転生先が二次元みたいな三次元だったけどエンジョイしない人達(二次元愛)の話。

空月

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本編っぽいもの

【急募】乱立するフラグを叩き折る方法。

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これは、「リアル逆ハー補正とかマジ要らないんですけど」な彼女と、「リアルハーレムフラグとか必要ないから二次充させてくれ」な彼が、乱立するリアル恋愛フラグを折るために「(偽装)恋人できましたー」と周囲に報告してから数日後の、彼と彼女の他愛のない会話の一片である。

+ + + + + +



「そういえばちょっと思ったんだけど、実はコミュスキル高いよね君」

「そうかー? 事なかれ主義ってか波風立てたくない系男子だからじゃね」

「っていうかなんで私と喋る時だけそんな口調軽くなるの?」

「前世?はこんなんだったんだよ。なんかあんたの前だと戻る」

「何で?」

「さあ? 同属意識的なアレじゃね。ちなみにネットではもっと軽い」

「それはなんか分かる。めっちゃ草生やしてそう」

「ってかあんたもアイツらの前と俺の前じゃ違いすぎだろ」

「だって私コミュスキル底辺だし。あとリアルイケメンこわい。でかいしなんか別の世界のイキモノっぽい。君そういうのないの?」

「特には。おキレーな顔してんなって関心はするけど。あと皆俺よりちっさいからなー。とりあえず怖くはない」

「くそう羨ましい」

「威圧感あるのはしゃーないだろ。男女の差もあるし」

「そんな正論はいらない。心の平安が欲しい」

「あっはは、はは……。……何でこうなったんだろうな?」

「私が知りたいよ……やめて泣けてきた」

「見通しが甘すぎたんだよな……まさか嫉妬フラグONになるとは」

「ちょっとは予想してたけど、まさか全員そのままVSルート入るとかないわー」

「フラグ、誰ひとりとして折れなかったな……」

「むしろ逆にフラグ立ったよね意味わかんない」

「しかし二次充はしやすくなった」

「名目があるっていいよね……あとお助けキャラが現れたのは予想外すぎたけど嬉しい」

「キャラ言うな。まあそうだが」

「だって共通じゃん、そっちとこっちで。何あの情報通」

「本気でここ二次元なんじゃねって思ったけど、俺らにとってリアルならやっぱ三次元だったわ」

「やっぱ至高は画面の向こうだよね平面だよね」

「しかし適度に相手しないと感情爆発イベント起こるとか何か? 元祖ギャルゲーリスペクトかこの世界」

「ほら、リアルでも『あの子ばっかり構って……私のことなんてどうでもいいの!?』って、『仕事と私どっちが大事なの』の亜種みたいなのあるじゃん。オタク同士だとそんなない気がするけど」

「いやそれはわかってんだけど。つーかそれ仕事と私云々の方が亜種じゃね。とりあえず調節めんどくさい」

「本音漏れてる漏れてる。いいじゃん、そっちはそれさえしてれば大体回避できるんだから。こっちなんてそれやってると強制VSイベ起こるんだけど」

「だって女子ってVSイベ好きだろ。少女マンガの王道は本命と当て馬の間で心が揺れたり『俺にしとけよ』って言われたりするアレだろ」

「※ただし二次元・イケメンに限る。ってかその王道はわりと偏ってるような気がしないでもない」

「王道って幅広いもんな……。しかし真理だけどそれ真顔で言っていいのか逆ハーヒロイン」

「うるさいギャルゲー主人公。絶対君、最後まで本命決めずにフラフラしてても問題ないじゃんずるい」

「ずるくない。俺はリアルハーレムとか心底いらないんだって。二次元だってどっちかってーと同時攻略より個別のが好きだし。っつーか卒業式に全員の告白イベとか起きても困るし」

「でもそっちなんかちょっとイロモノいるよね? ファンタジー突入とかしない?」

「不吉なこと言うなよ、確かになんかバリエーション幅広いけど。っつーかそっちこそそろそろ世界観ごとひっくり返す隠しキャラとかくるんじゃね?」

「乙女ゲーのそういう隠しキャラは基本全員クリア後だから。ルートの途中参戦は可能性低いし。せいぜい存在チラ見せくらいだって信じてる」

「そうか……そうだといいな」

「やめてそんな生温い目で見ないで……!」


+ + + + + +

すべての会話がフラグに思えるレベルの『二次元っぽい三次元』を甘く見ていた、と双方が深刻な顔で近況報告することになるのは――残念ながら、この数日後のことだったりする。 
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