19 / 20
ぬる暑い中庭にて①
しおりを挟む
暑い夏には炭酸系の飲み物が飲みたい。シュワっとした爽快な甘い味が、暑さをひと時でも吹っ飛ばしてくれる気がする。
「でも置いてねぇんだよなぁ………」
学校でのお昼休み。俺は中庭にある自販機を眺めながら、ひとりぐちっていた。買える飲み物は紙パックだけ。謎のスポーツ飲料スポルトップやレモンティー、果汁100%系ジュースなど。俺が求める炭酸飲料は無い。
「はあ~………、うちの学校の自販機ってさ、なんで紙パックの飲み物しかないの? ペットボトルや缶とかあったら炭酸系もあるのに」
日が当たる暑い外だと余計に腹が立つ。さっさとジュースを買うか………。100円を入れてポチッとな。
出てきたいつものオレンジジュースを持つ。手に伝わる冷たさが心地良い。
さて、いつもの木陰のベンチで飲みますか。
「ふぅー………、やっぱ涼しいな。ここは」
青々とした葉をつけた、大きいシラカシの木を見上げながら、俺は冷たいオレンジジュースをぐいっと飲む。
「んんっ、ぷはぁー。うまっ」
柑橘の甘酸っぱさがおいしい。これはこれでだるい暑さを和らげてくれる。
中庭を通り抜ける、ぬるい風を肌で感じつつ、俺はぼーっとジュースを飲む。
学校の中庭は、ちょうど教室くらいの広さ。でもそこに生徒は俺だけしかいない。来たとしても、ジュースを買ってクーラーの効いた教室にすぐ戻ってしまう。暑い夏に、しばらく中庭に居座る奴は………、俺くらいだ。
「この木陰がけっこう好きなんだよなぁ」
暑い!! じゃなくぬる暑い感じ。そのぬる暑さに耐え、冷たいジュースでリセットする。このなんともいえない感覚を、結構気に入っている。んでジュースが無くなるくらいに、ちょうど予冷が鳴る。それまではぬる暑いを耐えるのだ。って何してんだか俺は………、まっ、いっか、それで、いいのだ~、バカボ◯、ボンっと。んん?
自販機の前に女子がいたのに気づいた。制服からして中学生。膝丈のスカートから伸びた白い足についつい目がいく。飲み物を取るためしゃがむと、スカートが少しひらっと舞った。つい視線が奪われる。けしからん………、俺がな。でも………、仕方ないよね、それで、いいのだ~、バカボ◯、ボンって、あれ?
「あっ! 爽太せんぱい!」
飲み物を手にこっちに振り返った女子は、俺の後輩である双葉結衣《ふたばゆい》ちゃんだった。明るく可愛らしい声を上げたかと思うと、こちらにタタタタっと元気よく駆け寄ってきた。
「でも置いてねぇんだよなぁ………」
学校でのお昼休み。俺は中庭にある自販機を眺めながら、ひとりぐちっていた。買える飲み物は紙パックだけ。謎のスポーツ飲料スポルトップやレモンティー、果汁100%系ジュースなど。俺が求める炭酸飲料は無い。
「はあ~………、うちの学校の自販機ってさ、なんで紙パックの飲み物しかないの? ペットボトルや缶とかあったら炭酸系もあるのに」
日が当たる暑い外だと余計に腹が立つ。さっさとジュースを買うか………。100円を入れてポチッとな。
出てきたいつものオレンジジュースを持つ。手に伝わる冷たさが心地良い。
さて、いつもの木陰のベンチで飲みますか。
「ふぅー………、やっぱ涼しいな。ここは」
青々とした葉をつけた、大きいシラカシの木を見上げながら、俺は冷たいオレンジジュースをぐいっと飲む。
「んんっ、ぷはぁー。うまっ」
柑橘の甘酸っぱさがおいしい。これはこれでだるい暑さを和らげてくれる。
中庭を通り抜ける、ぬるい風を肌で感じつつ、俺はぼーっとジュースを飲む。
学校の中庭は、ちょうど教室くらいの広さ。でもそこに生徒は俺だけしかいない。来たとしても、ジュースを買ってクーラーの効いた教室にすぐ戻ってしまう。暑い夏に、しばらく中庭に居座る奴は………、俺くらいだ。
「この木陰がけっこう好きなんだよなぁ」
暑い!! じゃなくぬる暑い感じ。そのぬる暑さに耐え、冷たいジュースでリセットする。このなんともいえない感覚を、結構気に入っている。んでジュースが無くなるくらいに、ちょうど予冷が鳴る。それまではぬる暑いを耐えるのだ。って何してんだか俺は………、まっ、いっか、それで、いいのだ~、バカボ◯、ボンっと。んん?
自販機の前に女子がいたのに気づいた。制服からして中学生。膝丈のスカートから伸びた白い足についつい目がいく。飲み物を取るためしゃがむと、スカートが少しひらっと舞った。つい視線が奪われる。けしからん………、俺がな。でも………、仕方ないよね、それで、いいのだ~、バカボ◯、ボンって、あれ?
「あっ! 爽太せんぱい!」
飲み物を手にこっちに振り返った女子は、俺の後輩である双葉結衣《ふたばゆい》ちゃんだった。明るく可愛らしい声を上げたかと思うと、こちらにタタタタっと元気よく駆け寄ってきた。
0
お気に入りに追加
4
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。


久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…
しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。
高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。
数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。
そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

手が届かないはずの高嶺の花が幼馴染の俺にだけベタベタしてきて、あと少しで我慢も限界かもしれない
みずがめ
恋愛
宮坂葵は可愛くて気立てが良くて社長令嬢で……あと俺の幼馴染だ。
葵は学内でも屈指の人気を誇る女子。けれど彼女に告白をする男子は数える程度しかいなかった。
なぜか? 彼女が高嶺の花すぎたからである。
その美貌と肩書に誰もが気後れしてしまう。葵に告白する数少ない勇者も、ことごとく散っていった。
そんな誰もが憧れる美少女は、今日も俺と二人きりで無防備な姿をさらしていた。
幼馴染だからって、とっくに体つきは大人へと成長しているのだ。彼女がいつまでも子供気分で困っているのは俺ばかりだった。いつかはわからせなければならないだろう。
……本当にわからせられるのは俺の方だということを、この時点ではまだわかっちゃいなかったのだ。

転生したら、6人の最強旦那様に溺愛されてます!?~6人の愛が重すぎて困ってます!~
月
恋愛
ある日、女子高生だった白川凛(しらかわりん)
は学校の帰り道、バイトに遅刻しそうになったのでスピードを上げすぎ、そのまま階段から落ちて死亡した。
しかし、目が覚めるとそこは異世界だった!?
(もしかして、私、転生してる!!?)
そして、なんと凛が転生した世界は女性が少なく、一妻多夫制だった!!!
そんな世界に転生した凛と、将来の旦那様は一体誰!?

美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった
ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます!
僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか?
『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる