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第九話『運命という物』
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大地は建物の角から向こうにバレないようにチラチラと様子を伺っていた。何度、目を擦っても変わらない視覚情報に到底理解できないような顔をした大地は優大の肩を大きく揺すった。
「なにがどうなってんだ!?こんなの聞いてないぞ!」
~10分前~
「なあ!弟くんの写真とか無いの?」
お昼休みも後半に差し掛かった頃、最初に食事を終えた大地は目をキラキラさせながら優大に尋ねた。
「え、優大って一人っ子じゃないの?」
と、すかさず智治が会話に入ってくる。
「いや、俺もつい最近知ったばっかなんだけどさ、これがマジなんだよ~!な?トモちゃんも見てみたいでしょ?」
「み、見てみたい...」
「ほら!トモちゃんも見たいって!いいだろ?」
優大は呆れたと言わんばかりにため息をした。
「写真は無いから、後で見に行くか?もうそろそろ寮から帰ってくる頃だろ。」
「お、いいじゃん!行こ行こ!トモちゃんは?」
「んー、やめとく。俺が行くとそれどころじゃなくなりそうだし。後で感想聞かして。」
智治は、人通りが多くなるこの時間は講義室から出ないように心がけていた。わざわざ昼飯を買ってから登校し、昼になっても寮には戻らないことにしているのだった。
「あー...人気者ってのも色々大変だな。わかった、2人で行ってくる~!」
そう言うと大地は優大の腕を掴み微笑む。
「ちょっと待て、俺はまだデザート食べれてないぞ。ーーおい、引っ張るなって!おい!」
「行ってらっしゃーい、俺が責任もって片付けておくよ~。...ん!うまうま!」
~5分前~
「なあ、やっぱりトモちゃん最近様子が変じゃない?」
さっきの笑みとは一転、真面目な顔をした大地が尋ねる。優大は不満そうな顔をする。
「そんなこと聞くために俺プリン食えなかったの?」
「ちょっ、そんなことじゃないだろ!俺は本気で心配してんの!いつもだったらこう...もっと口数少ないし...わかるでしょ?」
「...まあ、確かにいつもよりテンション高め?みたいな感じするけど、それほどかぁ?イメチェンぐらいしたくなったりもするだろー。」
「それほどなの!トモちゃんがあんなにずっとハイテンションなのはもはやキョーフでしょ!なんか理由があるんだよきっと!」
「恐怖はちょっと可哀想だろ。えー。その理由が気になるって言うんだろ?俺は協力しないからな。ってかお前は気になることが短期間で増えすぎなんだよ。今は俺の弟に集中しろよ俺プリン食ってないんだぞ!ほら、ちょうど来たぞ、2人組の左のヤツだよ弟。」
そう言って優大は指を指す。大地はそこに目を向けてまじまじと見つめる。
確かにお世辞にも似てるとは言えないなぁ。もはや他人じゃん。これ、ドッキリでした!とかにならないよね?
ってかユウちゃんって弟くんのこと好きなんだよね!?2人組で歩いてるけど精神状態ダイジョブなん?なんか右の子がリードして話してるしめっちゃ仲良さそうじゃん。
...って、あれ?右の子なんか見覚えあるような......
「ええええええええええええええ!?!?」
秀和の隣にいる人物が誰か気づいた大地は思わず声を上げる。そこには紛れもなく、あの口数が少なくたまに睨みつけてくる隆則の姿があった。『ああいう性格だから』『それも個性だから』で割り切っていたものが崩れさっていった。
あんな顔、今の今まで一度も見たことないぞ!?
