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3 メリルのしょぼしょぼ魔法
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メリルの兄姉たちは全員の【スキルツリー】がとんでもなくて、今やアクアオッジ辺境伯一家は超、のつく有名人だらけだ。
そんな中にあってメリルのスキルはとんでもないみそっかすだった。【魔法スキル?】と言えばカッコいいけれど、メリルが放つ魔法スキルは誰がどう見ても……しょっぱい威力でしかないのだ。
試しに火を出してみようとしたら、人差し指にポッとちっちゃい火がついただけだった。火はまだいい。いろんなものに火をつけられるから。いや、子供の火遊びダメゼッタイ。
水を出してみようとしたら、ポチャーン……数滴出て終了である。
土魔法はよく分からないので、地面に向かって土魔法をかけてみたら、ちょっぴり盛り上がった。小石くらいの大きさで。
雷魔法は髪の毛が一部静電気で逆立った。風魔法はちょっぴり風が漂うくらいだ。
どれもこれもどうやって役立てるのかさっぱり分からない。
今はしょぼしょぼでもきっと毎日コツコツ鍛錬すれば、そのうち立派な魔法使いになれるに違いない。
コツコツ頑張るのはアクアオッジ家門の信条だもの。
騎士団の鍛錬場に向かう。
すると、鍛錬場が何だか賑やかなことに気が付いた。いつもなら剣同士がぶつかり合う音や土を踏みしめる音なんかが大半なのに、人の笑い声やしゃべり声がするからだ。
その原因はすぐに判明した。人の輪の中心にレイファ兄さまが見えたからだ。背が高いからすぐ分かる。
珍しい!いつの間に帰ってきたんだろう。
「レイファ兄さま!」
「可愛い私のメリル。久しぶりだね。元気にしていたかい?」
ざざっと人の輪が左右に分かれてレイファ兄さんがわたしのところにやってくる。ああっ眩しい。血が繋がっててもレイファ兄さまの美しさは尊い。それに空気が違う。オーラっていうんだっけ?
「王子さまから逃げてきたの?」
「……逃げられたらいいんだけれどねえ。なかなか放して下さらないのが問題だ」
レイファ兄さまはスキップ制度で学園を卒業したばかりなのに、その聡明さを買われて第一王子さまの側近に抜擢されてしまった。おかげでなかなか家には帰ってこられない。くだらない嫉妬だと分かってはいるのだけれど、王子さま許すまじ!
そんな中にあってメリルのスキルはとんでもないみそっかすだった。【魔法スキル?】と言えばカッコいいけれど、メリルが放つ魔法スキルは誰がどう見ても……しょっぱい威力でしかないのだ。
試しに火を出してみようとしたら、人差し指にポッとちっちゃい火がついただけだった。火はまだいい。いろんなものに火をつけられるから。いや、子供の火遊びダメゼッタイ。
水を出してみようとしたら、ポチャーン……数滴出て終了である。
土魔法はよく分からないので、地面に向かって土魔法をかけてみたら、ちょっぴり盛り上がった。小石くらいの大きさで。
雷魔法は髪の毛が一部静電気で逆立った。風魔法はちょっぴり風が漂うくらいだ。
どれもこれもどうやって役立てるのかさっぱり分からない。
今はしょぼしょぼでもきっと毎日コツコツ鍛錬すれば、そのうち立派な魔法使いになれるに違いない。
コツコツ頑張るのはアクアオッジ家門の信条だもの。
騎士団の鍛錬場に向かう。
すると、鍛錬場が何だか賑やかなことに気が付いた。いつもなら剣同士がぶつかり合う音や土を踏みしめる音なんかが大半なのに、人の笑い声やしゃべり声がするからだ。
その原因はすぐに判明した。人の輪の中心にレイファ兄さまが見えたからだ。背が高いからすぐ分かる。
珍しい!いつの間に帰ってきたんだろう。
「レイファ兄さま!」
「可愛い私のメリル。久しぶりだね。元気にしていたかい?」
ざざっと人の輪が左右に分かれてレイファ兄さんがわたしのところにやってくる。ああっ眩しい。血が繋がっててもレイファ兄さまの美しさは尊い。それに空気が違う。オーラっていうんだっけ?
「王子さまから逃げてきたの?」
「……逃げられたらいいんだけれどねえ。なかなか放して下さらないのが問題だ」
レイファ兄さまはスキップ制度で学園を卒業したばかりなのに、その聡明さを買われて第一王子さまの側近に抜擢されてしまった。おかげでなかなか家には帰ってこられない。くだらない嫉妬だと分かってはいるのだけれど、王子さま許すまじ!
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