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14:シャーロッテ視点⑥
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夕飯は家族全員で一緒に食べるらしい。おなかすいたら勝手に食べればいいんじゃないの?
こんな堅苦しいの食べた気にならない。しかも、食器の使い方とか、音を立てないように食べろとか、幽霊がうるさく言ってきて腹立つんだけど。
「あと半年で貴族学園に入学せねばならん。最低限のマナーと読み書きを学ぶための家庭教師を手配するので励みなさい。高位貴族としての品位を保てるように」
「えっ?……分かりましたぁ」
侯爵がこっちを見ているので渋々返事する。
そんなのほんとに必要?勉強しないといけないってこと?うんざり!
女なんだからニコニコ男に媚びて笑ってればなんとかなるでしょうに。
はあ。思ったより貴族ってめんどくさい。
侯爵が家にいるあいだは大人しくいうことを聞いておいた。
とはいっても、勉強なんてしたくないから、すぐに部屋から抜け出したりしている。だって、分からないものは分からないっての!
ちっとも勉強が進んでないと侯爵にチクった奴らは、暴れて物を投げてたら、自分で辞めるって言い出したし、見苦しく居続ける奴は首にしてやった。
今は抜け出しても文句も言わない奴が残っててサボりやすい。
そして侯爵が外交の仕事とやらで国外に行くことになった。
窮屈だったこの家もやっと自由にできそう。
「私の留守の間足りないことがあったら、執事長に言いなさい」
旅立つ前に侯爵がわざわざわたしに言ってくる。
わたしの気を引きたいのかしら。
……なぁに?もしかしてお上品な侯爵様もわたしとヤッてみたいと思ったのぉ?
確かに貴族の女なんてベッドじゃまるでつまんなさそうだもんね。棒のように仰向けに寝て"さあお好きになさって"とか言ってそう。笑えるぅ。
侯爵がいなくなって一つ残念だったのは奥さんと息子も一緒に連れて行ってしまったことだった。あとちょっとで息子を落とせそうだったんだけどな。
話しかけるたびに目をうるうるさせてる姿がそそられてヤリたかったのに。
すぐに照れちゃって幽霊の部屋に逃げ込んじゃうから、手を出せなかったのよね。
でも、一番のお楽しみはこれからよ。
そのために仕立屋を呼びつけて、わたしの魅力がよく分かるドレスを仕立てさせたんだから。装飾品も陽の光でキラキラ光ってわたしをより派手に見せてくれる。
家庭教師が言ってた。この侯爵家がどんなに由緒ある家門なのかっていう説明をされたときだ。
あの幽霊が第一王子と交流を深めるために茶席を設けてるって。
茶席ってなに?茶を飲むだけ?ヤんないの?まあいいやそれよりも!
なにそれなにそれ、つまり王子さまがこの家に来るってことじゃない!
その日は朝から家がざわざわしていた。召使いたちがいつもより忙しそうに動き回っててせわしない。
わたしも準備万端整える。仕立てさせたピンクのとっておきのドレスを着せるよう召使いに命令する。
宝石も身に着けてめいっぱい飾り立てた。
わたしがこの家でどんなに愛されてるかしっかり見せないとね。
派手に華やかに愛らしく!
あんな幽霊なんかめじゃないくらい目立たないと。
召使いに聞くと、庭に茶席が設けられてるという話だった。
ガゼボとかいう場所に人がいるのが見える。
あの座ってるのが王子さま!?
ふふっ。わたしを見て目を見開いてる。
無理もないけどね。
相変わらず幽霊は地味よね。宝石の一つも付けたらどう?それに服なんて修道女みたい。せっかくの若い女の肌をそんなに隠しちゃって。見せなくてどうすんの。
そんな幽霊みたいな女よりわたしのほうがずっと可愛いし、華やかでいい女でしょう?
「エリィ、その方はだぁれ?」
もう王子さまだって分かってるけどね。
こんな堅苦しいの食べた気にならない。しかも、食器の使い方とか、音を立てないように食べろとか、幽霊がうるさく言ってきて腹立つんだけど。
「あと半年で貴族学園に入学せねばならん。最低限のマナーと読み書きを学ぶための家庭教師を手配するので励みなさい。高位貴族としての品位を保てるように」
「えっ?……分かりましたぁ」
侯爵がこっちを見ているので渋々返事する。
そんなのほんとに必要?勉強しないといけないってこと?うんざり!
女なんだからニコニコ男に媚びて笑ってればなんとかなるでしょうに。
はあ。思ったより貴族ってめんどくさい。
侯爵が家にいるあいだは大人しくいうことを聞いておいた。
とはいっても、勉強なんてしたくないから、すぐに部屋から抜け出したりしている。だって、分からないものは分からないっての!
ちっとも勉強が進んでないと侯爵にチクった奴らは、暴れて物を投げてたら、自分で辞めるって言い出したし、見苦しく居続ける奴は首にしてやった。
今は抜け出しても文句も言わない奴が残っててサボりやすい。
そして侯爵が外交の仕事とやらで国外に行くことになった。
窮屈だったこの家もやっと自由にできそう。
「私の留守の間足りないことがあったら、執事長に言いなさい」
旅立つ前に侯爵がわざわざわたしに言ってくる。
わたしの気を引きたいのかしら。
……なぁに?もしかしてお上品な侯爵様もわたしとヤッてみたいと思ったのぉ?
確かに貴族の女なんてベッドじゃまるでつまんなさそうだもんね。棒のように仰向けに寝て"さあお好きになさって"とか言ってそう。笑えるぅ。
侯爵がいなくなって一つ残念だったのは奥さんと息子も一緒に連れて行ってしまったことだった。あとちょっとで息子を落とせそうだったんだけどな。
話しかけるたびに目をうるうるさせてる姿がそそられてヤリたかったのに。
すぐに照れちゃって幽霊の部屋に逃げ込んじゃうから、手を出せなかったのよね。
でも、一番のお楽しみはこれからよ。
そのために仕立屋を呼びつけて、わたしの魅力がよく分かるドレスを仕立てさせたんだから。装飾品も陽の光でキラキラ光ってわたしをより派手に見せてくれる。
家庭教師が言ってた。この侯爵家がどんなに由緒ある家門なのかっていう説明をされたときだ。
あの幽霊が第一王子と交流を深めるために茶席を設けてるって。
茶席ってなに?茶を飲むだけ?ヤんないの?まあいいやそれよりも!
なにそれなにそれ、つまり王子さまがこの家に来るってことじゃない!
その日は朝から家がざわざわしていた。召使いたちがいつもより忙しそうに動き回っててせわしない。
わたしも準備万端整える。仕立てさせたピンクのとっておきのドレスを着せるよう召使いに命令する。
宝石も身に着けてめいっぱい飾り立てた。
わたしがこの家でどんなに愛されてるかしっかり見せないとね。
派手に華やかに愛らしく!
あんな幽霊なんかめじゃないくらい目立たないと。
召使いに聞くと、庭に茶席が設けられてるという話だった。
ガゼボとかいう場所に人がいるのが見える。
あの座ってるのが王子さま!?
ふふっ。わたしを見て目を見開いてる。
無理もないけどね。
相変わらず幽霊は地味よね。宝石の一つも付けたらどう?それに服なんて修道女みたい。せっかくの若い女の肌をそんなに隠しちゃって。見せなくてどうすんの。
そんな幽霊みたいな女よりわたしのほうがずっと可愛いし、華やかでいい女でしょう?
「エリィ、その方はだぁれ?」
もう王子さまだって分かってるけどね。
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