27 / 75
王道ベタネタ(?)×ぐだぐだ日常編
アウトかセーフかは本人に聞いた方がいいと思います。
しおりを挟む
流石にそれは一概に言えないので答えられない。相談者はミスミ。
+ + + + + +
「……」
「…………」
「………………」
「……。……えらく真剣に考え込んでるけどどうした」
「……あ。ああ、すみません。自分ではどうしても答えが出せないので、意見を聞かせてほしいんですが」
「なに」
「――怪我した女の子を運ぶのに、どういう抱き方なら許されるんでしょうか」
「……。うん。とりあえずつっこんどくけど、運ぶのに抱くの一択なのか」
「抱える、と言い換えた方が良かったですか」
「それ自分でも言ってるけど言い換えただけだから。実質同じだから」
「だって足を――ああ、言ってなかったですけど足を怪我した場合、肩を貸すだけではやっぱり足に負担が掛かるのは避けられませんし。背負うのも、接触面が多い上にどうしても足に手を触れなければならないですから。みだりに女性の足に触れるのは駄目でしょう」
「頬にキスするのに抵抗ないのになんで足に触るのにはそんな慎重なんだよ。意味わからん」
「親愛表現としてキスが当たり前の環境だったからですよ。知ってるでしょう?」
「ついでにあんたが日常生活で浮くレベルにフェミニストなのもね。まあ、肩貸すのじゃ負担が掛かるのは同意だけど、あんたが抱くって言うなら俗にいうアレだろうし――っつーかいきなりそんなこと聞いてくるってことは実際そういう状況になったんだな?」
「実は、『彼女』が階段から落ちた瞬間に居合わせまして。抱き止めはしたんですが足を捻ったらしく、医務室まで抱いて連れて行ったんです。……どうも、様子を見るに横抱きは駄目だったようでしたから、それならどう抱けば良かったのかと」
「わーベタ。ある意味すごい。……横抱きってアレだよな、俗に言う『お姫様抱っこ』だよな?」
「はい。――『お姫様抱っこは乙女の夢』だと聞いていたのですが、違うんですか?」
「あー、それはどっちとも言いにくい。夢っちゃ夢なのかもしれないけど、実際やられると色々気になるってのもあるだろうし」
「気になるとは?」
「説明させるな察しろフェミニスト」
「わかりました聞かないでおきます」
「っつーかその抱き方なら結局足に触ったんじゃないの」
「確かにそれは避けられませんでしたが、どの抱き方よりも接触面は最少ですから」
「……ああ、言われてみれば」
「それで、どういう抱き方ならセーフだったんでしょう」
「抱き上げる相手によるとしか。まあ正直横抱きが一番無難だと思うけど。安定感さえあれば」
「一応標準的な体型の女性一人抱えるくらいはできると自負しているんですが」
「ああ、うん。あんた見た目に反して結構力あるよね。楽器やってるせいか知らないけど」
「物によっては結構な筋力が必要ですからね。――前抱きはアウトなんですか?」
「体格差ないと厳しいだろそれ。密着率半端なくなるだろ」
「……言われてみれば」
「とりあえず、抱き上げるにしても一言相手に意見を聞くとかすればよかったんじゃないの? あんたのことだし一言言って返答も聞かないまま抱き上げたとかだろどうせ」
「――見てたんですか?」
「いや見てなくてもそれくらい想像つくから。焦ってても相手の意思を尊重するの忘れなきゃ大丈夫だと思うけど。多分姫抱きもアウトだったってわけでもないと思うし。単に恥ずかしかったんじゃないの」
「……まあ、恥ずかしがる様も可愛かったんですけどね」
「最後の最後に惚気るなよおまえ。なんか殴りたくなるから」
「殴っ……。それ理不尽じゃありませんか?」
「こっちが置かれてる状況の方が理不尽だろ。アドバイスはともかく惚気を聞く義理はないってのこの馬鹿。とりあえずそのしまりのない顔をどうにかしてこい今すぐに」
+ + + + + +
「……」
「…………」
「………………」
「……。……えらく真剣に考え込んでるけどどうした」
「……あ。ああ、すみません。自分ではどうしても答えが出せないので、意見を聞かせてほしいんですが」
「なに」
「――怪我した女の子を運ぶのに、どういう抱き方なら許されるんでしょうか」
「……。うん。とりあえずつっこんどくけど、運ぶのに抱くの一択なのか」
「抱える、と言い換えた方が良かったですか」
「それ自分でも言ってるけど言い換えただけだから。実質同じだから」
「だって足を――ああ、言ってなかったですけど足を怪我した場合、肩を貸すだけではやっぱり足に負担が掛かるのは避けられませんし。背負うのも、接触面が多い上にどうしても足に手を触れなければならないですから。みだりに女性の足に触れるのは駄目でしょう」
「頬にキスするのに抵抗ないのになんで足に触るのにはそんな慎重なんだよ。意味わからん」
「親愛表現としてキスが当たり前の環境だったからですよ。知ってるでしょう?」
「ついでにあんたが日常生活で浮くレベルにフェミニストなのもね。まあ、肩貸すのじゃ負担が掛かるのは同意だけど、あんたが抱くって言うなら俗にいうアレだろうし――っつーかいきなりそんなこと聞いてくるってことは実際そういう状況になったんだな?」
「実は、『彼女』が階段から落ちた瞬間に居合わせまして。抱き止めはしたんですが足を捻ったらしく、医務室まで抱いて連れて行ったんです。……どうも、様子を見るに横抱きは駄目だったようでしたから、それならどう抱けば良かったのかと」
「わーベタ。ある意味すごい。……横抱きってアレだよな、俗に言う『お姫様抱っこ』だよな?」
「はい。――『お姫様抱っこは乙女の夢』だと聞いていたのですが、違うんですか?」
「あー、それはどっちとも言いにくい。夢っちゃ夢なのかもしれないけど、実際やられると色々気になるってのもあるだろうし」
「気になるとは?」
「説明させるな察しろフェミニスト」
「わかりました聞かないでおきます」
「っつーかその抱き方なら結局足に触ったんじゃないの」
「確かにそれは避けられませんでしたが、どの抱き方よりも接触面は最少ですから」
「……ああ、言われてみれば」
「それで、どういう抱き方ならセーフだったんでしょう」
「抱き上げる相手によるとしか。まあ正直横抱きが一番無難だと思うけど。安定感さえあれば」
「一応標準的な体型の女性一人抱えるくらいはできると自負しているんですが」
「ああ、うん。あんた見た目に反して結構力あるよね。楽器やってるせいか知らないけど」
「物によっては結構な筋力が必要ですからね。――前抱きはアウトなんですか?」
「体格差ないと厳しいだろそれ。密着率半端なくなるだろ」
「……言われてみれば」
「とりあえず、抱き上げるにしても一言相手に意見を聞くとかすればよかったんじゃないの? あんたのことだし一言言って返答も聞かないまま抱き上げたとかだろどうせ」
「――見てたんですか?」
「いや見てなくてもそれくらい想像つくから。焦ってても相手の意思を尊重するの忘れなきゃ大丈夫だと思うけど。多分姫抱きもアウトだったってわけでもないと思うし。単に恥ずかしかったんじゃないの」
「……まあ、恥ずかしがる様も可愛かったんですけどね」
「最後の最後に惚気るなよおまえ。なんか殴りたくなるから」
「殴っ……。それ理不尽じゃありませんか?」
「こっちが置かれてる状況の方が理不尽だろ。アドバイスはともかく惚気を聞く義理はないってのこの馬鹿。とりあえずそのしまりのない顔をどうにかしてこい今すぐに」
0
お気に入りに追加
8
あなたにおすすめの小説
Hand in Hand - 二人で進むフィギュアスケート青春小説
宮 都
青春
幼なじみへの気持ちの変化を自覚できずにいた中2の夏。ライバルとの出会いが、少年を未知のスポーツへと向わせた。
美少女と手に手をとって進むその競技の名は、アイスダンス!!
【2022/6/11完結】
その日僕たちの教室は、朝から転校生が来るという噂に落ち着きをなくしていた。帰国子女らしいという情報も入り、誰もがますます転校生への期待を募らせていた。
そんな中でただ一人、果歩(かほ)だけは違っていた。
「制覇、今日は五時からだから。来てね」
隣の席に座る彼女は大きな瞳を輝かせて、にっこりこちらを覗きこんだ。
担任が一人の生徒とともに教室に入ってきた。みんなの目が一斉にそちらに向かった。それでも果歩だけはずっと僕の方を見ていた。
◇
こんな二人の居場所に現れたアメリカ帰りの転校生。少年はアイスダンスをするという彼に強い焦りを感じ、彼と同じ道に飛び込んでいく……
――小説家になろう、カクヨム(別タイトル)にも掲載――
【完結】ぽっちゃり好きの望まない青春
mazecco
青春
◆◆◆第6回ライト文芸大賞 奨励賞受賞作◆◆◆
人ってさ、テンプレから外れた人を仕分けるのが好きだよね。
イケメンとか、金持ちとか、デブとか、なんとかかんとか。
そんなものに俺はもう振り回されたくないから、友だちなんかいらないって思ってる。
俺じゃなくて俺の顔と財布ばっかり見て喋るヤツらと話してると虚しくなってくるんだもん。
誰もほんとの俺のことなんか見てないんだから。
どうせみんな、俺がぽっちゃり好きの陰キャだって知ったら離れていくに決まってる。
そう思ってたのに……
どうしてみんな俺を放っておいてくれないんだよ!
※ラブコメ風ですがこの小説は友情物語です※
全力でおせっかいさせていただきます。―私はツンで美形な先輩の食事係―
入海月子
青春
佐伯優は高校1年生。カメラが趣味。ある日、高校の屋上で出会った超美形の先輩、久住遥斗にモデルになってもらうかわりに、彼の昼食を用意する約束をした。
遥斗はなぜか学校に住みついていて、衣食は女生徒からもらったものでまかなっていた。その報酬とは遥斗に抱いてもらえるというもの。
本当なの?遥斗が気になって仕方ない優は――。
優が薄幸の遥斗を笑顔にしようと頑張る話です。
無敵のイエスマン
春海
青春
主人公の赤崎智也は、イエスマンを貫いて人間関係を完璧に築き上げ、他生徒の誰からも敵視されることなく高校生活を送っていた。敵がいない、敵無し、つまり無敵のイエスマンだ。赤崎は小学生の頃に、いじめられていた初恋の女の子をかばったことで、代わりに自分がいじめられ、二度とあんな目に遭いたくないと思い、無敵のイエスマンという人格を作り上げた。しかし、赤崎は自分がかばった女の子と再会し、彼女は赤崎の人格を変えようとする。そして、赤崎と彼女の勝負が始まる。赤崎が無敵のイエスマンを続けられるか、彼女が無敵のイエスマンである赤崎を変えられるか。これは、無敵のイエスマンの悲哀と恋と救いの物語。
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。
息絶える瞬間の詩のように
有沢真尋
青春
海辺の田舎町で、若手アーティストを招聘した芸術祭が開催されることに。
ある絵を見て以来、うまく「自分の絵」がかけなくなっていた女子高生・香雅里(かがり)は、招聘アーティストの名前に「あの絵のひと」を見つけ、どうしても会いたいと思い詰める。
だけど、現れた日本画家・有島はとてつもなくガラの悪い青年で……
※喫煙描写があります。苦手な方はご注意ください。
表紙イラスト:あっきコタロウさま
(https://note.com/and_dance_waltz/m/mb4b5e1433059)
僕《わたし》は誰でしょう
紫音
青春
※第7回ライト文芸大賞にて奨励賞を受賞しました。応援してくださった皆様、ありがとうございました。
【あらすじ】
交通事故の後遺症で記憶喪失になってしまった女子高生・比良坂すずは、自分が女であることに違和感を抱く。
「自分はもともと男ではなかったか?」
事故後から男性寄りの思考になり、周囲とのギャップに悩む彼女は、次第に身に覚えのないはずの記憶を思い出し始める。まるで別人のものとしか思えないその記憶は、一体どこから来たのだろうか。
見知らぬ思い出をめぐる青春SF。
※表紙イラスト=ミカスケ様
鷹鷲高校執事科
三石成
青春
経済社会が崩壊した後に、貴族制度が生まれた近未来。
東京都内に広大な敷地を持つ全寮制の鷹鷲高校には、貴族の子息が所属する帝王科と、そんな貴族に仕える、優秀な執事を育成するための執事科が設立されている。
物語の中心となるのは、鷹鷲高校男子部の三年生。
各々に悩みや望みを抱えた彼らは、高校三年生という貴重な一年間で、学校の行事や事件を通して、生涯の主人と執事を見つけていく。
表紙イラスト:燈実 黙(@off_the_lamp)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる