10 / 20
素直な気持ち(バスト的な意味で)
しおりを挟む
「ぜぇ、ぜえ……、つ、着いた……」
俺は今、とある教室のドアの前に立っていた。
『文芸部』
教室の札のところにそう書いてあった。ごくり、と思わず喉がなる。
緊張する!! こ、ここに、春奈がいる、はず。
ドキドキ、ドキドキ。
お、落ち着け! まずは走って乱れた心音と、呼吸を整えろ!
「すぅー、はあー、すぅー、はぁー」
俺は深呼吸を何度も繰り返した。少しづつだが体が楽になっていく。
「ふぅー、良し………。でも、暑い……」
まだ昼間のように明るい夏の日差しが、廊下の窓から差し込んでいる。廊下をさっきまで走っていたのもあって、日差しが暑くてつらい。俺の体は今、内からくる熱い体温と、外からの夏の日差しに挟まれ、汗だくだ。
額から頬へ汗の粒がいくつも走って、顎の先端から滴り落ちていく。背中は汗でしめっていて、カッターシャツが嫌に張り付いてやがる。
「あっ~、最悪だっ……。たくなんでこんなことになってんだよ……」
そう思うと、春奈の顔しか浮かばない。そう、春奈のせいだかんな!
「あ、あいつめ!! お、俺の顔に、あのたわわな、おっぱ……! じゃなくて、ば、バストを無理やり押し付けやがって……!!」
そのあげく走って逃げるという!! 残された俺の身にもなれっての!! なんか俺がすげえ悪いことしたみたいじゃん!! 春奈のセンパイである穂花《ほのか》さんにめっちゃ見られたときは、ほんともう俺、人生終わったと思ったからねっ!?
「てかあれは、春奈が俺に前のめりで倒れてきたせいだし……! んで紳士な俺がケガしないように優しく受け止めようとしただけだし……!」
そしたら、あんな……、むにゅうって……、温かくて、柔らかで、ちょっと良い香りの、むにゅうが……。
ほんと超幸せだった。
「もう一回……、お願いしたいッ……」
いざ、春奈のところへ。
「って、違う違う……! 何を言おうとしてんだ……!? 春奈をまた泣かせる気か……!?」
今俺が言うべきことは、『ごめんなさい』だ。そのために、穂花センパイは文芸部の部室に行くよう言ってくれて、場所も教えてくれたのだろう。
俺はそっと、文芸部の部室のドアに手をかけた。でも、なかなか開けれない。
また鼓動が激しくなり、俺の顔が熱くなる。だって春奈を想うと、思い出すんだよ! あの柔らかなバストを!? ぽよんって、あのステキすぎるバストをだ!! たぶん俺目で見ちゃうよ!? い、いやダメだ!! そこは我慢して春奈の顔をじっと見てだなあ…………!!
「……、ど、どんな顔して会えば良いかわからん……!」
春奈の可愛い小顔……に、ぽよんな、
「おっぱい……、ふふっ」
…………、うおっ、俺顔ニヤけてない!? ま、真面目な顔しろってんだ!! そして真面目に、春奈のおっぱいのことを考えるんだ! って違う違う!? アホか俺は!? てか、おっぱいって言っちゃたよ!? バ、バストだ、バスト!! 英語の方がそのなんか、言い方がマシな気がするし! は、恥ずかしさもわりと少ない気がするし!
「ば、バストだ、バ・ス・ト……! バスト、バスト、バスト、バスト、バスト、バスト、バスト、バスト……!」
うし、もう大丈夫! 俺は、春奈を前にしても、おっぱい、なんて下品なこと言わない! そう、バスーーー、
ガラガラ。
えっ?
突如、ドアにかけていた手が軽く引っ張られた。いや違う、ドアが自動でスライドして、
「ほ、穂花センパイ?? もしかして、迎えにきてくれたんですか?」
文芸部の部室ドアが突然開かれてしまった。
ちょっ!? ま、まじか!? こっちは心の準備が!?!?
「なっ、そ、爽太!?」
愛らしい丸い瞳をめいいっぱい広げ、驚きに満ちた表情で、春奈が俺を見つめていた。白い頬は、春に咲くキレイな桜の色に染まっていて。
淡い色の、小ぶりな口元が、わなわなと震えながら、慌てた声を発した。
「なっ、なんでここにいるの!?」
「いっ、いやあの、その!?」
「か、帰って……!!」
春奈が、文芸部のドアを閉めようとした。ちょ、ちょい待てって! 俺は力をこめて阻止する。
「ちょ、ちょっと何なのよ!? か、帰って!」
「そ、そういうわ、わけにはいかない!」
「も、もう! い、いいから、帰って!!」
春奈の必死な様子に、ひるみそうになる。このまま、ドアを離してしまいそうだ。でも、そうしたら、なんだろう、一生後悔する気がしたんだ。だから、
「は、春奈っ!!」
俺は力をこめて、ドアを開ける。
半身しか見えてなかった春奈の全身がお目見えだ。俺と春奈は対面した状態で。
「なっ、なな、何なのよ……!」
身構えながら、じっと見てくる春奈に、俺は今1番伝えたい言葉を届ける。
「バスト!!」
俺の大声が周囲に響く。俺はとても晴れやかだった。うし! 言えた! これで春奈も許してくれるはず! ん?
