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21:エレオノーラ視点①
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私はエレオノーラ・セレーナ・リンゼヴァイドと申します。
母のお国の女性名で名付けられました。五つ下の弟がおります。
此度の騒動のそもそもの始まりを知っていただけるように、婚約者となられたお二人の王子との馴れ初めから語ることをお許しくださいませ。
私が第一王子と第二王子、共に初めてお会いしましたのは、侯爵邸で開かれたお茶会の席でした。
その日のお茶会は、実質ルキウス第一王子殿下との婚約の顔見せとして設けられた席だったことを後から知るのですが、その時はいつもと違う周囲の慌ただしさに胸騒ぎがしたことを覚えています。
お父様が珍しく申し訳ないような表情で私を呼んでおっしゃいます。
「お前の婚約者が決まった……。ルキウス第一王子殿下だ。最後までお考え直し下さるよう国王陛下には申し上げたのだが、評判の良いお前の噂を聞きつけて特に王妃殿下がどうしてもということでな。私の力が至らなかった……なに、いざとなったら爵位を返上し、公国に移り住むという手段も取れる。何かあったらいつでもどんなことでもすぐに私に言いなさい。きちんと対処しよう」
お父様は第一王子の評判を聞いて派閥には属さず中立の立場をとられてきたのですが、これでリンゼヴァイド侯爵家は第一王子派の筆頭派閥家門となってしまったのです。
ルキウス第一王子殿下の評判は既に私にも届いていました。
横暴で勉学のお嫌いな第一王子との評判です。
私を殿下の生き字引兼相談役に据えようと計画された婚約なのですね。
貴族の婚姻は繁栄のための契約ですし、物心ついた時から恋愛とは無縁であることを叩きこまれておりますから、諦めてはいたのですがさすがに肩を落としてしまいます。
初対面の挨拶での評判通りの態度に、殿下の護衛騎士、私の侍女たちが息を呑みます。
「お前が僕の婚約者か。ま、まあ、婚姻を執り行う頃には少しはましになってるだろうし」
「はい、殿下。相応しい姿になれるよう、努力いたしますわ」
ルキウス殿下に容姿のことを言われ自分ではどうしようもない哀しみに、それでも表情に出すことははしたないとされていましたので、そのやるせなさを己の心の奥に閉じ込めるしかありませんでした。
そんな私に気付いて下さったのはテオドール第二王子殿下でした。
ルキウス殿下より三つ下で私より一つ下なのですが、心の機敏を察してくださるお優しい方で、必死に私を慰めて下さったのです。
「ねぇ。あんな兄の言うことなど、気にすることは無いよ。宝石箱にずっと入れておきたいくらい君はとっても綺麗だから。まるで精霊か妖精みたいだ」
そういうテオドール第二王子殿下こそ、まるで黄金のような髪と澄み渡った空のような青い瞳の持ち主で、以前読んだ王子様の物語の本の中から抜け出てらっしゃったかのようです。あの本は幼い頃の宝物でした。
私の恋はこの日から始まりました。
婚約者がテオドール殿下でらっしゃったらどんなに嬉しかったか……
その後、王子妃教育が始まり、王宮を訪れるようになりました。
陛下と王妃様はとても良くして下さいましたが、それでもどうしようもなく難解で厳しく辛い教育のさ中にあるささやかな幸福。
王宮の王妃宮へと渡る廊下で、
あるいは限られた休息のための中庭の散歩で、
一瞬だけでもテオドール殿下の御姿を拝見出来ますのが、何よりも幸せな出来事だったのです。
私の目の前に広がる未来は、モノクロームの景色と、どこまでも真っすぐな細い道だけ。
この先、自分の人生で幸せなどやってくるのだろうかと、既に諦めの境地にありました。
全てを覆す嵐がやって来て私の人生が飲み込まれたのは、お父様の弟である叔父様と従妹の母親が馬車の事故で亡くなったと、侯爵家に憲兵から連絡が入った時からでした。
お父様が、自ら姪だと名乗ったシャーロッテという女性を、侯爵邸に連れてきたのです。
彼女の周りの人を品定めする赤い目が、有無を言わさず周囲を飲み込む大嵐の前触れのように思えてなりませんでした。
初対面から彼女は何故かエリィと名称呼びし、私の言葉の一つ一つに苛立っているようでした。
「よろしくねぇエリィ。今日からわたしもここに住むから」
名称呼びをされたいのは私の中ではただお一人しかおりません。ですので止めて欲しいと申しましても、
「構わないでしょ?もうわたしはこの家に住むんだし」
同じ家に住んだからといって何だというのでしょう。本人が嫌がっているのにも関わらず何故名称呼びをしても構わなくなるのでしょうか。彼女の言葉がまるで理解出来ず途方に暮れてしまいます。
