ!」

びっくりした!!

《お済みの様でしたら、少しのお時間をワタクシに頂けませんか?

ワタクシの名前は“案内人”。異世界を渡る人々を、その世界の安全な人間の元まで案内するナビゲーターをしています。
どうかワタクシにこの世界についてと、貴女がこの世界に転生した理由、そして貴女の今後についての説明をさせて下さい。

  YES/NO》

「い、いえす」

《ありがとうございます。
ではまず、この世界の説明からさせて頂きます。
この世界の名は【エルディエン】。貴女の想像する所謂“剣と魔法のファンタジー世界”と言う認識で間違いありません。
この世界には“人間種”以外の獣人やエルフといった多種多様な種族から、魔物や精霊といった生き物が世界中に生存し、共存、共栄、或いは対立しています。

この世界には空気中に“魔素”と言う、“魔法”を使う為の原動力である“魔力”の素となる酸素の様なものが漂っています。
現在、その“魔素”が大陸中に異常発生し、その濃度もこの世界の種族の人体に異常をきたす数値を記録しています。

貴女がこの世界に来た理由は、貴女に、各大陸を巡り、魔法を通して“魔素”を正常値に調節欲しいのです。

難しい事ではありません。貴女はこの世界で魔法を行使するだけで良いのです。貴女の魔力を通して魔素を鎮静、正常化していきます》
「う、うん。分かった??」

つまり、魔法を使う以外に私のすることはないって事でおけ?
今の所イージーなんですけど、私の生活がどこまで保障されるのか知りたいわ。

《回答、貴女の生活は今後によりますが、当面の間の衣食住が保証できるくらいの支援金を用意しています。
当面の資金、生活必需品、その他にランダムでアイテムをそちらの指に付けている“収納リング”の中に入れております。時間停止、無限収納の魔法を付与しています。そのリング一つで城が二つ以上買える値段ですのでくれぐれも取り扱いにお気をつけください。

出し入れの方法は、収納する場合リングをつける手を翳し“収納”と口に出すor考える。
取り出したい場合は”アイテム一覧”と口に出すor考える。アイテムの項目がウィンドウとして現れますので、画面を操作し取り出したいものをタップしていただければ、取り出せます。操作方法は指もしくは頭の中どちらでも操作が可能です》

おー、ナチュラルに思考読んできてるわ。
なるほど、この指輪はそう言うやつね。シルバーに黒ライン。金色でミミズの這った様な文字が書かれてて厨二チックで…………、

今城買えるって言った???

《正確には、具体的な値をつけられません》

マジか。

《この世界での価値を表す等級で言えば、最高位のを表す“遺物級アンティーク”。それ以上の代物は”聖遺物”や”人工遺物アーティファクト”に分類されます。現在人に所有されている#人工遺物__アーティファクト#級のアイテムは5つ。うち2つは繭村奏が所有。残りの三つは厳重に保管、保護されています》

うんうん。ますます異世界っぽいわー。アンティークにアーティファクトね。うち2つは“繭村奏”が所有してるのね。凄いなぁ

……私じゃん!

《貴女の所有する人工遺物アーティファクト”収納リング”と聖遺物“知識の宝庫”の存在をまず公言しない方が賢明でしょう》

了解でっす!


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