春奈は、顔が硬直していた。小さな口元が、ぎこちなく、開いた。
「…………、そ、爽太?」
「お、おう。どした?」
「い、今…………、な、何ていっ、言った?」
表情を強張らせ、尋ねる春奈。あっ、あれ? な、なんで? 俺、あ、謝ったよな? そう、さっき大声で、
バスト。
「…………、あっ」
俺の目線が春奈の、バストに向いた。たわわで、カッターシャツを押し上げていて、ステキすぎる。
「そ、爽太ぁぁぁっ…………!!」
「はっ!? い、いや、ち、違うんだ、は、春奈! ひっ!?」
「うぅ~!! うぅぅ~!!」
両手で自分のバストを隠しながら、春奈が真っ赤な顔で、俺を睨んでいた。
さ、最悪だ…………。
真っ赤なお顔の春奈を前に、俺の顔は青ざめていた。
まじで、どうしよ……!?!?
俺は今、とある教室のドアの前に立っていた。
『文芸部』
教室の札のところにそう書いてあった。ごくり、と思わず喉がなる。
緊張する!! こ、ここに、春奈がいる、はず。
ドキドキ、ドキドキ。
お、落ち着け! まずは走って乱れた心音と、呼吸を整えろ!
「すぅー、はあー、すぅー、はぁー」
俺は深呼吸を何度も繰り返した。少しづつだが体が楽になっていく。
「ふぅー、良し………。でも、暑い……」
まだ昼間のように明るい夏の日差しが、廊下の窓から差し込んでいる。廊下をさっきまで走っていたのもあって、日差しが暑くてつらい。俺の体は今、内からくる熱い体温と、外からの夏の日差しに挟まれ、汗だくだ。
額から頬へ汗の粒がいくつも走って、顎の先端から滴り落ちていく。背中は汗でしめっていて、カッターシャツが嫌に張り付いてやがる。
「あっ~、最悪だっ……。たくなんでこんなことになってんだよ……」
そう思うと、春奈の顔しか浮かばない。そう、春奈のせいだかんな!
「あ、あいつめ!! お、俺の顔に、あのたわわな、おっぱ……! じゃなくて、ば、バストを無理やり押し付けやがって……!!」
そのあげく走って逃げるという!! 残された俺の身にもなれっての!! なんか俺がすげえ悪いことしたみたいじゃん!! 春奈のセンパイである穂花《ほのか》さんにめっちゃ見られたときは、ほんともう俺、人生終わったと思ったからねっ!?
「てかあれは、春奈が俺に前のめりで倒れてきたせいだし……! んで紳士な俺がケガしないように優しく受け止めようとしただけだし……!」
そしたら、あんな……、むにゅうって……、温かくて、柔らかで、ちょっと良い香りの、むにゅうが……。
ほんと超幸せだった。
「もう一回……、お願いしたいッ……」
いざ、春奈のところへ。
「って、違う違う……! 何を言おうとしてんだ……!? 春奈をまた泣かせる気か……!?」
今俺が言うべきことは、『ごめんなさい』だ。そのために、穂花センパイは文芸部の部室に行くよう言ってくれて、場所も教えてくれたのだろう。
俺はそっと、文芸部の部室のドアに手をかけた。でも、なかなか開けれない。
また鼓動が激しくなり、俺の顔が熱くなる。だって春奈を想うと、思い出すんだよ! あの柔らかなバストを!? ぽよんって、あのステキすぎるバストをだ!! たぶん俺目で見ちゃうよ!? い、いやダメだ!! そこは我慢して春奈の顔をじっと見てだなあ…………!!
「……、ど、どんな顔して会えば良いかわからん……!」
春奈の可愛い小顔……に、ぽよんな、
「おっぱい……、ふふっ」
…………、うおっ、俺顔ニヤけてない!? ま、真面目な顔しろってんだ!! そして真面目に、春奈のおっぱいのことを考えるんだ! って違う違う!? アホか俺は!? てか、おっぱいって言っちゃたよ!? バ、バストだ、バスト!! 英語の方がそのなんか、言い方がマシな気がするし! は、恥ずかしさもわりと少ない気がするし!
