Last Smile

神坂ろん

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第4章:ふたりの想い、消えゆく笑顔

126話

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こんなにあったかい気持ちになって
全身が満たされたように幸せが溢れてくるんだ…

龍司とひとつになった瞬間に、足りなかった一部が本来あるべき場所に戻った様な感覚にさえも思えた。



『俺はお前がいないと生きていけない』


前に言っていた龍司の言葉が脳裏に浮かんでくる。

『お前もまた、俺がいないと生きていけない』

あの時はどういう意味だったのか全く分からなかったけれど



『俺たちは離れられない。あの時から…そういう運命なんだ』



今、龍司と両想いになることが出来て



1つになれて



やっとその意味が分かった。




『どちらかが離れればもう片方はおかしくなる…。それ程までに俺と湊は心で
 
 
      ――――――愛し合ってるんだ』



俺たちは―…


俺と龍司は、最初から一緒にいることになるのが運命だったんじゃないかって。

永遠とか運命とか、絶対にないとは思わなかったけれど、あまり信じてはいなかった。
そんな事は、ドラマとか小説とか…空想の中でだけだってそう思っていた。



俺には母さんの記憶がないから、感覚的には父子家庭で育ってきたようなものだ。
父さんを悲しませない様に、寂しくさせないようにずっと笑顔でいた。
泣かない様にしてきた。

泣きたいことも、辛いことも沢山あった。
だけどまさか、こんな幸せな運命が待っているだなんて思いもしなかった。
そしてその運命の相手が龍司だってことも、もちろん考えてもいなかった。

湊は覆いかぶさるように抱きしめてくる龍司の首筋に顔を埋めると、その大きな背中に手をまわし抱きしめ返した。





「龍司、だいすき――」


龍司を想うだけで、こんなに温かくて幸せな気持ちになる。


愛しさが溢れて泣きたくなってくるんだ。



湊は込み上げてきた涙で頬を濡らしながら龍司を見つめれば、その端正な顔は嬉しそうに、泣きそうな表情で微笑んだ。




「――湊、愛している。」




ゆっくりと近づいてきた龍司の唇はそっと湊の唇に触れた。
優しくて甘くいキスは、一瞬にして湊を幸せに包んでくれる。
湊は答えるように、背中にまわしていた手を龍司の後頭部へとまわすと、指に少しだけ汗ばんだ髪の毛を絡めた。



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