~そして現在~
「なにがどうなってんだ!?こんなの聞いてないぞ!」
「いや、似てないって言ったじゃん。」
優大の返答に大地は口をパクパクとさせた。少しの沈黙の後再び口を開く。
「...違くないけどそうじゃなーい!右!右の子の方!あれ、タカちゃんだよな?双子とかじゃないよな?」
「ん?ああ、田神だろ?何をそんなに驚いてんだ?」
「えっ。あっ、そっかユウちゃんは入部届の時以来話す機会なかったのか!ほぼ顔見知りだもんな!」
「あっ...確かにお前から聞いてた印象とは違うな。」
「そう!それなのに今ほらーー」
「ーーじゃあ、やっぱり嫌われてたってことじゃね?」
大地はショックを受けたようで口に手を当てた。
「冗談だよ。そんなに気になるなら、直接聞いてみればいいだろ。すぐそこだし。いずれ知ることになる運命だろ?」
「運命なんて知らん!いやだって、それで嫌いですなんて言われてみろ!立ち直れないよ俺は!そう、あれだっ!言わぬが花!うやむやなままでいたいんだよ!」
「...それ、使い方ちょっと違くないないか?」
「と・に・か・く!もうそろそろ講義始まっちゃうから戻ろ!トモちゃんも待ってるって!」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「おい、案の定俺のアカウントにアイツからダイレクトメール来てんだけど。ホントにどーゆーつもりなの?これ、ブロックしていい?」
春人は不満気にそう放った。
「2人きりで会いたい、って伝えて。」
「っ!俺も一緒にーー」
「ーー大丈夫。俺はカケルとちゃんと向き合うべきなんだ。逃げるのはもうやめたんだ。だから、な?1人で行かせてよ。」
「...わぁーったよ。でも危ないと感じたらすぐ逃げるんだぞ、わかったな?」
「うん。ありがと。」
春人は文面をいぶかしげに読み、冷笑する。
「しかしまあ、運命なんて物ホントにあんのかねぇ。結局はただの偶然だろ?」
「ただの偶然を運命って言うのが粋なんだよ。ロマンチックじゃないか。」
青也の返答が以外だったのか、春人は目を丸くして青也を見つめた。そして不安そうに尋ねた。
「それでいいのか?」
「それでいいんだよ。...ただ、運命の出会いが一度きりしかないなんて、そんなケチくさいことはないってわかっていればね。」
青也は静かにに笑う。春人には少し悲しそうに見えた。
「なにがどうなってんだ!?こんなの聞いてないぞ!」
~10分前~
「なあ!弟くんの写真とか無いの?」
お昼休みも後半に差し掛かった頃、最初に食事を終えた大地は目をキラキラさせながら優大に尋ねた。
「え、優大って一人っ子じゃないの?」
と、すかさず智治が会話に入ってくる。
「いや、俺もつい最近知ったばっかなんだけどさ、これがマジなんだよ~!な?トモちゃんも見てみたいでしょ?」
「み、見てみたい...」
「ほら!トモちゃんも見たいって!いいだろ?」
優大は呆れたと言わんばかりにため息をした。
「写真は無いから、後で見に行くか?もうそろそろ寮から帰ってくる頃だろ。」
「お、いいじゃん!行こ行こ!トモちゃんは?」
「んー、やめとく。俺が行くとそれどころじゃなくなりそうだし。後で感想聞かして。」
智治は、人通りが多くなるこの時間は講義室から出ないように心がけていた。わざわざ昼飯を買ってから登校し、昼になっても寮には戻らないことにしているのだった。
「あー...人気者ってのも色々大変だな。わかった、2人で行ってくる~!」
そう言うと大地は優大の腕を掴み微笑む。
「ちょっと待て、俺はまだデザート食べれてないぞ。ーーおい、引っ張るなって!おい!」
「行ってらっしゃーい、俺が責任もって片付けておくよ~。...ん!うまうま!」
~5分前~
「なあ、やっぱりトモちゃん最近様子が変じゃない?」
さっきの笑みとは一転、真面目な顔をした大地が尋ねる。優大は不満そうな顔をする。
「そんなこと聞くために俺プリン食えなかったの?」
「ちょっ、そんなことじゃないだろ!俺は本気で心配してんの!いつもだったらこう...もっと口数少ないし...わかるでしょ?」
「...まあ、確かにいつもよりテンション高め?みたいな感じするけど、それほどかぁ?イメチェンぐらいしたくなったりもするだろー。」
「それほどなの!トモちゃんがあんなにずっとハイテンションなのはもはやキョーフでしょ!なんか理由があるんだよきっと!」
「恐怖はちょっと可哀想だろ。えー。その理由が気になるって言うんだろ?俺は協力しないからな。ってかお前は気になることが短期間で増えすぎなんだよ。今は俺の弟に集中しろよ俺プリン食ってないんだぞ!ほら、ちょうど来たぞ、2人組の左のヤツだよ弟。」
そう言って優大は指を指す。大地はそこに目を向けてまじまじと見つめる。
確かにお世辞にも似てるとは言えないなぁ。もはや他人じゃん。これ、ドッキリでした!とかにならないよね?