「ば、バストだ、バ・ス・ト……! バスト、バスト、バスト、バスト、バスト、バスト、バスト、バスト……!」
うし、もう大丈夫! 俺は、春奈を前にしても、おっぱい、なんて下品なこと言わない! そう、バスーーー、
ガラガラ。
えっ?
突如、ドアにかけていた手が軽く引っ張られた。いや違う、ドアが自動でスライドして、
「ほ、穂花センパイ?? もしかして、迎えにきてくれたんですか?」
文芸部の部室ドアが突然開かれてしまった。
ちょっ!? ま、まじか!? こっちは心の準備が!?!?
「なっ、そ、爽太!?」
愛らしい丸い瞳をめいいっぱい広げ、驚きに満ちた表情で、春奈が俺を見つめていた。白い頬は、春に咲くキレイな桜の色に染まっていて。
淡い色の、小ぶりな口元が、わなわなと震えながら、慌てた声を発した。
「なっ、なんでここにいるの!?」
「いっ、いやあの、その!?」
「か、帰って……!!」
春奈が、文芸部のドアを閉めようとした。ちょ、ちょい待てって! 俺は力をこめて阻止する。
「ちょ、ちょっと何なのよ!? か、帰って!」
「そ、そういうわ、わけにはいかない!」
「も、もう! い、いいから、帰って!!」
春奈の必死な様子に、ひるみそうになる。このまま、ドアを離してしまいそうだ。でも、そうしたら、なんだろう、一生後悔する気がしたんだ。だから、
「は、春奈っ!!」
俺は力をこめて、ドアを開ける。
半身しか見えてなかった春奈の全身がお目見えだ。俺と春奈は対面した状態で。
「なっ、なな、何なのよ……!」
身構えながら、じっと見てくる春奈に、俺は今1番伝えたい言葉を届ける。
「バスト!!」
俺の大声が周囲に響く。俺はとても晴れやかだった。うし! 言えた! これで春奈も許してくれるはず! ん?
春奈は、顔が硬直していた。小さな口元が、ぎこちなく、開いた。
「…………、そ、爽太?」
「お、おう。どした?」
「い、今…………、な、何ていっ、言った?」
表情を強張らせ、尋ねる春奈。あっ、あれ? な、なんで? 俺、あ、謝ったよな? そう、さっき大声で、
バスト。
「…………、あっ」
俺の目線が春奈の、バストに向いた。たわわで、カッターシャツを押し上げていて、ステキすぎる。
「そ、爽太ぁぁぁっ…………!!」
「はっ!? い、いや、ち、違うんだ、は、春奈! ひっ!?」
「うぅ~!! うぅぅ~!!」
両手で自分のバストを隠しながら、春奈が真っ赤な顔で、俺を睨んでいた。
さ、最悪だ…………。
真っ赤なお顔の春奈を前に、俺の顔は青ざめていた。
まじで、どうしよ……!?!?
0
お気に入りに追加
4
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。


久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…
しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。
高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。
数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。
そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…

手が届かないはずの高嶺の花が幼馴染の俺にだけベタベタしてきて、あと少しで我慢も限界かもしれない
みずがめ
恋愛
宮坂葵は可愛くて気立てが良くて社長令嬢で……あと俺の幼馴染だ。
葵は学内でも屈指の人気を誇る女子。けれど彼女に告白をする男子は数える程度しかいなかった。
なぜか? 彼女が高嶺の花すぎたからである。
その美貌と肩書に誰もが気後れしてしまう。葵に告白する数少ない勇者も、ことごとく散っていった。
そんな誰もが憧れる美少女は、今日も俺と二人きりで無防備な姿をさらしていた。
幼馴染だからって、とっくに体つきは大人へと成長しているのだ。彼女がいつまでも子供気分で困っているのは俺ばかりだった。いつかはわからせなければならないだろう。
……本当にわからせられるのは俺の方だということを、この時点ではまだわかっちゃいなかったのだ。

美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった
ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます!
僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか?
『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

転生したら、6人の最強旦那様に溺愛されてます!?~6人の愛が重すぎて困ってます!~
月
恋愛
ある日、女子高生だった白川凛(しらかわりん)
は学校の帰り道、バイトに遅刻しそうになったのでスピードを上げすぎ、そのまま階段から落ちて死亡した。
しかし、目が覚めるとそこは異世界だった!?
(もしかして、私、転生してる!!?)
そして、なんと凛が転生した世界は女性が少なく、一妻多夫制だった!!!
そんな世界に転生した凛と、将来の旦那様は一体誰!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる