101 / 140
第6章:墜下
ヴェルクリシェス国
しおりを挟む
◇◇◇
赤髪の少女がハシゴを降りていく。その様子を見ながら、旅のメンバーは地図を広げて馬車に寄りかかるアインズの元へ集まった。
「国に入れないとなると、鎖近くで野営するしかないわね」
「俺やアニキは構わねえけどよ、嬢ちゃんたちはどうなんだい? 道中みてぇな野宿が増えるわけだが」
──なんか僕も問題ない事にされてる?!
タヂカラが一同に聞くが、問題だと言う者は居なかった。騎士として野営に慣れている人物。キャンプの様で楽しいと無邪気すぎる人物。二年の牢獄を経験している人物。
ここに至るまでに幾度もの野宿をしてきた彼らにとっては、今更一晩増えたところで、どうという事は無いのだ。
「……問題無さそうね。ただし、今晩は交代で眠る事になるわよ。さすがに鎖の傍では、見張りをつけないとね」
そう告げて、アインズは馬車へ。他の四人も、今夜は少し辛そうだと項垂れながら乗り込んだ。
そこへ──
「わああああ、待って待って!」
今にも走り出さんとする馬車を、赤髪の少女が止めた。突然の来訪者に驚き、アインズは手網の操作をやめる。
「ピュラー様! 走ると転びますぞ!」
「オジイと違ってちゃんと走れるもん!」
「君はさっきの……。私たちに何か用が?」
櫓のハシゴを登っていた少女の姿を思い出し、アインズは彼女に問う。ピュラーは目を輝かせながら、異国の騎士に向かって言葉を返した。
「うん! あなたのお友達に、日輪の戦士様がいるでしょう?!」
「日輪の戦士……?」
「そう! 日長石の首飾りを持ってる人!」
馬車の外から、明らかに自分の事を話している声を聞いたユウキ。
「もしかして、僕?」
少年は小窓から顔を出し、ピュラーと顔を合わせた。
「貴方です貴方! 私はヴェルクリシェスのピュラーと申します! お名前を伺っても?!」
──うっ
──なんだかポリアみたいな勢いの子だな
少年は馬車から降り、彼女の前に立つ。
「ユウキです」
「ユウキ様!」
「は、はい……?」
「日輪の戦士様! ユウキ様! 私と結婚してください!!」
あまりにも唐突なピュラーの申し出に、一同は固まる他なかった。とりわけユウキに関しては、困惑の果てに思考停止してしまう。ピュラーはなおも、彼をキラキラと輝く瞳で見つめていた。
「えっと……つまり、どういう事?」
やっとの思いで言語能力を取り戻したユウキは、顔を出したことを後悔しながら再び問う。
「こういう事です!」
そんな少年に向かって、ピュラーは──
「うわあっ?! ちょ、ちょっと!」
唇を尖らせて、少年に猛突進した。
「なな、なんて力だ……っ?! とりあえず落ち着いてよっ!」
迫り来るピュラーの額と肩を押さえ、必死に抵抗するユウキ。
「そう仰らずに、私と──」
「ぼ、僕には! 心に決めた女性が! 居ますので!」
幼少より積み上げた恋がある。そう告げると、彼女はやっと大人しくなった。やれやれと、ユウキはため息をひとつ。
「それは……巫女ですか?」
「……え?」
「クライヤマに座した、日の巫女ですか?」
二回飛んできた同じ意図の質問に、困惑と照れ臭さを感じたユウキ。右手で後頭部を掻きながら、彼は答えた。
「はい。日の巫女──リオという名の少女です」
「……やっぱり」
「え?」
「オジイ! この人はやっぱり日輪の戦士で間違いないよ!」
「なんと……!」
赤髪を翻し、彼女はユウキから離れた。付き人の老爺に調査報告をして、またユウキの方へ向き直った。
「ごめんね、ユウキ様」
──もしかして、試されてた?
