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ま…またやらかしてしまった……

もう、僕ってホントに馬鹿なんじゃないだろうか。
こんな風にやらかしたのも何回目だって話だよ。
いい加減に学習しろよ自分!

僕は羞恥で顔を真っ赤に染め、咄嗟に店のドアに向かって走り出そうとしてアヤさんに取っ捕まり、腕の中に閉じ込められた状態でジタバタと挙動不審な人になってしまった。

「ハイハイ落ち着いて。こんな所で三角座りしようとしないの!」

離して~~ッ
僕は今、消えたいくらいに情けなくて恥ずかしいぃ!

ナージャさんに謝罪を受けて貰えたのか確認もしてないのに。
世界に三人しか居ない勇者様の威厳とか世間体とか、色々あるっていうのに。
それなのに、こんな…こんな……

パニックになって暴れる僕に、アヤさんは悲しい程に余裕綽々しゃくしゃくで、僕を捕まえた手を絶対に離さず頭を撫で始めた。

「いい子だから落ち着きなって。イツキが無意識に可愛い事やっちゃうのはいつもの事だし、私としては愛しいだけなんだから、気にしない気にしない」

なッ、
何をイケメンが極上の笑顔で、そんなこっ恥ずかしい台詞を!!
愛しいって何だ!?
もう、恥ずかし過ぎて眩暈がする…

僕は真っ赤な顔を更に赤くして、頭から湯気でも出しそうな勢いでグッタリと崩れ落ちた。

「アレ!?どうしたの?イツキ?」

僕が脱力してアヤさんの腕の中でぶら下がったみたいになっていると、放心していたミケーリュウスさん親娘おやこがいつの間にか復活を遂げていたらしく、僕の状態を見て溜め息を吐いた。

「アヤト様、イツキ様の精神が限界のようですニャよ。取り敢えず椅子に座らせて差し上げてはいかがですかニャ?」
「そうですよ!至近距離でアヤト様にあ~んな顔されたら、女の子は『はひゃ~~』ってなって、『ふにゃ~~』ってなっちゃうんですよ!」

いや、僕は中身が男だけどなりますから。
アヤさんのイケメンスマイルは性別を問わずで破壊力抜群ですから。

「宜しければこちらの椅子に座ってお待ち下さいニャ。娘と二人して少し呆けてしまいましたが、今から頂いた食材で大至急お食事をご用意させて頂きますニャよ!」

そう言ってミケーリュウスさんが厨房に引っ込むと、アヤさんが椅子に座らせてくれたので、僕は冷たいテーブルに突っ伏して顔を冷やした。
するとナージャさんが遠慮がちに近付いて来て、一定の距離を空けてピタリと止まると、物勢いで頭を下げた。

「イツキ様、さっきは本当にごめんなさいッ!
私こそビックリさせちゃったから謝らなきゃって思ってたのに、イツキ様が先に謝ってくるから驚いて遮っちゃって…
それなのにまた謝ってくるから『もうどうしたらいいの?』って困ってたら、いきなりアヤト様氷の王子様が吹き出すし、イツキ様は誰にも触れる事を許さない、その『氷の王子様』の顔を掴んで引っ張るし、それでもアヤト様は怒りもせずニコニコしてるし!」

な、ナージャさん?
マシンガントークが全然止まりませんけど、どうしちゃったんですか?

「それにッ」

え?まだあるんですか!?
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