4 / 20
超危機(バスト的な意味ではなく)
しおりを挟む
俺は咄嗟に廊下の角に隠れてしまった。でも気になる!!
そーっと顔を出し様子をうかがう。春奈に馴れ馴れしく話しかけているのは、高校生の二人組だった。
俺の通ってる学校は中高一貫校だ。割と田舎な地域だから生徒数も少なめで、部活動を合同でするくらいだ。校舎も隣り合っていて、ちょくちょく廊下で高校の生徒とすれ違うこともある。
もしかして、は、春奈の部活動の先輩とかか?
「文芸部ってさ、女子2人だけじゃん? しかもさ、君みたいに可愛い中学生の後輩だけ。だからさ、俺ら男での手助けがあったほうが楽でしょ?」
「そうそう、力仕事でいるっしょ?」
そう言って半ば強引に春奈に何やらOKをさせようとしている。一体なんのことだ? てかこいつら、春奈の先輩とか、知り合いじゃ無さそうだな……。
少し身構えている春奈が、顔を強張らせつつ、小さな口をそっと開いた。
「ぶ、部員以外の人の手助けは、な、無くても、問題ないので……。で、ですから、結構ですっ……」
恐る恐る頑張って告げた春奈。明確に拒否の反応を示していた。なのに、
「ふ~ん……、君もあの子みたいに冷たいね」
2人組のうち、背の高い方がつまらなそうにつぶやいた。
「えっ……!? ど、どういうことですか?」
春奈が戸惑う。すると、もう1人の、緩いパーマをかけたやつが続く。
「だよねぇ~、ついさっきさ、俺ら同じように冷たくあしらわれたんだよねぇ~。君の先輩にさ」
「えっ……!? ほ、穂花《ほのか》先輩にですか?」
「「そうそう」」
上級生の男子2人が、キモいくらいハモって頷いていた。嫌味のある笑みを浮かべながら。
「あなたたちみたいな人は必要ありません、ってきっぱり断られてさ~」
緩いパーマをかけた上級生が、髪の襟足をいじりながら不満そうに言った。
「そ、それなら、もう私に聞かなくてもーーー」
「俺らとしては心外なんだよね」
春奈の言い分を、背の高い上級生が遮った。
「そのなに? たまたま廊下でさ、文芸部の穂花ちゃんが、顧問と話してるのは聞いてさ。純粋に作業手伝いたいって思って声かけたのに、そう無下にされると……」
「逆に燃えてくるよね~、そのなに? 中学生の後輩達に良いとこ見せたい的な~?」
上級生の男子2人が、春奈に詰め寄る。春奈が半歩下がった。だが、
「あっ……!」
春奈が、小さく慌てた声をあげた。緩いパーマをかけている上級生が、春奈の持っていたバインダーを奪っていた。
「じゃあ一緒に行きましょっか」
「あっ、あの!? か、返してっ……!」
春奈がバインダーに手を伸ばしたときだった。
「ひゃっ……!?」
春奈の右手を、背の高い高校生が掴んだ。や、野郎!! な、なに春奈の手、握ってんだ!?
「穂花ちゃんを待たせちゃ悪いだろ? エスコートするよ」
「あ、あの!? 手、手を……!」
「あっ、ずるいぞお前、可愛い後輩の手にぎんの」
「お前は、穂花ちゃんがいるだろ」
「なるほど。じゃあ許す」
上級生2人が嫌な笑いを浮かべながら廊下を進んでいく。春奈を、引き連れて。今にも泣きそうで、怖がってる、俺の……、俺の、大事な、春奈をだっ…………!!
春奈が、あたりをキョロキョロと、何かを探している。きっとそれは…………、口に出さなくても、わかる!!
「だああああ!! お、重すぎるぜぇ!! 本の束がよお!!」
俺は大声を出しながら、廊下の角から飛び出した。
背を向けていた上級生2人が、ぴたりと立ち止まり、振り返ってきた。
「「はあっ?」」
鋭い目つきで俺を睨んでさ。ひえっ!?!? こ、怖え!? 俺なんも悪いことしてないけど!? こ、これだから最近の若者は!! って、俺も若者出すけどねっ!
「そ、爽太ぁ……!」
春奈の、明るい声が聞こえた。
目線が吸い寄せられる。
とても嬉しそうに、顔がほころんでいた。
…………、たく、そんな顔されたら、な、なんとかしなきゃな。
俺は、両足に力を込め、前へ進み出た。
そーっと顔を出し様子をうかがう。春奈に馴れ馴れしく話しかけているのは、高校生の二人組だった。
俺の通ってる学校は中高一貫校だ。割と田舎な地域だから生徒数も少なめで、部活動を合同でするくらいだ。校舎も隣り合っていて、ちょくちょく廊下で高校の生徒とすれ違うこともある。
もしかして、は、春奈の部活動の先輩とかか?
「文芸部ってさ、女子2人だけじゃん? しかもさ、君みたいに可愛い中学生の後輩だけ。だからさ、俺ら男での手助けがあったほうが楽でしょ?」
「そうそう、力仕事でいるっしょ?」
そう言って半ば強引に春奈に何やらOKをさせようとしている。一体なんのことだ? てかこいつら、春奈の先輩とか、知り合いじゃ無さそうだな……。
少し身構えている春奈が、顔を強張らせつつ、小さな口をそっと開いた。
「ぶ、部員以外の人の手助けは、な、無くても、問題ないので……。で、ですから、結構ですっ……」
恐る恐る頑張って告げた春奈。明確に拒否の反応を示していた。なのに、
「ふ~ん……、君もあの子みたいに冷たいね」
2人組のうち、背の高い方がつまらなそうにつぶやいた。
「えっ……!? ど、どういうことですか?」
春奈が戸惑う。すると、もう1人の、緩いパーマをかけたやつが続く。
「だよねぇ~、ついさっきさ、俺ら同じように冷たくあしらわれたんだよねぇ~。君の先輩にさ」
「えっ……!? ほ、穂花《ほのか》先輩にですか?」
「「そうそう」」
上級生の男子2人が、キモいくらいハモって頷いていた。嫌味のある笑みを浮かべながら。
「あなたたちみたいな人は必要ありません、ってきっぱり断られてさ~」
緩いパーマをかけた上級生が、髪の襟足をいじりながら不満そうに言った。
「そ、それなら、もう私に聞かなくてもーーー」
「俺らとしては心外なんだよね」
春奈の言い分を、背の高い上級生が遮った。
「そのなに? たまたま廊下でさ、文芸部の穂花ちゃんが、顧問と話してるのは聞いてさ。純粋に作業手伝いたいって思って声かけたのに、そう無下にされると……」
「逆に燃えてくるよね~、そのなに? 中学生の後輩達に良いとこ見せたい的な~?」
上級生の男子2人が、春奈に詰め寄る。春奈が半歩下がった。だが、
「あっ……!」
春奈が、小さく慌てた声をあげた。緩いパーマをかけている上級生が、春奈の持っていたバインダーを奪っていた。
「じゃあ一緒に行きましょっか」
「あっ、あの!? か、返してっ……!」
春奈がバインダーに手を伸ばしたときだった。
「ひゃっ……!?」
春奈の右手を、背の高い高校生が掴んだ。や、野郎!! な、なに春奈の手、握ってんだ!?
「穂花ちゃんを待たせちゃ悪いだろ? エスコートするよ」
「あ、あの!? 手、手を……!」
「あっ、ずるいぞお前、可愛い後輩の手にぎんの」
「お前は、穂花ちゃんがいるだろ」
「なるほど。じゃあ許す」
上級生2人が嫌な笑いを浮かべながら廊下を進んでいく。春奈を、引き連れて。今にも泣きそうで、怖がってる、俺の……、俺の、大事な、春奈をだっ…………!!
春奈が、あたりをキョロキョロと、何かを探している。きっとそれは…………、口に出さなくても、わかる!!
「だああああ!! お、重すぎるぜぇ!! 本の束がよお!!」
俺は大声を出しながら、廊下の角から飛び出した。
背を向けていた上級生2人が、ぴたりと立ち止まり、振り返ってきた。
「「はあっ?」」
鋭い目つきで俺を睨んでさ。ひえっ!?!? こ、怖え!? 俺なんも悪いことしてないけど!? こ、これだから最近の若者は!! って、俺も若者出すけどねっ!
「そ、爽太ぁ……!」
春奈の、明るい声が聞こえた。
目線が吸い寄せられる。
とても嬉しそうに、顔がほころんでいた。
…………、たく、そんな顔されたら、な、なんとかしなきゃな。
俺は、両足に力を込め、前へ進み出た。
0
お気に入りに追加
4
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。