「それと、ユウキ様とその他諸々の入国は、この私……ちょーろーの孫、ピュラーが許可します!」
声高々にそう言い、彼女は門番の二人をはけさせる。男らは石槍を垂直に持ち直し、道を開けた。
「ねえアインズ殿。あの子、斬っても良いかな?」
「……やめておきなさい」
◇◇◇
──ヴェルクリシェス国
ピュラーの先導で、ユウキらは国内を進んでいく。
半地下式の住宅がいくつも並んでおり、時には子供のはしゃぐ声が少年の耳を刺激した。
土を焼いて作ったのであろう瓶を用いて水を運ぶ人や、荷台から収穫物をおろして床が高い倉庫に格納する人らが、忙しなく往来を行き来している。
「なんだか、懐かしいな……」
「ユウキさんが懐かしいと思うって事は似てるんですか?! クライヤマもこういう感じなんですか?!」
ヴェルクリシェスの人々やその生活様式を見て、ユウキは故郷のそれと類似点が多いと感じた。他国に比べて原始的な雰囲気が、彼をそう思わせるのだ。
「えっ、う、うん……。確かに似てるかも」
ポリアの言葉を肯定すると、彼女は目をキラキラと輝かせながら周りを観察し始めた。
──こことクライヤマも似てるけど
──君とピュラーもよく似てる気がするよ
もはや苦笑に近い少年の思考など露知らず、ポリアは見聞きした事を帳面に書き留め続けている。
入国から暫く歩くと、少女は赤髪を踊らせてユウキらの方へ振り向いた。
「さあ、着きましたよユウキ様!」
「ここが……」
「はい! 私のおじいちゃんにして、ヴェルクリシェスのちょーろーが居るお家です!」
ピュラーが手を向ける方向に、一際大きな建物がある。ここまで歩く中で見た大きな倉庫よりも、さらに大きい家である。
「ねえ、ピュラー」
「はい!」
「……あれは、何?」
ユウキは、長老の家の背後に不可思議なものを発見。見覚えのあるものよりは小さいが、それは確かに真っ白な神殿であった。
「あれは、太古の時代に存在した信仰の証ですよ。たぶん、ちょーろーからその話もあると思います!」
「そう……」
神殿の一部に月を模したようなエンブレムを発見し、ユウキはいくつもの気がかりを抱えたままピュラーの背中を追う。
「さあ、入って入って。ユウキ様とその他諸々!」
少女はそう促し、ギシギシと鳴る木製の床の上を跳ねるように進む。
「ねえアインズ殿。やっぱあの子、斬ってもいい?」
「…………峰打ちにしておきなさい」
◇◇◇
家の中を進み、やがて最奥へ。壁は無いが、いくつかの衝立によって隔てられた空間がユウキらの前に現れた。
「ちょーろー、ちょーろー!」
ピュラーがそう呼びかけると、衝立の向こうから年老いた男の声が返ってくる。
「おお、ピュラーか」
「うん。あのねあのね、日輪の戦士様にお会いしたから、お連れしたの!」
「なんと。そうか、そうか。ではピュラーよ、こちらへご案内しなさい」
「は~い!」
こっちだよと手で合図し、少女は客人を長老の間に招き入れる。
「おお、貴方が日輪の戦士様!」
全員が長老の前に立つと、彼は真っ先にユウキを見て感嘆の声を上げた。首にかかった日長石とクライヤマの衣服を見て、すぐに理解したのだ。
「戦士様、ここまで色々とあったかと思う。まずは、その労いをさせて欲しい」
「え? ど、どうも……」
長老の言葉を不気味に感じながらも、ユウキは彼の話に耳を傾ける。
「早速ですまないのだが、戦士様には色々と話をしなければならない。少し長いかもしれんが、聞いてくれるか?」
「え? はい……」
老人は安堵した表情を浮かべ、すぐに真面目な顔になった。
「まず、この国について。このヴェルクリシェスというのは、二つ目の国名でな。旧くは『ルナリーゼン』と言う」
「ルナ……」
「……察してくれたようだな。そう、我々は月の民。かつて、月の巫女を信仰していた者だ」
突如として語られた内容に、少年らはただ唖然とするばかり。
「代々継承されてきた月の巫女という存在は、ある時を境に突然途絶えた。最後の巫女の名は……セレーネ」
「……っ! 教えてください。セレーネって人に関して、何があったのか!」
月の騎士ジュアンが語った名前。鎖の守護者が語る存在。その話題が出て興奮する少年に対し、長老は静かに、しかし力強く述べた。
「……セレーネは、恋をしたのだ」
赤髪の少女がハシゴを降りていく。その様子を見ながら、旅のメンバーは地図を広げて馬車に寄りかかるアインズの元へ集まった。
「国に入れないとなると、鎖近くで野営するしかないわね」
「俺やアニキは構わねえけどよ、嬢ちゃんたちはどうなんだい? 道中みてぇな野宿が増えるわけだが」
──なんか僕も問題ない事にされてる?!
