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13:シャーロッテ視点⑤
しおりを挟む湯に浸かってきれいになったあと、執事に連れてこられた部屋は、それはもうすごかった。
天井にささってる柱のところには豪華で大きいベッドがある。たんすがいくつもあって、机と椅子もなんて豪華なんだろう。豪華以外の言葉が思い浮かばない。
机には果物がたくさん、一つのかごに入ってる。ああ、リンゴがある!大好物なんだよね。
机に近寄るとさっそく手に取って食べ始める。
わたしのことなんか全く気にしてない執事が、「こちらがシャーロッテ様のお部屋になります」なんて言うもんだからむせちゃって、リンゴが喉に詰まるとこだった。まじで?こんな部屋に住めるの?ウソみたい!
父さん、あんたの分までここで贅沢に暮らしてあげるよ!
食べ終わったリンゴの芯を景気よく床に放り捨てた。
そのあとやってきた仕立屋に身体の寸法を測られて、たんす?クローゼット?の中はたちまちわたしの!ドレスでいっぱいになる。全部わたしの!しかも部屋とは別に衣裳部屋って!服だけしまう部屋だってのに、わたしが住んでた部屋より大きいとか。
「おみ足のサイズを測らせて頂きます。スツールに腰かけて下さいませ」
わたしの目の前にひざまずいた男が言ってくる。別の男が椅子を持ってきた。なるほど。これがスツール?腰かけろってことね。
座ると壊れ物を扱うようにわたしの片脚を持ち上げてくる。
なにこの男、わたしに気があるの?触り方がいやらしいわね。
「とりあえず既製品でサイズの合うものを置いてまいります。侯爵様から学園で身に着けるものもオーダーメイドで発注を承っておりますので、そちらは少々お待ち下さいませ。それでは失礼致します」
すごい!どんだけ金持ちなの!?指輪に髪飾り、首飾りまであるじゃない!売っぱらえばしばらくは遊んで暮らせる!
「こちらの者たちがシャーロッテ様専属のメイドです」
二人の女がわたしに向かって深々とお辞儀をしている。えっ、わたし専属ってことは、わたしが自由にこき使っていい召使いってこと?
侯爵家の娘なら当然か。おもわずにやりとしてしまう。
そのあとは夕食に呼ばれるまで、ひたすらいろんなドレスを着て楽しんだ。
当然片付けはわたし専属の召使いに命令する。
命令するってなんて気分がいいんだろ!
男が好きなのはやっぱりピンクよね。
あの仕立屋、「御髪がストロベリーブロンドでいらっしゃいますので、同色のピンクより赤系や茶系、淡い青やラベンダー色のドレスのほうが映えるかと思いますが」なんて!
男に好かれなきゃ意味ないじゃんつーの。それに淡い色なんて、あの幽霊もどきみたい!
なのでピンクが欲しいときつく言ったら、何着か置いていった。
最初から置いてけっての。わたしはもう侯爵令嬢なんだから!
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