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「これはこれはアヤト様、半月ぶりくらいでございましょうか」
「ああ久しぶり、なのかな?元気にしてたかいヒース」
「お陰様で。ところで隣にいらっしゃるのはお連れ様で?」
「ああ、シンラの森で昨日保護した子だ。名はイツキ、13歳だ。身元は私が保証しよう」

僕が慌てて頭を下げると、ヒースさんはジロジロと僕を観察してからニッと笑ってくれた。
僕はアヤさんよりも背が高く、ガッチリした体格のナイスミドルにガン見されて怯えるも、人懐こい笑顔にホッと胸を撫で下ろし、いつの間にかキツく握り締めていたアヤさんの右手を緩めた。

「私の名前はヒースと申します。これからどうぞ宜しくお願い致しますイツキ様。
さて、アヤト様がこの方の身元を保証して下さるのであれば我ら門番に異議などございません。今日はこれからギルドへ向かわれるので?」
「ああ、この子の身分証を作りにね」
「さようでございますか。では、ようこそ『イーリア』へ。どうかゆっくりとご滞在下さいませ」
「ああ、ありがとう。ご苦労様」

そう言うと、アヤさんは左手をヒラヒラ振りながら歩き始めた。
手を引かれた僕はヒースさんにペコリと頭を下げてから南門をくぐると、そこは正にゲームの世界みたいな中世ヨーロッパ風の街並みが広がっていたのだった。

うっわ、凄~い!
マジで凄い!

馬車が走る石畳みの道。
連なる煉瓦の家々。
ホント見れば見る程『これゲームのOPとかで見た事ある!』的な街並みだ。
南門から真っ直ぐ伸びた大通りには、両脇にたくさんの露店が立ち並び、肉や魚介類の焼ける美味しそうな匂いがあちこちから漂わせていた。

大通りを行き交うたくさんの人々を見渡せば、ワンコ尻尾の付いたケモ耳っ娘さんとか、尖った長い耳の美人エルフさんとか、二足歩行してる虎みたいな獣人さんとか、子供みたいな大きさのちっさいオッサンとか、とにかく色んな種族が人族にチラホラと入り混じっている事に気が付く。
アヤさんと手を繋いでいなければ、僕なんかキョロキョロし過ぎてアッという間に押し流され迷子になっていたに違いない。
ホントは人前で手を繋いで歩くとかって、物凄く恥ずかしいんだけど、でも僕の身長は決して高い…とは言えない高さなので仕方がない。
こんな所で迷子になる恐ろしさと天秤に掛けたら、恥ずかしさなんて、恥ずかしさなんて、恥ずかしいけど、耐えられない程じゃ、ない。

それにしても…
こっちの世界の人達って、妙にデカイ人が多いなぁ。
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