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さっきまで僕が寝ていた部屋はどうやらこの家の2階にあったらしく、吹き抜けになっていた短い廊下の手摺りから下を見ると、1階の広いリビングには暖炉があってそこから伸びる煙突があって、見た目ステンレスのシンクとカウンターキッチンがあって、冷蔵庫みたいなのもあって、食器棚があって、大き目のテーブルにソファーに、ベンジャミンやポトスやサンスベリアみたいな観葉植物に…

あれ?これ、ほとんど日本と変わらなくない??

左手はアヤコさんに掴まったまま、右手は手摺りに手を乗せて階段をよたよた下りると、ログハウス風モデルハウスと言われても違和感ない家の様子に、僕は改めて呆然と立ち尽くすのだった。

「実は…生前の趣味のDIYが、その、あれだよ。ちょっとやり過ぎたちゃっていうか、何ていうか…」

「え?もしかしてこの家…
全部アヤコさんの手作りなんですか!?」

「あー、まぁ、仕事がない時は何かしら常に作ってたから、気が付いたら…何て言うか、こんな事に?」

そう言って力無く笑うと、アヤコさんはこだわりがギッシリみっちり詰まった家をざっと案内してくれたのだった。

因みに顔を洗う為に連れられた洗面所は、僕が住んでいた家の洗面所よりも凄くて、切り替えるだけで即お湯が出て温度調節機能もバッチリとか、バチャバチャ髪を洗っても一切水滴が飛び散らない結界付とか、このまま日本でも売れそうな程の出来ばえだったのでした。

アヤコさんが糸から拘って作ったフカフカのタオルで顔を拭き、僕はアヤコさんに支えられてカウンターキッチンに併設されたテーブルに着いた。

ご飯に味噌汁に胡瓜の漬物に焼き魚に卵焼きにお茶。

って、日本食ぅ!?
ホント異世界はドコに行った?

僕は取り敢えず、朝食をテーブルに並べ終えたアヤコさんが隣に座るのを待って、一緒に「いただきます」をしてご飯を食べた。
物凄~~く美味しかった。
その上学校以外で誰かと食事をするのが久しぶり過ぎて、僕はちょっと泣きそうになったのだった。

「さて、食べながらで良いから聞いてくれる?」

アヤコさんにそう切り出されて僕は最後の一切れになってた卵焼きを口に放り込むと慌てて咀嚼して飲み込んだ。
実はずっと気になっていたレベルの事がやっと聞けるとあって、僕は隣に座るアヤコさんの顔をじっと見つめた。

「昨日、あの真っ暗な道を2時間近く私と手を繋いで歩いて貰ったのはもちろん意味があっての事でね。ついでにグリフィンのトドメを一緒に刺したのもイツキのレベルを上げる為に必要だと思ったからやったんだけど…
取り敢えず、心の中で『ステータス』って念じてみてくれるかな?」
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