タヂカラが一同に聞くが、問題だと言う者は居なかった。騎士として野営に慣れている人物。キャンプの様で楽しいと無邪気すぎる人物。二年の牢獄を経験している人物。
ここに至るまでに幾度もの野宿をしてきた彼らにとっては、今更一晩増えたところで、どうという事は無いのだ。
「……問題無さそうね。ただし、今晩は交代で眠る事になるわよ。さすがに鎖の傍では、見張りをつけないとね」
そう告げて、アインズは馬車へ。他の四人も、今夜は少し辛そうだと項垂れながら乗り込んだ。
そこへ──
「わああああ、待って待って!」
今にも走り出さんとする馬車を、赤髪の少女が止めた。突然の来訪者に驚き、アインズは手網の操作をやめる。
「ピュラー様! 走ると転びますぞ!」
「オジイと違ってちゃんと走れるもん!」
「君はさっきの……。私たちに何か用が?」
櫓のハシゴを登っていた少女の姿を思い出し、アインズは彼女に問う。ピュラーは目を輝かせながら、異国の騎士に向かって言葉を返した。
「うん! あなたのお友達に、日輪の戦士様がいるでしょう?!」
「日輪の戦士……?」
「そう! 日長石の首飾りを持ってる人!」
馬車の外から、明らかに自分の事を話している声を聞いたユウキ。
「もしかして、僕?」
少年は小窓から顔を出し、ピュラーと顔を合わせた。
「貴方です貴方! 私はヴェルクリシェスのピュラーと申します! お名前を伺っても?!」
──うっ
──なんだかポリアみたいな勢いの子だな
少年は馬車から降り、彼女の前に立つ。
「ユウキです」
「ユウキ様!」
「は、はい……?」
「日輪の戦士様! ユウキ様! 私と結婚してください!!」
あまりにも唐突なピュラーの申し出に、一同は固まる他なかった。とりわけユウキに関しては、困惑の果てに思考停止してしまう。ピュラーはなおも、彼をキラキラと輝く瞳で見つめていた。
「えっと……つまり、どういう事?」
やっとの思いで言語能力を取り戻したユウキは、顔を出したことを後悔しながら再び問う。
「こういう事です!」
そんな少年に向かって、ピュラーは──
「うわあっ?! ちょ、ちょっと!」
唇を尖らせて、少年に猛突進した。
「なな、なんて力だ……っ?! とりあえず落ち着いてよっ!」
迫り来るピュラーの額と肩を押さえ、必死に抵抗するユウキ。
「そう仰らずに、私と──」
「ぼ、僕には! 心に決めた女性が! 居ますので!」
幼少より積み上げた恋がある。そう告げると、彼女はやっと大人しくなった。やれやれと、ユウキはため息をひとつ。
「それは……巫女ですか?」
「……え?」
「クライヤマに座した、日の巫女ですか?」
二回飛んできた同じ意図の質問に、困惑と照れ臭さを感じたユウキ。右手で後頭部を掻きながら、彼は答えた。
「はい。日の巫女──リオという名の少女です」
「……やっぱり」
「え?」
「オジイ! この人はやっぱり日輪の戦士で間違いないよ!」
「なんと……!」
赤髪を翻し、彼女はユウキから離れた。付き人の老爺に調査報告をして、またユウキの方へ向き直った。
「ごめんね、ユウキ様」
──もしかして、試されてた?
