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第3章:歯車は動き出す
108話
しおりを挟む刺客に演技も教えるようになったとは…食えない男なのは昔も今も変わってないと朋也に対して舌打ちをする。
「ぼく、ハンカチもティッシュも持っているから!ち、ふかないと!!」
「っ…!!」
――ぼく?
こいつ、男…?
ショートパンツのポケットから、本人の様に真っ白のハンカチを取り出している姿をじっと見る。
確かによく見れば、芹名や琉夏のように――いや、それ以上にかなり綺麗な顔立ちだ。
可愛らしいと言えば可愛らしいが、芹名や琉夏は中性的な顔立ちの為、男と言われれば男には見える。
しかしこの少年に関しては、全くと言っていいほど男には見えない。
それ程まで可愛らしい――女の子のような可憐さと美しさ、可愛らしさ全てを兼ね揃えた少年だった。
男だと分かっていても、視界に映る生足とショートパンツの隙間は何故だろう…目のやり場に困ってしまう。
ハンカチを取り出した少年は、龍司にこびり付いた血を懸命にハンカチで拭きとる。
真っ白だったハンカチからは、やっぱりどこかで嗅いだことのある優しくて甘い香りがした。
一気に血を吸い込んだハンカチは、見る見るうちに真っ赤に染まり、そのハンカチを握る少年の手も赤く染まってしまっていた。
「なにいってるのかわかんないよ!こんな…こんなにいっぱいちがでてるんだよ!しんじゃうよぉ…ぅっひっく…」
「だからっ…なぜおまえが泣くんだ!おれをころしにきたくせに。朋也からおれを殺す様に言われたんだろ!」
目の前の少年は大きな宝石の様な瞳から、ポロポロと大粒の涙を零しながら涙を手の甲で拭いた。
先程まで龍司の血をハンカチで拭いていた手の方で拭いてしまった為、目元は龍司の血がべっとりとついてしまった。
もはや、少年の方が大怪我をしたようにさえ見える。
意味が分からないというように涙を流す少年から視線を逸らすと、龍司はゆっくりと体を起こす。
芹名の薬のおかげで、さっきよりも大分身体が楽になった気がした。
「っう…ひっくっ…ころ、す…?だれが…?ぼく、パパと砂浜にあそびに来ただけだよ?」
漸く涙が引いた少年が、目元を拭いながら不思議そうに首を傾げた。
「え…。お、まえ…おれを殺しに来たんじゃない…のか?」
さっき、おれの腹に銃を撃った奴と同じ…朋也に雇われてる仲間だと思ったのに…
こいつは――…違う…?
言われてみれば、おれを殺しに来たのにも関わらず、服装が肌を露出しすぎている気がするし、なによりも銃や刃物など…武器と呼ばれるものは一切見当たらなかった。
どうしてだろう。
こいつは、なにかが違うと思った。
「ううん。ちがうよ…?おにいちゃんなんでそんなこというの?ころすとかそんな…っ
そんなかなしいこと、いわないで…」
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