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プロローグ:魔族への転生

魔族への転生

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 あの日から俺のゲーム人生は変わった。そう、あの日を境に全てが変わっていくのを肌で感じてる。

「また懲りずにやってきたのかハルト、今日もお前をPKして経験値稼ぎといくか」

 こいつの名前はオデッサイト内で悪名高き存在であり、特に初心者を狙った行動で知られていた。こいつの攻撃は常に容赦なく、その名前はゲーム内で恐れられていた。ブラックダイアモンドの冷酷な声が響き渡る中、俺は再びPKの標的となった。ブラックダイアモンドは傲慢な口調で挑発した。

 俺は悔しさを隠せないまま反論した。

「なんで俺ばっかりPKするんだよ......俺はただこのゲームをプレイして狩りをしていただけじゃないか」

 俺の声には無念さが滲んでいた。

「それが気に入らないんだよ!お前のような雑魚野郎は家で寝てろ!」

 ブラックダイアモンドは冷徹な声で容赦ない言葉を投げつけた。

 ーーあなたは死にました。リスポーンしますーー

 俺はブラックダイアモンドに殺された。PKされたのだ。オデッサイトの世界では、プレイヤー同士の闘いも日常茶飯事だ。倒されれば経験値とステータスが得られるという仕様もあり、PKプレイヤーたちは常に新たな獲物を求めて狩りを続ける。しかし、俺にとってはPKされることは苦痛の連続だった。俺のステータスは低く、所持金も乏しい。デスペナルティを受けるたびに、ますます厳しい状況に陥っていく。 ゲームの仕様上、プレイヤーを倒せば経験値は入るし、モンスターを狩るよりも楽な場合もある。

 PKプレイヤーを倒すと倒したプレイヤーの装備が1つとスキルを一つ奪えることになっているが、そもそもPKプレイヤーを倒すのは俺にとっては難しい。PKプレイヤーにキルされる、つまり殺されるとデスペナルティが発生する。デスペナルティは所持金とステータスダウンだ。

 既に俺のステータスはオール1、所持金も0で何も買うことができない。俺が今持っているのは初期装備だけだ。こんなプレイヤーをPKしても経験値が入るんだ、PKプレイヤーにとっては恰好の的だろう。

 だがこんな生活ももう終わりだ。俺はついに逆転の糸口を手にしていた。俺は村の外れに落ちていた激レアアイテム『模倣の鏡』を少し前に手に入れていた。このアイテムは1分間だけ相手の能力値とスキルをコピーするというアイテムだ。これをブラックダイアモンドに使えば勝てるかもしれない。俺は機会を探し続けた。今日がその決行日だ。俺は決意を固め、模倣の鏡を持ちブラックダイアモンドの元へと向かった。しかし、そこに辿り着くと、不意に襲い掛かってくる別のプレイヤーたちがいた。彼らは俺の行動を察知していたのだ。

「おいおい、ハルト。何を持ってんだよ?」

 声をかけるプレイヤーたちに振り返ると、ブラックダイアモンドが立ち塞がっていた。彼の目は模倣の鏡に釘付けで、悪意に満ちた笑みを浮かべている。

「お前には関係ないだろう......!」

 そう言って俺は模倣の鏡を隠そうとしたが、遅すぎた。ブラックダイアモンドはすでに俺の意図を見抜いており、一瞬の隙をついて模倣の鏡を奪い取った。

「おおっ、これは面白そうなアイテムじゃないか」

 彼は優越感に満ちた笑みを浮かべながら、模倣の鏡を手に取り、興味深そうに眺めている。

「これを使って俺と勝負するつもりだったのか?残念だな!これは俺のものだ!お前は大人しくやられとけ!」

「くそ......!結局こうなるのか......」

 またPKされた、これで10000回目、モンスターを狩りにもいけずPKされ続けてる。

「データリセットしてやり直そうかな、PKされ続け半年近く、ステータスもオール1で初期装備......これじゃ狩りにもいけないだろうし......よし!作り直すか」

 俺はデータをリセットしようとした、その時だった

 ーー10000回連続PKでデス達成。条件を満たしました。魔族への転生を始めますーー

 システムの声だ。

「なんだ?魔族ってなんだよ?このゲームでそんな種族選ぶことできないはずだけど......」

 俺はシステムの声に戸惑っていた。

  ーーあなたの種族は魔族となります。ステータスをご確認くださいー ー

 名前 ハルト(魔族)
 LV1 HP1/10+50 MP1/35+50 ATK2+50 DEF3+50 INT2+50 MDF3+50 AGI5+50  LUK1+50
 パッシブスキル 魔族の復讐 (LV1):魔族専用スキル。魔族以外の種族に10倍のダメージを与える。与えるダメージに追加で50のダメージが付加されます。

    復讐に燃える者 (LV1):体力が0になる時1で踏ん張り攻撃力が2倍になる。

 デーモンスキン: 魔族専用スキル。自身のMDFに比例して被ダメージを減らします。

  称号 孤高の魔族: 全ステータス+50

  初代魔族プレイヤー: 魔族からの好感度が最大になる。魔族に対する信頼度が向上し、特別な報酬が獲得できる。

  古の魔王の息子: 全ての能力上昇が10倍になり、特殊なスキルを得ることができる。ただし必要な経験値量が3倍になる。

  スキル ダークブラスト (LV1): MP-5 クールタイム 3秒 ダークエネルギーを集めて放つ攻撃魔法。相手に闇属性のダメージを与える。

  ブラッドラスト (LV1): MP-6 クールタイム 35秒 相手からHPを吸収するスキル。ダメージを与えながら自身のHPを回復できる。

  ダークシールド (LV1): MP-10, クールタイム 15秒
 ダークエネルギーで作られたシールドを展開し、一定時間DEFを大幅に上昇させる。
   
「なんだこのステータス......LV1でこのスキルの量、しかも上位ランカーでも一つ持ってたら強い称号を3つも、魔族ってこんな強いのか?」

 俺はステータスを見たがそこには信じれないことが多すぎた。

  ーー転送を開始しますーー

 システムの声と同時に俺の体は光に包まれ、転送された。
 目が覚めると俺は見たことない城の前にいた。

 俺は自分の体を確認した。
 肌は青みがかった白色であり、紫色に輝く瞳は魔族ならではの深みを持ち、時折、光の加減で青や赤みを帯びることがある。漆黒に近い色合いの髪は短くて、ときには炎のように揺れる。やや長めの耳は、先端が尖り、魔族特有の耳型をしており、頭には二つの角が生えていた。その特徴的な外見がアイデンティティを際立たせていた。身長は人間よりも少し高めであり、その体つきは細身だが鍛えられた筋肉が見え隠れしていた。

 俺はその場に立ち尽くし、自分の変わった体と新しいステータスを驚きながら確認していた。魔族に転生したことが信じられなかったが、俺の体と称号、スキルは明らかに魔族としての力を示していた。

 周囲には何もなく、俺の前に広がるのは大きな城だけだった。城へと近づき、扉を開けると、中には不気味な雰囲気が広がっていた。暗闇の中、赤い炎が明滅している灯りだけが頼りだった。
 城の中を進んでいくと、不気味な声が聞こえてきた。それは城の奥から漏れるようにして聞こえてくる、何者かの声だった。

「ようこそ、ハルトさん」

 声の主はどこからともなく現れ、不気味な笑みを浮かべていた。彼は黒く艶やかな髪を持っており、その髪は彼の肩に優雅に垂れている。髪の一部は前髪として額に掛かり、瞳を隠すことなく顔全体を引き立てている。その瞳は深い赤色をしており、一瞬で相手を魅了するような輝きを秘めてる。

 彼の背は非常に高く、周囲の人々よりも目立つ存在だ。その長身は彼に優雅で品のある雰囲気を与え、彼の立ち居振る舞いが一層引き立っている。彼は自信に満ちた姿勢で立ち、まるで王族のように高貴な雰囲気を漂わせてる。

「誰だお前?なんで俺の名前を知っているんだ?」

  俺は疑念と警戒心を隠さずに尋ねた。目の前の魔族はこちらを見ながら言った。

「私はこの城の主人に支えるフィンです。ハルトさんようこそ魔界へ」

 そう言いながらフィンは一礼し続けて言う。

「この城は魔界としての要塞でございます。魔界は、私たち魔族が住む場所でございます。魔族として生まれた者たちは、外部の異種族に対する強い憎悪と敵意を抱いており、それは異種族からの攻撃や苦しい経験によるものでございます。我々は自身を守り、復讐を果たすべく、強大な力を必要としておりました。ハルトさん、あなたもまたこの魔族としての新たな力を手になさったのです」

 俺はフィンの言葉で自分が魔族になったことを再認識した。

「ハルトさん、この魔界には魔族たちが新たな力を見出し、訓練するための場所が数多く存在します。あなたはその場所を巡り、新たなスキルや力を習得し、より強力な魔族として成長していくべきでしょう。私もまた、あなたの成長をサポートし、必要な知識や指導を提供いたします。古の魔王の息子であるあなたに不可能はないでしょう」

 俺はフィンの言葉を聞き、この新たな世界での冒険が始まることに胸を躍らせていた。俺は力強い決意を胸に、魔界内の訓練場や遺跡を巡る冒険に挑む......
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