転生しました。

さきくさゆり

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第六章

最近の基本的生活

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「せんぱーい。どうしたんすか今日」
「なにがー?」
「いや今日はいつにも増してオンオフが激しいなぁと」
「そうかぁ?……いらっしゃいませ!」

 客が来たの商品のバーコードを読み取る。

「五千円お預かりいたします。……五千円入りまーす!四千七百円のお返しとレシートのお渡しでございます!ありがとうございました!…………いやぁそれがソコソコ驚きの事実が発覚してなぁ」
「そういうところっすよ……。なんすかそれ」

 ひるコンビニバイトなう。
 もちろん日本でございます。

 地球での昼間はコンビニバイト、アルテでの昼間は学校の生活。
 あっちとこっちを行ったり来たりの生活である。
 あ、今日は変わってくれって人がいたから深夜に入っているだけだから。

「いやあ色々あるんだよ生きてると」
「そんなもんすかねぇ」
「そんなもんだよ」
「花梨ちゃんに相談してみたらどうっすか?」
「いや別に相談できるようなことじゃねぇから」

 アルテの事情をこっちでなんて無理だね。
 つか妹がーなんて言ったら何すっかわからん。
 この間なんか女性客に手渡しでお釣りを渡したことが気に食わなくてネチネチネチネチ…………まいーや。

 ちなみにさっきから先輩先輩言ってくるコイツは同じ大学だった後輩で、山田《やまた》洋《よう》。糸目が特徴の背の高い女だ。ヤマダではなくヤマタと本来読むのだが皆はヤマダと呼んでいる。
 ヤマダヒロシと呼ぶとキレる。

「お、噂をすれば」

 午後三時。
 花梨はこの時間にいつもこのコンビニに来る。

「こんばんはっ」

 可愛らしい笑顔で挨拶した花梨は缶ビールとかを籠に入れてレジまで来た。

「和樹。最近お酒の減り速いよ」
「さーせーん」

 まあ向こうに持ってくから異空間にほっぽりこんでるんだよね。
 ちなみにワインをレデンに渡すと目をひん剥いて土下座しながらイタリア産ワインの大量注文を受けた。断ったけど。

 いや無理だから。
 こっちとあっちじゃ通貨もちげぇし、下手に向こうの物を地球で売ったら何があるかわからんからね。
 その代わりたまにタダ飯食わせてもらうことを条件に何本か渡してやってるけど。
 ほら、ぶっちゃけ地球では光熱費と家賃くらいしか金使わないから。食費は向こうのを食えば問題無いし。それでも結構な金額稼がないとあかんけどね。

「全く……。…………ん?」
「なんだ?」
「…………さっきも思ったけど、なーんか暗いね今日」
「そうなんっすよ!花梨ちゃんもわかりますよね?!」
「もちろんです!それでどうしたの?起きてからずっとそんな感じ。変な夢でも見た?」

 夢……夢か……。

「んーちょっとまあ夢の話なんだけどな」

 客もいないので夢の話ということで相談してみた。


「そりゃ、百パー先輩が悪いっすね。知らなかったとは言え親を殺しかけてるのはどうかと思いますよ」
「百パー?」
「百パー。つか随分細かいこと言ってますけど、その夢何度も見たんすか?」

 見たっつーか毎日生活してるわ。

「私は百パー悪いとは思わないけど。ちょっと冷たい気もするけど、実際下手したら死んじゃうことだし」
「そう!そうなんだよ!死ぬ可能性の方が高いの!大して恩義もない親の命より、自分の命優先は普通だろ?」
「いやだからなんで妙にリアル臭えっすか」

 うっさいわ。つか仕事中に酒のむなや蟒女が。
 洋はいつの間にかワンカップ片手におでんを食っていた。

「とりあえず私の思うことはただひとつ!…………夢の妹さんって可愛いの?どんな子?身長は体重は?目の色は?髪色は?どんな性格?」
「近い近い近い近い」

 なんかグイグイ来る花梨にドン引きしつつ、一応答えてやる。

「身長は一七〇くらいかな。体重はしらんが見た目はヤセ型。金髪でポニーテールにしてるな。性格は…………両親大好きーなのとかなりワガママかな?よくは知らん」

 ふむ。
 改めて考えるとマジでレティスのこと知らねぇなパスト。
 まあ関わり無かったしそんなもんか。
 そういえばアイツとニーグンって仲が良かった筈だけど、ニーグンが婿入りってどう思ってんだろ。

「とにかく、そんな夢の女の子より現実の女の子のことを気にしてよね」
「はいはい。もうじき上がりだけど待ってるか?」
「待ってる!」

 そう言って花梨はフードスペースに行って腰を下ろした。

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