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第三章
……迷宮に行くんだったわ
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「そろそろ一度帰すぞ」
「あいよーってちょっと待て。まだ、時差のことを聞いてねーぞ」
「……忘れとった」
「重要だよなあタマムシ女」
「悪かったからその呼び方やめてはくれんかの。悲しくなってきたのじゃ」
「泣きゃすむと思ってんのか?はよ話せや」
「ほんと冷たいのお。あーお主が和樹の身体から飛び出したのは、入院して一年たった頃じゃ。じゃからお主が地球に戻る時間はその魂が抜け出た瞬間じゃ。そこからここを経由して、またパストの身体に戻ってもらうが、やはりコチラも抜け出た瞬間に戻ってもらう。以降はその繰り返しじゃ」
「なんか矛盾してる気がすんだけど……」
「全てを話すのは禁止されておるから詳しくは話せぬ。が、神にもできないこともあるんじゃよとだけ言っておく」
「全知全能じゃあないのね」
「神だって生きておる。給料だってあるんじゃよ」
「夢が壊れる……」
まあ、俺になにか不利益なことが起きるわけじゃないみたいだし、いいよな。
地球に帰ったら……とりあえずネットでこっちでも役に立ちそうな知識を手に入れるべきだよな!
バイクとかもいじれるし!
それに魔術に必要なのは知識だと言っていた。
つまり、アッチでのネット知識があれば!
色々できるんじゃね?
ああ素晴らしき魔術!
素晴らしき魔法術!
…………名前、考えよ……
「つかなんで一旦返す必要あるの?別に考えることねーぞ」
「……こっちの準備があるんじゃよ」
「……ふーん」
なんか隠してるのはわかるけど、なんとなくもう何も教えてくれないだろうなと思った。
多分禁止されてるーとか、下手すると騙される可能性だってある。
今までの話だって、どこまでが本当なのかわからんしな。
けど、下手に絡むより、ここで身を引いたほうが良さそうだ。
「んじゃ送ってくれ」
「わかったのじゃ。転移魔法に介入して呼び出したのじゃが、時間はたっとらんからの。向こうでは皆と同時に転移先に着くぞ」
「どーも」
「それじゃまたの。時間的には三日後以降にココに来てくれ。転移できるようにしておくからの。それじゃあの」
そしてまた、鳩尾と背中がくっつく様な感覚がして……
*****
「行ったか……。とりあえずコレでわしの首の皮一枚が繋がったのじゃ……。それにしてもあやつは何度も何度もタマムシタマムシとグヌヌヌヌ!……まあよい。どーせあやつは、今となってはどちらの世界でも異物じゃ。その内はじかれて消えるじゃろ。それまでは好きにさせておけばよい。というか手が出せんしな。そんなことより暇つぶしに勇者の称号を与えておいた者を観察するとしよう」
*****
目を開けると、目の前にチェニックの顔がドアップ。
「ッドエッフ!!!」
思わず蹴り飛ばしてしまった。
リーシャがすぐに駆け寄る。
俺のことを少し睨みつけ……ようとしたらしいがすぐに目をそらされた。
周りを見回すと、どっかの部屋らしい。
とくになんの変哲も……あったわ……。
口の周りは髭だらけで首元まで伸びている。
そして、全裸。
無駄にガチムチ。
その状態でグ○コのポーズ。
背中には俺の身長ほどもあるくらいデカイ翼が左右から見えていた。
あの教会にもあったクソジジイの変態像のミニチュア版が部屋の真ん中に置いてあった。
ミニチュア版と言っても、俺と同じくらい大きさがある。
教会のが見上げるほどのデカさだったからな。
それに比べればミニチュアだ。
何者なんだこのジジイ……。
聞くの忘れてたわ……。
まあここにあるなら調べればわかるよな。
そんな風に少し考えていると、アオが俺に寄って来た。
「師匠、転移魔法凄いですね。師匠もできそうですか?」
「あ?あー……ま、できるだろ」
なんせ時空魔法を持ってるからな。
「おーし、じゃあまずは宿に行くぞー」
先生が部屋の扉の前で俺らを呼んでる。
「……何しに来たんだっけ」
「……師匠?迷宮に行くんですよ?」
…………そうだったわ。
「あいよーってちょっと待て。まだ、時差のことを聞いてねーぞ」
「……忘れとった」
「重要だよなあタマムシ女」
「悪かったからその呼び方やめてはくれんかの。悲しくなってきたのじゃ」
「泣きゃすむと思ってんのか?はよ話せや」
「ほんと冷たいのお。あーお主が和樹の身体から飛び出したのは、入院して一年たった頃じゃ。じゃからお主が地球に戻る時間はその魂が抜け出た瞬間じゃ。そこからここを経由して、またパストの身体に戻ってもらうが、やはりコチラも抜け出た瞬間に戻ってもらう。以降はその繰り返しじゃ」
「なんか矛盾してる気がすんだけど……」
「全てを話すのは禁止されておるから詳しくは話せぬ。が、神にもできないこともあるんじゃよとだけ言っておく」
「全知全能じゃあないのね」
「神だって生きておる。給料だってあるんじゃよ」
「夢が壊れる……」
まあ、俺になにか不利益なことが起きるわけじゃないみたいだし、いいよな。
地球に帰ったら……とりあえずネットでこっちでも役に立ちそうな知識を手に入れるべきだよな!
バイクとかもいじれるし!
それに魔術に必要なのは知識だと言っていた。
つまり、アッチでのネット知識があれば!
色々できるんじゃね?
ああ素晴らしき魔術!
素晴らしき魔法術!
…………名前、考えよ……
「つかなんで一旦返す必要あるの?別に考えることねーぞ」
「……こっちの準備があるんじゃよ」
「……ふーん」
なんか隠してるのはわかるけど、なんとなくもう何も教えてくれないだろうなと思った。
多分禁止されてるーとか、下手すると騙される可能性だってある。
今までの話だって、どこまでが本当なのかわからんしな。
けど、下手に絡むより、ここで身を引いたほうが良さそうだ。
「んじゃ送ってくれ」
「わかったのじゃ。転移魔法に介入して呼び出したのじゃが、時間はたっとらんからの。向こうでは皆と同時に転移先に着くぞ」
「どーも」
「それじゃまたの。時間的には三日後以降にココに来てくれ。転移できるようにしておくからの。それじゃあの」
そしてまた、鳩尾と背中がくっつく様な感覚がして……
*****
「行ったか……。とりあえずコレでわしの首の皮一枚が繋がったのじゃ……。それにしてもあやつは何度も何度もタマムシタマムシとグヌヌヌヌ!……まあよい。どーせあやつは、今となってはどちらの世界でも異物じゃ。その内はじかれて消えるじゃろ。それまでは好きにさせておけばよい。というか手が出せんしな。そんなことより暇つぶしに勇者の称号を与えておいた者を観察するとしよう」
*****
目を開けると、目の前にチェニックの顔がドアップ。
「ッドエッフ!!!」
思わず蹴り飛ばしてしまった。
リーシャがすぐに駆け寄る。
俺のことを少し睨みつけ……ようとしたらしいがすぐに目をそらされた。
周りを見回すと、どっかの部屋らしい。
とくになんの変哲も……あったわ……。
口の周りは髭だらけで首元まで伸びている。
そして、全裸。
無駄にガチムチ。
その状態でグ○コのポーズ。
背中には俺の身長ほどもあるくらいデカイ翼が左右から見えていた。
あの教会にもあったクソジジイの変態像のミニチュア版が部屋の真ん中に置いてあった。
ミニチュア版と言っても、俺と同じくらい大きさがある。
教会のが見上げるほどのデカさだったからな。
それに比べればミニチュアだ。
何者なんだこのジジイ……。
聞くの忘れてたわ……。
まあここにあるなら調べればわかるよな。
そんな風に少し考えていると、アオが俺に寄って来た。
「師匠、転移魔法凄いですね。師匠もできそうですか?」
「あ?あー……ま、できるだろ」
なんせ時空魔法を持ってるからな。
「おーし、じゃあまずは宿に行くぞー」
先生が部屋の扉の前で俺らを呼んでる。
「……何しに来たんだっけ」
「……師匠?迷宮に行くんですよ?」
…………そうだったわ。
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