それよりも恐ろしいのは、彼女の男と女を見る目があまりにも違うことでした。
有り体に言うと、私と弟を見る目が違いすぎるのです。
弟に色目を使っていることに嫌な予感しか致しません。弟はまだ十になったばかりなのです。
お父様にそのことを申し上げると、全く同じ意見でした。
「あの媚びるような目付きは気味が悪い。私にだけならともかくカールに対する目付きは獲物を狙う蛇の目だ。息子をこの屋敷に置いておくのは悪手だろう」
カールとは弟の名です。
日に日にシャーロッテがカールに接触しようとする回数が増えており、弟が半泣きになりながら私の部屋に逃げ込んできて、一刻の猶予も無いように感じます。
シャーロッテに何を言われたのか尋ねてみると、たいそう怖がり泣き出してしまって答えてくれようとはしませんでした。
数日後弟から決して離れないようお願いしたお付きの侍女が、聞いたことをそのまま報告してくれたのですが、その答えに戦慄を禁じ得ません。
『カールお坊ちゃん、女の裸に興味なーい?良かったらわたしの部屋で見せてあげるぅ。触ってみてもいいのよ?胸もアソコもとぉーっても柔らかいんだからぁ。脚を開いてあげるからじっくり眺められるわよぉ』
『もうそろそろ付いてるモノがウズウズすることがあるんじゃな~い?それってどうやって鎮めるか分かるぅ?』
まだ十歳の子供に何と言うことを……
「お父様、しばらく別邸で休暇を取られるのは如何ですか?お母様とカールもご一緒に」
しばしの間考え込まれると、名案を思い付かれたようでお父様が微笑まれました。私の提案の裏までも読み取って頂けたようです。さすが折衝を得意とする主席外交官の名は伊達ではありませんわね。
「それでは別邸であの娘の身上調査を徹底的に行うことにしよう。外交で国外に行き不在ということにすればよい」
「ええ、お父様お願い致します」
「ただ、エレオノーラ。お前をこの屋敷に一人にすることが気がかりだ……」
それは私の家族と侯爵家を守るという目的のためなら仕方のないことです。シャーロッテが侯爵家を食い物にするために入り込んだことは疑いようがありません。
……ただ、利用する為に入り込んだ家門の者に、逆に返り討ちにされるだなんて思いもしないでしょうけれど。目的のためなら私はいくらでも無表情の人形のままでいることに致しましょう。
「私は大丈夫です。お父様がいらっしゃらないほうが、早くに化けの皮が剥がれるでしょうから」
そうして父と母、弟は屋敷から離れたのです。
母のお国の女性名で名付けられました。五つ下の弟がおります。
此度の騒動のそもそもの始まりを知っていただけるように、婚約者となられたお二人の王子との馴れ初めから語ることをお許しくださいませ。
私が第一王子と第二王子、共に初めてお会いしましたのは、侯爵邸で開かれたお茶会の席でした。
その日のお茶会は、実質ルキウス第一王子殿下との婚約の顔見せとして設けられた席だったことを後から知るのですが、その時はいつもと違う周囲の慌ただしさに胸騒ぎがしたことを覚えています。
お父様が珍しく申し訳ないような表情で私を呼んでおっしゃいます。
「お前の婚約者が決まった……。ルキウス第一王子殿下だ。最後までお考え直し下さるよう国王陛下には申し上げたのだが、評判の良いお前の噂を聞きつけて特に王妃殿下がどうしてもということでな。私の力が至らなかった……なに、いざとなったら爵位を返上し、公国に移り住むという手段も取れる。何かあったらいつでもどんなことでもすぐに私に言いなさい。きちんと対処しよう」
お父様は第一王子の評判を聞いて派閥には属さず中立の立場をとられてきたのですが、これでリンゼヴァイド侯爵家は第一王子派の筆頭派閥家門となってしまったのです。
ルキウス第一王子殿下の評判は既に私にも届いていました。
横暴で勉学のお嫌いな第一王子との評判です。
私を殿下の生き字引兼相談役に据えようと計画された婚約なのですね。
貴族の婚姻は繁栄のための契約ですし、物心ついた時から恋愛とは無縁であることを叩きこまれておりますから、諦めてはいたのですがさすがに肩を落としてしまいます。
初対面の挨拶での評判通りの態度に、殿下の護衛騎士、私の侍女たちが息を呑みます。
「お前が僕の婚約者か。ま、まあ、婚姻を執り行う頃には少しはましになってるだろうし」
「はい、殿下。相応しい姿になれるよう、努力いたしますわ」
ルキウス殿下に容姿のことを言われ自分ではどうしようもない哀しみに、それでも表情に出すことははしたないとされていましたので、そのやるせなさを己の心の奥に閉じ込めるしかありませんでした。
そんな私に気付いて下さったのはテオドール第二王子殿下でした。
