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本章

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 どうやらエルネステイルはわたしたちの疑問に、この場で答えるつもりはないみたいだ。

 こっちだよ、っていうエルネステイルに導かれて城の廊下を歩き続けていると、やがて開いていない両開きの重厚な扉が見えてくる。
 城内は全ての扉が開きっぱだったので、今皆の目の前に現れた扉が唯一の開いていない扉だった。



 いよいよ魔王とご対面?



 カーラとアーサーが緊張の余りゴクリと喉を鳴らしたその時、黒猫のシャルタンが毛を逆立たせてシャーと唸る。

 何かの気配を感じて唸ったのは間違いない。


 いぶかしむ間もなく、歩いていた床にぽっかりと真っ黒い空洞が出来たかと思うと、みんな一斉に落下してしまい、バシャーンという水音が大きく響いた。


 青い鳥のセラフィーナは穴の上をしばらく飛んでいたが、みんなが落ちたのを見て穴に飛び込む。



 セラフィーナが飛び込んだ直後、真っ黒い空洞は何事もなかったかのように閉じてしまった。





「ちょっ、ひえっ、落とし穴?」

「なんて原始的な。でも下に水があったから怪我がなくて良かった。みんなは平気?」

 アクアオッジ家の二人はそんなに慌ててはいない。むしろ、城に入ってからも何もなかったほうが異様だと思っていたくらいだったから。


 遅れて穴に飛び込んだセラフィーナが飛んできてエルネステイルの肩に乗る。


「なんとか。ここは地下水路で、もうじき進むと地下牢がある一角だよここは」

 エルネステイルが胸まで水に浸かっているカーラを持ち上げて、アルスヴィズに乗せてくれる。続いて腰まで浸かっていたアーサー、溺れかかっているシャルタン、浮くのが上手なレベッカも同様にしてくれてみんなはようやくほっと息をついた。

 とはいえ、アルスヴィズも水の抵抗があって歩きにくそうだった。走るのは無理そうだ。




 地下水路は迷路のようだった。

 これだけの規模の地下水路があることに驚かされる。



 ほのかな灯りが所々壁に埋め込まれていて、薄暗い中をエルネステイルは迷いなく進んでいく。彼がいなかったら進むことも退くことも不可能だったことだろう。

 
 進む様子を見る限り、彼の目的地はこの地下にあるようだった。

 何故なら迷いなく進んでいくので、道を知っているのだろう。それでも一向に出口は見えてこないからだ。より奥へ奥へと進んでいってるような気がしてならない。




 しばらくザブザブと水音がやけに反響する中やがて水路は終わり、ようやく水の無い通路が現れる。
 

 左手に格子状の壁が見える。
 通路が狭くなり、右手も同じような作りの壁となった。

 小さく部屋がいくつにも区切られていて、一目でそれと分かるものだった。


 カーラとアーサーは顔を見合わせる。
 ……牢屋?だよね……
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