転生しました。

さきくさゆり

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第四章

時間は過ぎゆく

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 長期休暇も目前のある日の放課後。

 家に帰ると、思いがけない客がいた。

「おかえりなさーい。丁度いいところに。師匠、今ちょっと手が離せないんで、リーシャちゃんの相手してもらっていいですか?」

 とまあ何故かリーシャが家に来ていた。
 なんかリーシャは今日誕生日だそうで、アオはそのお祝いにケーキを作ってるんだとさ。
 今は飾り付けをする所みたいだ。
 スポンジにクリームを塗ったくっている。

「いちごケーキか?」
「ですよー」
「ふーん。じゃついでにこれも乗せとけ」

 異空間から前にとったラズベリーっぽいやつを出してやった。


 居間に行くとリーシャが紅茶をチビチビ飲んでいた。

「お、おじゃまして、ます……」
「邪魔するなら帰れー」
「ひうっ?!」

 あ、やば。

「冗談だわ。ごゆっくりどうぞー」

 俺はついでに異空間から前に焼いたクッキーを出した。

「アオから聞いたけど誕生日なんだってな。おめっとさん」
「これ……くれるの?」
「やるやる。味はイケるぞー」
「ありがとう……」

 リーシャはクッキーをポーチにしまった。

「んじゃそゆことでー」
「パ、パスト!」
「あん?」

 部屋に帰ろうとしたら、リーシャに呼び止められた。
 なんじゃ?

「わたし、あいつと縁を切ろうと思う!」
「ふーん。保護者やめるんだ」
「な?!保護者じゃないわよ!」
「ふーん。だから?」

 死ぬほどどうでもいいんですが。

「だから……あの……どう思う?」
「はい?まあ縁を切るんなら切ればいいんじゃないですか?」
「り、理由とか、聞きたくならない?」

 ならない。と言いたいところだけど多分ここら聞いといたほうがいいんだろうなぁ。

「なんできるのー?」
「え?気になる?そう……。えーとね、あいつさ。なんか増えたのよね」
「なにが?」
「……周りにいる女の子」

 増えたの?!
 さらに?!

「それでその後色々あってわかったのよ」
「ナニガワカッタンデスカ?」
「私はあいつのお世話係じゃないってことよ!」

 いまさら気づいたのか。

「いまさら気づいたのか」
「いまさら?」

 やべ。
 声出てた。

「まいいわ。だからね。あいつには独り立ちしてもらうため、縁を切ります!」
「ふーん、てことはあれか。お前もついに自由な人生を謳歌できるわけだ。よかったな。これで貴族様にでも唾つけとけば、将来安泰だ。お前美人だし余裕だろ」
「え?」
「つかリーシャって……」

 なんであいつに付き合ってたんだ?と続けようとしたが、アオがケーキを持って入ってきた。

「リーシャちゃーん!できましたー!」
「すごーい!」

 リーシャが驚くのも無理はない。
 マジですげえケーキだった。
 20号くらいのワンホール。
 なんか赤いゼリーのコーティングまでしてあるよ。
 余ったら一切れくんねーかな。

 ケーキに夢中になっている二人を尻目に、俺は自室に戻った。


 *****


 長期休暇明けの初日。

 掲示板の前がめちゃくちゃ賑わっていた。

 それもそのはず、修学旅行の日程と場所が張り出されたからだ。

 今年度の行き先はリエン皇国の首都とその周辺だってさ。

 ふーん。

 まあ行かないけど。

 だって面倒だし。

 この修学旅行って実は任意参加だったりする。
 というか学園最初のイベントである遠征試験以外は任意参加だ。
 参加費は払わなければならんがね。

 なんでも今の学園長が着任してからずっとだそうで。
 しかもあのハゲ、イベントそのものを無くそうとすらしたらしいよ。
 ああ、二年次のイベントは、修学旅行、学園祭、魔闘大会がある。
 三年は就活とかで忙しくなるらしいので、魔闘大会のみだ。


 あ、久しぶりのチェニック……。
 あらあ、本当に増えてるわ。

 聞いてたとおり、ハーレムメンバーが七人に増えていた。

 そしてメンバーからはやはり聞いてた通り、リーシャと、なんとあの貴族の女が消えていた。

 奴らとは進級した時のクラス替えで別れたからな。
 何があったんだか。


 掲示板の前を通り過ぎて、のんびり旧校舎に向かった。



☆☆あとがき☆☆

これで第四章終了です。

年内更新はこれで終わります。
約半年間お世話になりました。
来年もよろしくお願いいたします。

では、良いお年を!
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