ルキウス殿下より三つ下で私より一つ下なのですが、心の機敏を察してくださるお優しい方で、必死に私を慰めて下さったのです。
「ねぇ。あんな兄の言うことなど、気にすることは無いよ。宝石箱にずっと入れておきたいくらい君はとっても綺麗だから。まるで精霊か妖精みたいだ」
そういうテオドール第二王子殿下こそ、まるで黄金のような髪と澄み渡った空のような青い瞳の持ち主で、以前読んだ王子様の物語の本の中から抜け出てらっしゃったかのようです。あの本は幼い頃の宝物でした。
私の恋はこの日から始まりました。
婚約者がテオドール殿下でらっしゃったらどんなに嬉しかったか……
その後、王子妃教育が始まり、王宮を訪れるようになりました。
陛下と王妃様はとても良くして下さいましたが、それでもどうしようもなく難解で厳しく辛い教育のさ中にあるささやかな幸福。
王宮の王妃宮へと渡る廊下で、
あるいは限られた休息のための中庭の散歩で、
一瞬だけでもテオドール殿下の御姿を拝見出来ますのが、何よりも幸せな出来事だったのです。
私の目の前に広がる未来は、モノクロームの景色と、どこまでも真っすぐな細い道だけ。
この先、自分の人生で幸せなどやってくるのだろうかと、既に諦めの境地にありました。
全てを覆す嵐がやって来て私の人生が飲み込まれたのは、お父様の弟である叔父様と従妹の母親が馬車の事故で亡くなったと、侯爵家に憲兵から連絡が入った時からでした。
お父様が、自ら姪だと名乗ったシャーロッテという女性を、侯爵邸に連れてきたのです。
彼女の周りの人を品定めする赤い目が、有無を言わさず周囲を飲み込む大嵐の前触れのように思えてなりませんでした。
初対面から彼女は何故かエリィと名称呼びし、私の言葉の一つ一つに苛立っているようでした。
「よろしくねぇエリィ。今日からわたしもここに住むから」
名称呼びをされたいのは私の中ではただお一人しかおりません。ですので止めて欲しいと申しましても、
「構わないでしょ?もうわたしはこの家に住むんだし」
同じ家に住んだからといって何だというのでしょう。本人が嫌がっているのにも関わらず何故名称呼びをしても構わなくなるのでしょうか。彼女の言葉がまるで理解出来ず途方に暮れてしまいます。
それよりも恐ろしいのは、彼女の男と女を見る目があまりにも違うことでした。
有り体に言うと、私と弟を見る目が違いすぎるのです。
弟に色目を使っていることに嫌な予感しか致しません。弟はまだ十になったばかりなのです。
お父様にそのことを申し上げると、全く同じ意見でした。
「あの媚びるような目付きは気味が悪い。私にだけならともかくカールに対する目付きは獲物を狙う蛇の目だ。息子をこの屋敷に置いておくのは悪手だろう」
カールとは弟の名です。
日に日にシャーロッテがカールに接触しようとする回数が増えており、弟が半泣きになりながら私の部屋に逃げ込んできて、一刻の猶予も無いように感じます。
シャーロッテに何を言われたのか尋ねてみると、たいそう怖がり泣き出してしまって答えてくれようとはしませんでした。
数日後弟から決して離れないようお願いしたお付きの侍女が、聞いたことをそのまま報告してくれたのですが、その答えに戦慄を禁じ得ません。
『カールお坊ちゃん、女の裸に興味なーい?良かったらわたしの部屋で見せてあげるぅ。触ってみてもいいのよ?胸もアソコもとぉーっても柔らかいんだからぁ。脚を開いてあげるからじっくり眺められるわよぉ』
『もうそろそろ付いてるモノがウズウズすることがあるんじゃな~い?それってどうやって鎮めるか分かるぅ?』
まだ十歳の子供に何と言うことを……
「お父様、しばらく別邸で休暇を取られるのは如何ですか?お母様とカールもご一緒に」
しばしの間考え込まれると、名案を思い付かれたようでお父様が微笑まれました。私の提案の裏までも読み取って頂けたようです。さすが折衝を得意とする主席外交官の名は伊達ではありませんわね。
「それでは別邸であの娘の身上調査を徹底的に行うことにしよう。外交で国外に行き不在ということにすればよい」
「ええ、お父様お願い致します」
「ただ、エレオノーラ。お前をこの屋敷に一人にすることが気がかりだ……」
それは私の家族と侯爵家を守るという目的のためなら仕方のないことです。シャーロッテが侯爵家を食い物にするために入り込んだことは疑いようがありません。
……ただ、利用する為に入り込んだ家門の者に、逆に返り討ちにされるだなんて思いもしないでしょうけれど。目的のためなら私はいくらでも無表情の人形のままでいることに致しましょう。
「私は大丈夫です。お父様がいらっしゃらないほうが、早くに化けの皮が剥がれるでしょうから」
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