「それと、ユウキ様とその他諸々の入国は、この私……ちょーろーの孫、ピュラーが許可します!」
声高々にそう言い、彼女は門番の二人をはけさせる。男らは石槍を垂直に持ち直し、道を開けた。
「ねえアインズ殿。あの子、斬っても良いかな?」
「……やめておきなさい」
◇◇◇
──ヴェルクリシェス国
ピュラーの先導で、ユウキらは国内を進んでいく。
半地下式の住宅がいくつも並んでおり、時には子供のはしゃぐ声が少年の耳を刺激した。
土を焼いて作ったのであろう瓶を用いて水を運ぶ人や、荷台から収穫物をおろして床が高い倉庫に格納する人らが、忙しなく往来を行き来している。
「なんだか、懐かしいな……」
「ユウキさんが懐かしいと思うって事は似てるんですか?! クライヤマもこういう感じなんですか?!」
ヴェルクリシェスの人々やその生活様式を見て、ユウキは故郷のそれと類似点が多いと感じた。他国に比べて原始的な雰囲気が、彼をそう思わせるのだ。
「えっ、う、うん……。確かに似てるかも」
ポリアの言葉を肯定すると、彼女は目をキラキラと輝かせながら周りを観察し始めた。
──こことクライヤマも似てるけど
──君とピュラーもよく似てる気がするよ
もはや苦笑に近い少年の思考など露知らず、ポリアは見聞きした事を帳面に書き留め続けている。
入国から暫く歩くと、少女は赤髪を踊らせてユウキらの方へ振り向いた。
「さあ、着きましたよユウキ様!」
「ここが……」
「はい! 私のおじいちゃんにして、ヴェルクリシェスのちょーろーが居るお家です!」
ピュラーが手を向ける方向に、一際大きな建物がある。ここまで歩く中で見た大きな倉庫よりも、さらに大きい家である。
「ねえ、ピュラー」
「はい!」
「……あれは、何?」
ユウキは、長老の家の背後に不可思議なものを発見。見覚えのあるものよりは小さいが、それは確かに真っ白な神殿であった。
「あれは、太古の時代に存在した信仰の証ですよ。たぶん、ちょーろーからその話もあると思います!」
「そう……」
神殿の一部に月を模したようなエンブレムを発見し、ユウキはいくつもの気がかりを抱えたままピュラーの背中を追う。
「さあ、入って入って。ユウキ様とその他諸々!」
少女はそう促し、ギシギシと鳴る木製の床の上を跳ねるように進む。
「ねえアインズ殿。やっぱあの子、斬ってもいい?」
「…………峰打ちにしておきなさい」
◇◇◇
家の中を進み、やがて最奥へ。壁は無いが、いくつかの衝立によって隔てられた空間がユウキらの前に現れた。
「ちょーろー、ちょーろー!」
ピュラーがそう呼びかけると、衝立の向こうから年老いた男の声が返ってくる。
「おお、ピュラーか」
「うん。あのねあのね、日輪の戦士様にお会いしたから、お連れしたの!」
「なんと。そうか、そうか。ではピュラーよ、こちらへご案内しなさい」
「は~い!」
こっちだよと手で合図し、少女は客人を長老の間に招き入れる。
「おお、貴方が日輪の戦士様!」
全員が長老の前に立つと、彼は真っ先にユウキを見て感嘆の声を上げた。首にかかった日長石とクライヤマの衣服を見て、すぐに理解したのだ。
「戦士様、ここまで色々とあったかと思う。まずは、その労いをさせて欲しい」
「え? ど、どうも……」
長老の言葉を不気味に感じながらも、ユウキは彼の話に耳を傾ける。
「早速ですまないのだが、戦士様には色々と話をしなければならない。少し長いかもしれんが、聞いてくれるか?」
「え? はい……」
老人は安堵した表情を浮かべ、すぐに真面目な顔になった。
「まず、この国について。このヴェルクリシェスというのは、二つ目の国名でな。旧くは『ルナリーゼン』と言う」
「ルナ……」
「……察してくれたようだな。そう、我々は月の民。かつて、月の巫女を信仰していた者だ」
突如として語られた内容に、少年らはただ唖然とするばかり。
「代々継承されてきた月の巫女という存在は、ある時を境に突然途絶えた。最後の巫女の名は……セレーネ」
「……っ! 教えてください。セレーネって人に関して、何があったのか!」
月の騎士ジュアンが語った名前。鎖の守護者が語る存在。その話題が出て興奮する少年に対し、長老は静かに、しかし力強く述べた。
「……セレーネは、恋をしたのだ」
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説

自作ゲームの世界に転生したかと思ったけど、乙女ゲームを作った覚えはありません
月野槐樹
ファンタジー
家族と一緒に初めて王都にやってきたソーマは、王都の光景に既視感を覚えた。自分が作ったゲームの世界に似ていると感じて、異世界に転生した事に気がつく。
自作ゲームの中で作った猫執事キャラのプティと再会。
やっぱり自作ゲームの世界かと思ったけど、なぜか全く作った覚えがない乙女ゲームのような展開が発生。
何がどうなっているか分からないまま、ソーマは、結構マイペースに、今日も魔道具制作を楽しむのであった。
第1章完結しました。
第2章スタートしています。

メンヘラ疫病神を捨てたら、お隣の女子大生女神様を拾った。
もやしのひげ根
恋愛
※序盤はお砂糖控えめでお送りいたしますが、後半は致死量となる可能性があります。ご注意ください。
社会人×女子大生の物語!
我が儘で束縛の激しい彼女と付き合って4年。
振り回されて散々貢がされて、やりたいことも何一つ出来ず貯金も出来るわけもなく。
口座も心もボロボロな俺は、別れを決意する。
今度ばかりは何を言われても言いなりになるつもりはない。
そしてようやく解放され、もう恋愛はこりごりだし1人を満喫するぞー!と思った矢先に1人の女性と出会う。
隣に住んでいる大学生が鍵を失くして家に入れないということらしい。しかもスマホは家の中に置き去り、と。
見捨てるわけにもいかずに助けると、そのお礼と言われて手作りのご飯をご馳走になる。
あまりの美味しさに絶賛すると、何故か毎日作ってくれることになった。
さらには同じ趣味のゲームで意気投合し、仲を深めていく。
優しくゲームも料理もプロ級の腕前。だけど天然だし無防備だしで少し心配になるところもある。
可愛いからいっか。
ボロボロだった俺の癒されライフが、今始まるっ——
真夜中ロンドで逢いましょう
七森陽
ファンタジー
訳ありと思しき第三王子アーベルとの婚姻が決まったエルナ。
意を決しその邸宅に行くと、そこにはすでにアーベルに溺愛されたニナという声のない少女が居た。
主人公になれないと悟ったエルナは、夜ごと潜り込む夢の中で、とても綺麗な青年に出会う。
毎度ふたりで過ごす無言のワルツの夜は、エルナの心を少なからず癒していたが。
その青年は話をしてみるととんだ意地悪な男だった…。
現実で幸せを諦めたエルナの心を、これでもかとかき乱す夢の中の青年。
夢だと判っているのに。
どうしても惹かれていくのを止められない。

TS? 入れ替わり? いいえ、女の身体に男の俺と女の俺が存在しています! ~俺の身体は冷蔵庫に保管中~
ハムえっぐ
ファンタジー
ある朝、目を覚ますと、鏡に映った自分はなんとセーラー服の美少女!
「なんだこれ? 昨日の俺どこいった?」と混乱する俺。
それもそのはず、右手がマシンガンに変形してるし!
驚きつつ部屋を見回すと、勉強机もベッドも昨日と変わらず安堵。
でも、胸がプルプル、スカートがヒラヒラ、男の俺が女の俺になった現実に、完全にパニック。自己確認のついでに冷蔵庫を開けたら、自分の男の肉体が冷蔵中!
頭の中で「女の俺」がささやく。
「あの肉体にマシンガン撃てば、君が私から出られるかもよ?」って。
「え、俺が俺を撃つって? それで俺、再び男になれるの?」と考えつつも、「とにかく、この異常事態から脱出しなきゃ!」と決意。
さあ、俺がどうやってこのカオスから脱出するのか、そしてなぜ冷蔵庫に男の俺がいるのか、女子高生になった俺の戦いがここに始まる!

悪服す時、義を掲ぐ
羽田トモ
ファンタジー
土雲切を含む二十名の生徒たちは突然、光の中に落ちた。
レオガルド――かつて魔族によって暗雲に覆われていた大地であり、勇者によって金色の夜明けがもたらされた異世界。
世界を渡る際に神から授けられる特別な力、“天賜”。ところが、土雲切は天賜を授からなかった。それが、彼の運命を大きく変えてしまう。突き落とされた黒い絶望の中で、藻掻き、苦しむ。それでも、贖罪のために前へ進み続けなければならなかった。
そして黒い絶望から這い上がった時、世界が土雲切を拒絶する。
これは、レオガルドで未来永劫語り継がれる聖戦、そのもう一つの真実。
犯してしまった血染めの罪。
約束を果たすために歩む道は、正義なのか、悪なのか……。
戦力外スラッガー
うさみかずと
ライト文芸
夢を諦めた青年と夢を追う少年たちの人生が交差した時、あっと驚く奇跡が起こったり、起こらなかったりするどたばた青春野球小説。
「お前桜高校の監督をやれ」その言葉がすべての始まりだった。
怪我のため春季リーグ戦のメンバー構想外となりそのまま戦力外の烙印を押されたと大学四年生の菱田康太は、荒田監督から唐突に命令された。
どうやら石坂部長が絡んでいるらしいがついでに教育サポーターとして学生に勉強を教えろだって注文が多すぎる。
面倒ごとは避けたいが石坂部長から大学と桜高校との指定校協定など大人の事情に板挟みにされしぶしぶグラウンドに行ってみれば部員が二人だけってどうゆうこと?
三校合同の連合チーム聞いてないよぉ。同級生にはからかわれ、初監督の初陣を飾った試合ではぼろ負け。それが原因でチームはバラバラ、
追い打ちをかけるように荒田監督から「負けたら卒業旅行はお預け」なんだって! ついに一度もレギュラーをとれなかった俺に何ができるっていうんだ!
「す、すげぇ~ こんなすごい人が監督なら甲子園だって狙える!」雄大頼むからそんな輝いた眼で見つめないでくれ。
かつてプロ野球選手を目指し夢半ばで破れた菱田康太。部員二人の野球部で甲子園を夢見続けていた少年雄大と体の大きさに半比例した気弱な太一。不良高校の総司や超進学校の銀二、個性豊かなメンバーを引き連れて康太たちは夏の大会を勝つことができるのか。
『おっさんの元勇者』~Sランクの冒険者はギルドから戦力外通告を言い渡される~
川嶋マサヒロ
ファンタジー
ダンジョン攻略のために作られた冒険者の街、サン・サヴァン。
かつて勇者とも呼ばれたベテラン冒険者のベルナールは、ある日ギルドマスターから戦力外通告を言い渡される。
それはギルド上層部による改革――、方針転換であった。
現役のまま一生を終えようとしていた一人の男は途方にくれる。
引退後の予定は無し。備えて金を貯めていた訳でも無し。
あげく冒険者のヘルプとして、弟子を手伝いスライム退治や、食肉業者の狩りの手伝いなどに精をだしていた。
そして、昔の仲間との再会――。それは新たな戦いへの幕開けだった。
イラストは
ジュエルセイバーFREE 様です。
URL:http://www.jewel-s.jp/

【男装歴10年】異世界で冒険者パーティやってみた【好きな人がいます】
リコピン
ファンタジー
前世の兄と共に異世界転生したセリナ。子どもの頃に親を失い、兄のシオンと二人で生きていくため、セリナは男装し「セリ」と名乗るように。それから十年、セリとシオンは、仲間を集め冒険者パーティを組んでいた。
これは、異世界転生した女の子がお仕事頑張ったり、恋をして性別カミングアウトのタイミングにモダモダしたりしながら過ごす、ありふれた毎日のお話。
※日常ほのぼの?系のお話を目指しています。
※同性愛表現があります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる