【完結】±Days

空月

文字の大きさ
上 下
68 / 75
EXTRA(番外編)

【リクエストIF】彼女と三笠

しおりを挟む
※±Days本編主人公に関する恋とか愛とかそういうのは求めてないんでちょっと…な方はブラウザバックでお願いします。
 完全なるIFです。本編後、誰相手でもそういった関係になる可能性はゼロじゃない世界線において、三笠とうっかりオツキアイする流れになったという前提でお送りする、他愛ないやりとりです。





●距離感が気になる



「嬢さん、俺ずっと思ってたんだけど」

 「いきなり何です?」

 「それ」

 「?」

 「なんで敬語なわけ?」

 「なんでと言われても。なんとなく?」

 「すごく距離を感じるのでやめてほしいなぁと」

 「もう癖みたいなものになってるんですけど。最初からこれでしたし」

 「そりゃあ初対面からタメ口きくタイプじゃないけどさ、嬢さんは。一応俺ら、恋人同士だろ?」

 「そうですね、一応」

 「……自分で言ったんだけどちょっと傷つくんで、『一応』強調しないでほしかったな……」

 「我が儘ですね」

 「我が儘でスミマセン。我が儘ついでにタメ口にしてほしいって我が儘もきいてください嬢さん」

 「別にいいですけど」

 「へ。……いいんだ?」

 「なんでそこで驚くんですか。あなたが言い出したことでしょう」

 「いや、嬢さんが俺の言うこと素直に聞いてくれた試しってほとんどないし」

 「まるで私が頑固者のような言い回しはやめてください。……敬語をやめるのはいいですけど、条件があります」

 「条件? 何しろっての、嬢さん」

 「それ」

 「?」

 「その呼び方。そろそろやめてください」

 「……『嬢さん』じゃなくて、名前で呼べってこと?」

 「名前、とまで限定はしませんが。さすがに固有名詞でない呼びかけを続けられるのはちょっと」

 「じゃあ、……叶?」

 「なに、樹」

 「…………」

 「なにいきなりしゃがみこんでるの」

 「……いや、不意打つつもりが逆にくらわされた感でちょっと」

 「言っとくけど、屈みこんでも首まで赤くなってるから隠せてないから」

 「……癖みたいなものになってるとか言いつつ、滑らかに喋るね、嬢、……叶さん」

 「そういうあなたは適応力が不足してるみたいだけど。練習する?」

 「勘弁してください」

 「まぁ、別にいいけど。これから頑張って、樹さん?」




●ベタなことがしたい/雨と傘と言えば



「嬢さん、今日傘持ってる?」

 「持ってますよ」

 「えー…」

 「なんで不満そうなんですか」

 「降水確率半分切って、ついでに朝降りそうでもなかったのに、なんで持って来てんの?」

 「折り畳み傘は常備しておく派なんです。……傘を持って来てることでなにか不都合でも?」

 「せっかく相合傘のチャンスだと思ったのに」

 「頭沸いたんですか?」

 「いくら何でも辛辣すぎない嬢さん」

 「妥当な反応だと思いますが」

 「たまにはそういうコイビトっぽいことやりたいなーと思ってもバチは当たらないと思うんだけど、どうよ嬢さん」

 「どうよと訊かれても」

 「一応、曲がりなりに、コイビト同士ってことでいいんだよなー?って時々不安になる『彼氏』の心情を酌んでくれやしないかなーと」

 「……つまり、相合傘がしたいんですね?」

 「ゆくゆくは手を繋いだりとか組んだりとかしたいデス」

 「……意外とベタなのが好みなんですね。確約はしませんが、検討はします」

 「嬢さんにしてはすごく譲歩してくれてる感。とりあえず、相合傘はオッケー?」

 「――いいですよ。たまの『恋人』のワガママですしね」

 「……だから、嬢さん、そういう不意打ちはさぁ……」

 「? ……今の会話のどこに不意打ち要素が?」

 「会話っていうか表情っていうか、……いや嬉しいけど。嬉しいけど! 心臓に悪いって嬢さん……」

 「大袈裟すぎでしょう」

 「自分の普段の表情顧みて言ってクダサイ」

 「結構笑ってる方だと思うんですが」

 「笑顔の種類の話だっての。無自覚ならそれはそれでいいけど、俺が嬉しいだけだし」

 「……あなたの言動も大概だと思いますけどね」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

私の隣は、心が見えない男の子

舟渡あさひ
青春
人の心を五感で感じ取れる少女、人見一透。 隣の席の男子は九十九くん。一透は彼の心が上手く読み取れない。 二人はこの春から、同じクラスの高校生。 一透は九十九くんの心の様子が気になって、彼の観察を始めることにしました。 きっと彼が、私の求める答えを持っている。そう信じて。

冬の水葬

束原ミヤコ
青春
夕霧七瀬(ユウギリナナセ)は、一つ年上の幼なじみ、凪蓮水(ナギハスミ)が好き。 凪が高校生になってから疎遠になってしまっていたけれど、ずっと好きだった。 高校一年生になった夕霧は、凪と同じ高校に通えることを楽しみにしていた。 美術部の凪を追いかけて美術部に入り、気安い幼なじみの間柄に戻ることができたと思っていた―― けれど、そのときにはすでに、凪の心には消えない傷ができてしまっていた。 ある女性に捕らわれた凪と、それを追いかける夕霧の、繰り返す冬の話。

先輩に振られた。でも、いとこと幼馴染が結婚したいという想いを伝えてくる。俺を振った先輩は、間に合わない。恋、デレデレ、甘々でラブラブな青春。

のんびりとゆっくり
青春
俺、海春夢海(うみはるゆめうみ)。俺は高校一年生の時、先輩に振られた。高校二年生の始業式の日、俺は、いとこの春島紗緒里(はるしまさおり)ちゃんと再会を果たす。彼女は、幼い頃もかわいかったが、より一層かわいくなっていた。彼女は、俺に恋している。そして、婚約して結婚したい、と言ってきている。戸惑いながらも、彼女の熱い想いに、次第に彼女に傾いていく俺の心。そして、かわいい子で幼馴染の夏森寿々子(なつもりすずこ)ちゃんも、俺と婚約して結婚してほしい、という気持ちを伝えてきた。先輩は、その後、付き合ってほしいと言ってきたが、間に合わない。俺のデレデレ、甘々でラブラブな青春が、今始まろうとしている。この作品は、「小説家になろう」様「カクヨム」様にも投稿しています。「小説家になろう」様「カクヨム」様への投稿は、「先輩に振られた俺。でも、その後、いとこと幼馴染が婚約して結婚したい、という想いを一生懸命伝えてくる。俺を振った先輩が付き合ってほしいと言ってきても、間に合わない。恋、デレデレ、甘々でラブラブな青春。」という題名でしています。

隠れオタクの女子社員は若社長に溺愛される

永久保セツナ
恋愛
【最終話まで毎日20時更新】 「少女趣味」ならぬ「少年趣味」(プラモデルやカードゲームなど男性的な趣味)を隠して暮らしていた女子社員・能登原こずえは、ある日勤めている会社のイケメン若社長・藤井スバルに趣味がバレてしまう。 しかしそこから二人は意気投合し、やがて恋愛関係に発展する――? 肝心のターゲット層である女性に理解できるか分からない異色の女性向け恋愛小説!

鷹鷲高校執事科

三石成
青春
経済社会が崩壊した後に、貴族制度が生まれた近未来。 東京都内に広大な敷地を持つ全寮制の鷹鷲高校には、貴族の子息が所属する帝王科と、そんな貴族に仕える、優秀な執事を育成するための執事科が設立されている。 物語の中心となるのは、鷹鷲高校男子部の三年生。 各々に悩みや望みを抱えた彼らは、高校三年生という貴重な一年間で、学校の行事や事件を通して、生涯の主人と執事を見つけていく。 表紙イラスト:燈実 黙(@off_the_lamp)

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

月夜の理科部

嶌田あき
青春
 優柔不断の女子高生・キョウカは、親友・カサネとクラスメイト理系男子・ユキとともに夜の理科室を訪れる。待っていたのは、〈星の王子さま〉と呼ばれる憧れの先輩・スバルと、天文部の望遠鏡を売り払おうとする理科部長・アヤ。理科室を夜に使うために必要となる5人目の部員として、キョウカは入部の誘いを受ける。  そんなある日、知人の研究者・竹戸瀬レネから研究手伝いのバイトの誘いを受ける。月面ローバーを使って地下の量子コンピューターから、あるデータを地球に持ち帰ってきて欲しいという。ユキは二つ返事でOKするも、相変わらず優柔不断のキョウカ。先輩に贈る月面望遠鏡の観測時間を条件に、バイトへの協力を決める。  理科部「夜隊」として入部したキョウカは、夜な夜な理科室に来てはユキとともに課題に取り組んだ。他のメンバー3人はそれぞれに忙しく、ユキと2人きりになることも多くなる。親との喧嘩、スバルの誕生日会、1学期の打ち上げ、夏休みの合宿などなど、絆を深めてゆく夜隊5人。  競うように訓練したAIプログラムが研究所に正式採用され大喜びする頃には、キョウカは数ヶ月のあいだ苦楽をともにしてきたユキを、とても大切に思うようになっていた。打算で始めた関係もこれで終わり、と9月最後の日曜日にデートに出かける。泣きながら別れた2人は、月にあるデータを地球に持ち帰る方法をそれぞれ模索しはじめた。  5年前の事故と月に取り残された脳情報。迫りくるデータ削除のタイムリミット。望遠鏡、月面ローバー、量子コンピューター。必要なものはきっと全部ある――。レネの過去を知ったキョウカは迷いを捨て、走り出す。  皆既月食の夜に集まったメンバーを信じ、理科部5人は月からのデータ回収に挑んだ――。

【完結】育てた後輩を送り出したらハイスペになって戻ってきました

藤浪保
恋愛
大手IT会社に勤める早苗は会社の歓迎会でかつての後輩の桜木と再会した。酔っ払った桜木を家に送った早苗は押し倒され、キスに翻弄されてそのまま関係を持ってしまう。 次の朝目覚めた早苗は前夜の記憶をなくし、関係を持った事しか覚えていなかった。

処理中です...