【完結】とある侯爵令嬢ですが婚約破棄されました~おバカな王子様は要らないので従妹に差し上げます~

しのみやあろん

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15:シャーロッテ視点⑦※

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 王子さまはあっけなく陥落した。


 あんな幽霊を婚約者にしてるくらいだから女っ気なんてないだろうって思ったけど、女を知ってたのはちょっとビックリだったかな。
 
 それにしたって

 女の扱いの上手い奴とばっかり遊んでたから、余計にそう思う。

 この国の王子さまとヤレるって思ったからこそ濡れてたけど、そうじゃなかったら大変な思いをするとこだったって!
 スカートまくって中に入ってきてからも自分の気持ちのいいようにしか動かないし、最初っから激しくて力任せだったりするし。変な情報に踊らされてこんなことになってるのか。ちゃんと女の様子を見なさいよね。

 処女のするのも大変。
「初めてなのにぃ……ひどぉい」

 そう言ってみたらルキウスさまがびっくりして目を見開いた。

 ……ヤバ……っ。バレた?
 この分だと処女を抱いたことなんてないだろうからバレないと思ったんだけど……

 んんっ。大丈夫みたい。絶頂を見計らって言ったからすぐ果ててくれた。
 
 こんな明るいのにまじまじと見るのは止めてほしい。
 いくらわたしがきれいだからって。



 ◇◇◇


 
 久しぶりに森の小屋に行くと、男が荷物をまとめてどこかに行こうとしてた。

「おー?久しぶりだな。ちょいと王都に用があってな。一か月ほど留守にするわ」
 
 最初は怪しい男だと思ってたが、俺を買って任せてくれるって言うんでな、とか言ってる。
 何の用があるってのよ。

 分かんないけど、好都合じゃない?
 連れ込み宿を使いすぎて、ルキウスさまが神経とがらせてるのよね。
 建前上見つかったらヤバいとか何とか。

「そお?じゃあ留守のあいだここ貸してよ」

「なんだあ?ここを連れ込み宿にでもするつもりかあ?まあいいけど。じゃあまあ、ひと月後戻ってきたらいい土産をやるよ」

「いい土産ってなによ」

「王都に行く理由のだよ。大儲け出来そうだからな」

 ふぅん。金儲けのためか。
 この男、わたしが王子さまと寝てる、って知ったらどんな顔をするんだろ。言いたくなるのを必死にこらえる。

「じゃ、せいぜいお金たくさん稼いできてよ」

「おう」

 手をひらひらさせて男は去っていった。相変わらず軽いやつ。


 森小屋にルキウスさまを案内したら、思ったより喜んでくれた。でヤレるのが嬉しいんだろう。男が隠し持ってる幻覚剤もあらかじめ飲み物に入れてちょっと盛っておく。これをと、快楽が何割か増しになるんだよね。
 男が女を最初に連れ込んできたときに使ってるのを見て、隠し場所も分かってる。
 幻覚剤入りの飲み物はわたしも一緒に飲んでるから、疑われることはなかった。

 ここでヤルようになってから、獣の体位ばっかりになっちゃった。
 ワンパターンね、って思ったけど、所有欲を満たせる体位みたいだからそうなっちゃうのかしら。
 やたら「どうだ」とか「そんなに具合がいいのか?」って聞いてきてウザいけど。
 男の物のほうが太いし長いしで、気持ち良さなんて全然比べ物にならないのよ。女のイイ場所をよく分かっててグリグリ突いてくるし、わたしにありとあらゆる絶頂を仕込んだのだってあいつだし。
 男の性技とまではいかなくとも、わたしが遊んでる他の男たちくらいには上手くなってくれないかしら。

 まあでも、王子さまって身分は最強だし、夢中にさせてるわたしがすごいってことだから気分はいい。
 だから、もちろん気持ちイイっていう演技は忘れないけどね。

「もうじき貴族学園に入学だな。そろそろドレスを仕立てた頃か?」

 ヤルだけヤッて満足したルキウスさまが聞いてくる。入学のドレスのことなのかと思ったらそうじゃなかった。

「入学して一週間後に新入生歓迎パーティがあるんだ。イブニングドレスが必要になる」

 昼と夜のドレスの種類が違うということを教わる。
 あら。そんなの知らなかった。そういや仕立屋がそんなことを言ってた気もするけど、いま着るドレスがあればいいやって思って無視したんだった。

 でもこれはエリィの悪口を言うチャンス。
「それが……お父様が外国に行ってて、いまあの家にわたしの味方がいないから、エリィにイジメられてるんですぅ……こんなじゃイブニングドレスを仕立てることなんか無理ぃ……」


 さあ、作ってやるから、って言いなさいよ。
 でもルキウスさまは眉をひそめるだけだった。どうゆうこと?

「さすがにイブニングドレスをプレゼントするのは……」

 えっ、なんで?たかがドレス一枚でしょ?なんか意味でもあるの?

「バレたら不貞を疑われる」

「どぉして?なんでバレたらまずいの?」

「そ、そりゃ、僕の婚約者はエレオノーラだ。他の女とこんなことしてるって万が一バレたら……」

「あらぁ。ルキウスさま、まだ気付いてないの?」

「何がだ?」

「だってぇ。わたしだってリンゼヴァイド侯爵令嬢よ?」

 そう言うと、ルキウスさまが珍しく考え込んだ。考えなくたって分かるでしょぉ?
 婚約者を交換しちゃえばいいのよ!あの幽霊からわたしにね!

 ルキウスさまの婚約者になったら、将来わたしが王妃!!
 なにそれなにそれ、すごくない!?

 わたしが嬉しい想像に心を躍らせていると、ルキウスさまも決心がついたようだった。
 当然でしょ?わたしのほうがあんな幽霊よりずっとイイ女に決まってる。

「……分かった。君に似合う薔薇色のドレスを贈るよ。それに合う宝飾品もね。なに、同じリンゼヴァイド侯爵令嬢なんだからバレやしない」

 うまくいった!
「やったぁ!ルキウスさまだぁいすき!」


 ルキウスさまに馬乗りになって繋がる。
 サービスしてあげなきゃね。


  
 ◇◇◇


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