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第3章:歯車は動き出す
62話
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『け、計画ってなんですか?』
芹名が驚いたような表情で龍司に詰め寄ってきた。
龍司は腕を組みながら、芹名とその後ろでおとなしく耳を傾ける少年3人を一瞥する。
『この地下の施設をぶち壊す。あのカプセルの中にいる人達は、元の住んでいた所に帰すんだ。』
『えっ!?そ、それは無理ですっ!人形達に打った薬は、トモが改良して作り上げた薬です!一度打てば、二度と元の状態に戻る事は難しいんですよ!?』
『…なんだと?』
龍司が怪訝そうな表情で芹名を見る。
困った様な表情のまま芹名がゆっくりと口を開いた。
『ですから、ボク達だけでは…っ』
『それでもいいからやるんだ。お前は、その年で医療に関する知識が高いと見える。…だから、お前が人形にする薬…NT-1099を中和して普通の人間に戻す薬を作るんだ。朋也にばれないように。』
芹名の瞳が徐々に大きく開かれていく。
にやりと口角があがった龍司が真っ直ぐ芹名を見つめた。
『そ…んな、ボク…が?』
『あぁ。お前がやるんだ芹名。これはあのカプセルに入っている人達の為でもあるが、いずれお前の為にもなる事だ。』
力強い龍司の言葉に、芹那の瞳が逸らされる。
震えていた手をぎゅっと握ると、意を決したように龍司を見上げる。
『…わかりました。』
『晃、零、琉夏…お前らはこれまで通り頼まれた仕事をこなせ。…ただ、朋也から連絡があっても誘拐や拉致はするな。』
付けていた般若のお面を取り、片膝をついた3人が龍司の言葉に答えるように返事をした。
顔をあげれば少年達を見下ろしていた龍司と目が合う。
何とも言えない神妙な面持ちをした少年達の表情に、龍司は続ける。
『…今まで一度も失敗をしないで連れ去った人達を、朋也にばれないで連れ去られないようにしたらいいか…。――それが心配なんだろう?』
『…はい。トモから誘拐・拉致の依頼が来た当人達は、全員トモと予め接近して仲良くなっています。ですので、薬を飲ませて拉致をするのは非常に簡単なんです。そこまで手を尽くしていなければ、人形として迎え入れるのは難しいですから…。』
中央に座る綺麗な顔立ちをした少年の晃が、龍司の言葉に口を開く。
常日頃からフード付きマントとお面を被っていたのか、晃をはじめとする少年達3人の肌は驚くほどに白かった。
『そんな事は分かっている。人を誘拐するんだ。最初から失敗する事がないように、密に計画を練り、周りにも怪しまれない様に実行する事は分かりきっている』
『…』
表情を変える事なく淡々と話し続ける龍司に、晃が「そうですね。すみません…。」と小さく呟いた。
『朋也から誘拐の依頼を受けるのは芹名…お前だったな?』
『え?…あ、はい。トモからボクの携帯に連絡がきて、ボクが晃達に命令を下すと言う感じです…』
『…今度、朋也から誘拐の連絡が来たら、おれにすぐに教えろ。そしてそのターゲットの人の情報を、全部おれに転送するんだ。』
『えっ!?で、でもそんな事をして、もしもトモにばれたらっ…!』
『大丈夫だ。おれを誰だと思っているんだ?朋也にバレる事がない様に、ちゃんと考えはある。――お前らにこれを渡しておこう。』
そう言って龍司が手に持っていた紙袋を前に出す。
携帯ショップのロゴがプリントされている紙袋を、不思議そうに見た芹那が、困惑気味の表情で受け取った
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