久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…
しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。
高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。
数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。
そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…

転生したら、6人の最強旦那様に溺愛されてます!?~6人の愛が重すぎて困ってます!~
月
恋愛
ある日、女子高生だった白川凛(しらかわりん)
は学校の帰り道、バイトに遅刻しそうになったのでスピードを上げすぎ、そのまま階段から落ちて死亡した。
しかし、目が覚めるとそこは異世界だった!?
(もしかして、私、転生してる!!?)
そして、なんと凛が転生した世界は女性が少なく、一妻多夫制だった!!!
そんな世界に転生した凛と、将来の旦那様は一体誰!?

美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった
ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます!
僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか?
『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

手が届かないはずの高嶺の花が幼馴染の俺にだけベタベタしてきて、あと少しで我慢も限界かもしれない
みずがめ
恋愛
宮坂葵は可愛くて気立てが良くて社長令嬢で……あと俺の幼馴染だ。
葵は学内でも屈指の人気を誇る女子。けれど彼女に告白をする男子は数える程度しかいなかった。
なぜか? 彼女が高嶺の花すぎたからである。
その美貌と肩書に誰もが気後れしてしまう。葵に告白する数少ない勇者も、ことごとく散っていった。
そんな誰もが憧れる美少女は、今日も俺と二人きりで無防備な姿をさらしていた。
幼馴染だからって、とっくに体つきは大人へと成長しているのだ。彼女がいつまでも子供気分で困っているのは俺ばかりだった。いつかはわからせなければならないだろう。
……本当にわからせられるのは俺の方だということを、この時点ではまだわかっちゃいなかったのだ。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる