145 / 196
第4章:ふたりの想い、消えゆく笑顔
143話
しおりを挟む「――すみません。久堂龍司様の紹介で来させていただきました。ご挨拶したいので開けて頂いてもよろしいでしょうか?」
――龍司の紹介…?
あ!もしかして、オムライスを作ってくれたシェフの人かな?
時間を見つけて紹介してくれるって言っていたし!
あれ…?
でも、さっきの龍司の話だと、出かけるとか言ってなかったっけ…?
…まぁいいや!
「あ、はい!わざわざすみませ――…!?」
この医務室に入る時は、顔認証センサーによってクリアしなければ入る事は出来ない。
今現在で、顔認証をクリアする事が出来るのは、龍司とセリやルカなど龍司が絶対的な信頼をおいている人達だけ。
しかし、登録をしてない人間が部屋に入る場合は、中からのロック解除で入れることが出来るのだ。
ちなみに、中から開ける方法は『指紋認証』のみ。
湊の指紋は、龍司がいつの間にかとっていたみたいで、部屋を出る前に思い出したように言ってきた。
ドアノブのすぐ横にあるセンサーの所に人差し指をかざすと、ガチャンと鍵の解除音が聞こえた。
扉を開け、立っていた女性を見て驚く。
艶やかな黒のロングストレートと、黒色のつり目がちな大きな瞳。
色白の綺麗な女性が、そこには立っていた。
この人は、本当に龍司から紹介を受けた人のだろうか?
そんな疑問を思ってしまった。
だって
目の前に立っている女性は、扉越しに聞いた優しい声とは裏腹に、
今にも人を殺してしまいそうなほどの形相で湊を睨んでいたのだから。
えっ…
なんで俺、睨まれているの…?
一度も会った事も無ければ、話した事もない初対面の人に睨まれるような事をした覚えも当然ない。
あまりの冷たくて恐ろしい表情に、彼女から目を逸らす事が出来なかった。
「――…貴方が、月嶋湊?」
女性は湊を上から下まで、何度も見ながら気が強そうな黒目を向けると、刺々しい物言いで聞いて来た。
「えっ…あ、はいっ…」
赤の肩出しのワンピースに、真っ白のコートを羽織った女性は、まるで日本人形の様に美しく、これまで会った事のない雰囲気を醸し出してる人だと思った。
人を見下したような視線から逃げたくて、問いかけに返事をすると視線を逸らした。
そんな態度が気に入らなかったのか、先程よりも視線が痛く感じるのは気のせいではないと思う。
視線を逸らしても感じる痛いほどの視線に、湊はおずおずと顔をあげる。
だが、今度は甘くとろけるような笑みを浮かべていた。
0
お気に入りに追加
133
あなたにおすすめの小説
首輪 〜性奴隷 律の調教〜
M
BL
※エロ、グロ、スカトロ、ショタ、モロ語、暴力的なセックス、たまに嘔吐など、かなりフェティッシュな内容です。
R18です。
ほとんどの話に男性同士の過激な性表現・暴力表現が含まれますのでご注意下さい。
孤児だった律は飯塚という資産家に拾われた。
幼い子供にしか興味を示さない飯塚は、律が美しい青年に成長するにつれて愛情を失い、性奴隷として調教し客に奉仕させて金儲けの道具として使い続ける。
それでも飯塚への一途な想いを捨てられずにいた律だったが、とうとう新しい飼い主に売り渡す日を告げられてしまう。
新しい飼い主として律の前に現れたのは、桐山という男だった。
【BL】SNSで人気の訳あり超絶イケメン大学生、前立腺を子宮化され、堕ちる?【R18】
NichePorn
BL
スーパーダーリンに犯される超絶イケメン男子大学生
SNSを開設すれば即10万人フォロワー。
町を歩けばスカウトの嵐。
超絶イケメンなルックスながらどこか抜けた可愛らしい性格で多くの人々を魅了してきた恋司(れんじ)。
そんな人生を謳歌していそうな彼にも、児童保護施設で育った暗い過去や両親の離婚、SNS依存などといった訳ありな点があった。
愛情に飢え、性に奔放になっていく彼は、就活先で出会った世界規模の名門製薬会社の御曹司に手を出してしまい・・・。
成人の儀―特別侍従―
gooneone(ごーわんわん)
BL
「成人の儀―特別侍従―」の無料全文公開は終了いたしました。
お読みくださり、エールをくださった方も本当にありがとうございました!
王位継承者である第一王子は、成人する日に立会人の前で性行為が出来ることを証明する。
その相手役(特別侍従)に選ばれた田舎者のケネルは、教育役の見目麗しいリゲンスによっていやらしい身体に変えられていく。
成人の儀まで三か月。
いましめられた男根。
口淫の練習と、後孔の準備。
苦しい。肉欲を解放したい――しかし男根は、成人の儀の準備のために切除されてしまう。
慣れぬ城での生活にそっと寄り添ってくれるリゲンス。
ケネルは特別侍従としての仕事だけでなく、育ちの悪い野菜を救うべく畑に出る。
しかし城内にはケネルに不快感を示す者がいた。
その理由とは――。
「しかし性に不慣れな相手では、王子に性感を高めていただくことはできない。だからそなたにはそれまでに後孔での快楽を覚え、王子の気を高める手段を学んでもらうということだ。その方法はこれから私が指導する」
『絶頂したい。出したい。ここに来てから、村で自慰をしなくても平気だったのは単に本当の性感を知らなかっただけなのだと思い知った。甘かった。こんなふうに快楽を与えられながら達せないなんて苦しすぎる――。』
「慕う相手に他の男に抱かれてこいと言うのはつらかった。しかもそれを見ていなくてはならない。しかし成人の儀は絶対に行わなければならない」
「ああ。大切な男根を失ったというのに健気に膨らんでいる」
「ずっと……ずっとお慕いしております。愛しています。リゲンス様」
※本作は同人で完結済み、電子書籍で販売中です。
※グロシーンはありません。
新しいパパは超美人??~母と息子の雌堕ち記録~
焼き芋さん
BL
ママが連れてきたパパは超美人でした。
美しい声、引き締まったボディ、スラリと伸びた美しいおみ足。
スタイルも良くママよりも綺麗…でもそんなパパには太くて立派なおちんちんが付いていました。
これは…そんなパパに快楽地獄に堕とされた母と息子の物語…
※DLsite様でCG集販売の予定あり
【R18】孕まぬΩは皆の玩具【完結】
海林檎
BL
子宮はあるのに卵巣が存在しない。
発情期はあるのに妊娠ができない。
番を作ることさえ叶わない。
そんなΩとして生まれた少年の生活は
荒んだものでした。
親には疎まれ味方なんて居ない。
「子供できないとか発散にはちょうどいいじゃん」
少年達はそう言って玩具にしました。
誰も救えない
誰も救ってくれない
いっそ消えてしまった方が楽だ。
旧校舎の屋上に行った時に出会ったのは
「噂の玩具君だろ?」
陽キャの三年生でした。
旦那様、お仕置き、監禁
夜ト
BL
愛玩ペット販売店はなんと、孤児院だった。
まだ幼い子供が快感に耐えながら、ご主人様に・・・・。
色々な話あり、一話完結ぽく見てください
18禁です、18歳より下はみないでね。
受け付けの全裸お兄さんが店主に客の前で公開プレイされる大人の玩具専門店
ミクリ21 (新)
BL
大人の玩具専門店【ラブシモン】を営む執事服の店主レイザーと、受け付けの全裸お兄さんシモンが毎日公開プレイしている話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる