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2 茶色をゲットするために行動開始だ

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 ある日唐突に、食卓に上がる食材に何かが欠けていることに長兄のアーサーは気が付いた。
 

 うーん、何だろう。


 まず食卓に上がったメニューを色別に統計する。

 春から夏に移行しつつある季節だったため、すぐに色彩がめちゃくちゃ単色に偏っていることを発見する。統計するまでもなかった。


 みどり、ミドリ、圧倒的緑、だ。
 

 はっぱなっぱはっぱっぱー。季節は今、緑萌え出づる初夏であった。領主館の裏手にある畑には緑色植物が忍者育成にもぴったりなスピードで、生える伸びる生える引っこ抜く生える伸びる生えまくってる。そして食卓に上がる。今は特にアスパラガスがすごいことになっている。畑はもはや家庭菜園の規模じゃない。土を耕したら勝手に増えちゃう。



 生長するスピードが何だかおかしいが、食べ盛りを多数かかえるアクアオッジ一家は、「野菜がたくさん生えてくれて美味しいねー」といたって呑気。いや、そこは言語的に、"美味しいねー"じゃなくて"嬉しいねー"とかじゃあるまいか。

 近年領主館のアスパラガスは周辺で有名になっている。近所の農家がこぞって物々交換を申し出てくるのだ。

 アスパラガスが新じゃが・クレソン・さやえんどう・ルッコラ・春キャベツ・細身ニンジン・黒丸大根といった野菜と続々交換されていく。

 野菜に関してはアクアオッジ家は富裕層に近い。かもしれない。


 肉と交換すればいいじゃない。だが一番近い畜産農家は馬車で一日の距離だった。

 食卓に緑が多いのは仕方ない。だがアーサーは菜食主義じゃなく食べ盛りの十歳だった。ぶっちゃけ緑ばっかりのメニューじゃ満足出来ないのである。


 弁当の中身が茶色いのはババくさいけど、美味しいんである。

 ちなみにアクアオッジ家でババアとか言うと、すぐ地獄耳の母アドリアナに張り倒される。悪い言葉ダメゼッタイ。


 茶色=肉、肉が欲しい。



 アーサーは切実に所望する。そうして肉を手に入れるべく行動を開始した。

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