ってかユウちゃんって弟くんのこと好きなんだよね!?2人組で歩いてるけど精神状態ダイジョブなん?なんか右の子がリードして話してるしめっちゃ仲良さそうじゃん。
...って、あれ?右の子なんか見覚えあるような......
「ええええええええええええええ!?!?」
秀和の隣にいる人物が誰か気づいた大地は思わず声を上げる。そこには紛れもなく、あの口数が少なくたまに睨みつけてくる隆則の姿があった。『ああいう性格だから』『それも個性だから』で割り切っていたものが崩れさっていった。
あんな顔、今の今まで一度も見たことないぞ!?
~そして現在~
「なにがどうなってんだ!?こんなの聞いてないぞ!」
「いや、似てないって言ったじゃん。」
優大の返答に大地は口をパクパクとさせた。少しの沈黙の後再び口を開く。
「...違くないけどそうじゃなーい!右!右の子の方!あれ、タカちゃんだよな?双子とかじゃないよな?」
「ん?ああ、田神だろ?何をそんなに驚いてんだ?」
「えっ。あっ、そっかユウちゃんは入部届の時以来話す機会なかったのか!ほぼ顔見知りだもんな!」
「あっ...確かにお前から聞いてた印象とは違うな。」
「そう!それなのに今ほらーー」
「ーーじゃあ、やっぱり嫌われてたってことじゃね?」
大地はショックを受けたようで口に手を当てた。
「冗談だよ。そんなに気になるなら、直接聞いてみればいいだろ。すぐそこだし。いずれ知ることになる運命だろ?」
「運命なんて知らん!いやだって、それで嫌いですなんて言われてみろ!立ち直れないよ俺は!そう、あれだっ!言わぬが花!うやむやなままでいたいんだよ!」
「...それ、使い方ちょっと違くないないか?」
「と・に・か・く!もうそろそろ講義始まっちゃうから戻ろ!トモちゃんも待ってるって!」
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「おい、案の定俺のアカウントにアイツからダイレクトメール来てんだけど。ホントにどーゆーつもりなの?これ、ブロックしていい?」
春人は不満気にそう放った。
「2人きりで会いたい、って伝えて。」
「っ!俺も一緒にーー」
「ーー大丈夫。俺はカケルとちゃんと向き合うべきなんだ。逃げるのはもうやめたんだ。だから、な?1人で行かせてよ。」
「...わぁーったよ。でも危ないと感じたらすぐ逃げるんだぞ、わかったな?」
「うん。ありがと。」
春人は文面をいぶかしげに読み、冷笑する。
「しかしまあ、運命なんて物ホントにあんのかねぇ。結局はただの偶然だろ?」
「ただの偶然を運命って言うのが粋なんだよ。ロマンチックじゃないか。」
青也の返答が以外だったのか、春人は目を丸くして青也を見つめた。そして不安そうに尋ねた。
「それでいいのか?」
「それでいいんだよ。...ただ、運命の出会いが一度きりしかないなんて、そんなケチくさいことはないってわかっていればね。」
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