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14 ツンツンからツンデレにジョブチェンした女の子
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畜産農家のご主人はリーと言った。あ、それは姓で名前はラッセルさんなんだけど、みんなリーさんリーさん言ってるので、アーサーも「リーさん」と呼びかけたら、
「「「「「はいっ」」」」」
元気のいい返事が五つ返って来た。
つまり五人家族である。
アーサーはその中でも末っ子のメイベルと仲良くなっていた。三人兄妹の末っ子でアーサーより二つ年上だ。きっかけは「あんた服持ってないの?」だった。
アーサーは普通に「はい」と答えた。
商人の馬車に載って(まだ間違ってる。誰もまだ指摘して無かった)から自分の着替えすら持ってこなかったことに気付いた。グルグルと『にく、肉が食べたい』頭の中は肉のことでいっぱいだったからだ。
上着とズボンは汚れたら洗って干しておくと朝には乾いてるので、特に不自由はなかった。下着だけは濡れたままはいててちょっと困ってる。はいてたらすぐ乾くから夏で良かった。冬だったら寒くて死んじゃう。大事なところが縮こまっちゃう!
アーサーの答えをメイベルは気に入らなかったらしい。それもそのはず。なんてったって彼女は【裁縫スキル】を持っていたから。服を全く持っていないなんて信じられない!
そこでアーサーは銀貨一枚をメイベルに渡し「服を作ってくれたら嬉しい。縮こまっちゃわないうちに下着を特に」と持ち掛けた。
ここでもアーサーの【派生Lv2フェロモン】が立派に仕事する。
この長男、まだ十歳だよね…なんて礼儀正しいの…それになんかいい匂いがする……メイベルは奥さんも子供もいないごくごく普通の女の子だったけどそう思った。【裁縫スキル】のせいで男の子の下着作成まで頼まれて、初めて恥じらいという単語を理解したお年頃。
何が縮こまっちゃうんだろう。メイベルはこっそり兄に質問してみる。
「お兄ちゃん、アーサーが下着の替えが無くて、洗ったら濡れたまま着てるんだって。"夏で良かった、寒くなったら縮こまっちゃう"って言うんだけど、何が縮こまっちゃうの?」
兄(十五歳)は十数秒固まり、前かがみになって股間を押さえたまま前傾姿勢で走り去ってしまった。
想像してしまったんだろう。立派な想像力を褒めてあげたい。
ちなみに結局縮こまっちゃうの意味が分からなかったメイベル。
彼女の二人の兄は、夏休みで実家に戻ってきていた。べたべたに妹を可愛がり甘やかすので、メイベルは立派なツンツンに成長していた。
下着を脱がずにただ取り出しやすくするために(何を取り出すかって?縮こまっちゃう例のモノである)前を開けられるようにするとか、型紙を作るときに至極真面目に二人で検討していて、リー一家は『メイがなまっちろい男って言ってたアーサーと仲良くしてる!ツンツンだったのにツンデレになってる!』とたいそう驚いたのだった。メイベルとしては【裁縫スキル】に誇りを持っていたので、服の替えがないなんて許せないのだ。あっという間に取り掛かり、ものすごい勢いで何枚も作り上げる。
特に下着を。縮こまっちゃう、の意味が何となく分かったからでもある。冷たっ!じ、自分には関係ないけど大変そうだから下着増やしてあげるんだからねっ。
こうしてアーサーの所持金は銀貨一枚分減った。でもそのおかげで立派な服と立派な下着を何枚も作ってもらえて、アーサーは大満足だった。濡れたまま着なくていいのがなんて快適なんだろう。
ちなみにここで働いた分のお給金は現物支給でもらう約束をしているから、現在の全財産は銀貨三枚になった。
「「「「「はいっ」」」」」
元気のいい返事が五つ返って来た。
つまり五人家族である。
アーサーはその中でも末っ子のメイベルと仲良くなっていた。三人兄妹の末っ子でアーサーより二つ年上だ。きっかけは「あんた服持ってないの?」だった。
アーサーは普通に「はい」と答えた。
商人の馬車に載って(まだ間違ってる。誰もまだ指摘して無かった)から自分の着替えすら持ってこなかったことに気付いた。グルグルと『にく、肉が食べたい』頭の中は肉のことでいっぱいだったからだ。
上着とズボンは汚れたら洗って干しておくと朝には乾いてるので、特に不自由はなかった。下着だけは濡れたままはいててちょっと困ってる。はいてたらすぐ乾くから夏で良かった。冬だったら寒くて死んじゃう。大事なところが縮こまっちゃう!
アーサーの答えをメイベルは気に入らなかったらしい。それもそのはず。なんてったって彼女は【裁縫スキル】を持っていたから。服を全く持っていないなんて信じられない!
そこでアーサーは銀貨一枚をメイベルに渡し「服を作ってくれたら嬉しい。縮こまっちゃわないうちに下着を特に」と持ち掛けた。
ここでもアーサーの【派生Lv2フェロモン】が立派に仕事する。
この長男、まだ十歳だよね…なんて礼儀正しいの…それになんかいい匂いがする……メイベルは奥さんも子供もいないごくごく普通の女の子だったけどそう思った。【裁縫スキル】のせいで男の子の下着作成まで頼まれて、初めて恥じらいという単語を理解したお年頃。
何が縮こまっちゃうんだろう。メイベルはこっそり兄に質問してみる。
「お兄ちゃん、アーサーが下着の替えが無くて、洗ったら濡れたまま着てるんだって。"夏で良かった、寒くなったら縮こまっちゃう"って言うんだけど、何が縮こまっちゃうの?」
兄(十五歳)は十数秒固まり、前かがみになって股間を押さえたまま前傾姿勢で走り去ってしまった。
想像してしまったんだろう。立派な想像力を褒めてあげたい。
ちなみに結局縮こまっちゃうの意味が分からなかったメイベル。
彼女の二人の兄は、夏休みで実家に戻ってきていた。べたべたに妹を可愛がり甘やかすので、メイベルは立派なツンツンに成長していた。
下着を脱がずにただ取り出しやすくするために(何を取り出すかって?縮こまっちゃう例のモノである)前を開けられるようにするとか、型紙を作るときに至極真面目に二人で検討していて、リー一家は『メイがなまっちろい男って言ってたアーサーと仲良くしてる!ツンツンだったのにツンデレになってる!』とたいそう驚いたのだった。メイベルとしては【裁縫スキル】に誇りを持っていたので、服の替えがないなんて許せないのだ。あっという間に取り掛かり、ものすごい勢いで何枚も作り上げる。
特に下着を。縮こまっちゃう、の意味が何となく分かったからでもある。冷たっ!じ、自分には関係ないけど大変そうだから下着増やしてあげるんだからねっ。
こうしてアーサーの所持金は銀貨一枚分減った。でもそのおかげで立派な服と立派な下着を何枚も作ってもらえて、アーサーは大満足だった。濡れたまま着なくていいのがなんて快適なんだろう。
ちなみにここで働いた分のお給金は現物支給でもらう約束をしているから、現在の全財産は銀貨三枚になった。
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