エリュシオンでささやいて

奏多

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第2章 Dear Voice

 11.

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 *+†+*――*+†+*


 ふぅふぅ言いながら、廊下を歩く。

 おそらく中に入っているのはベースと思われる……黒いソフトケースの把手を肩に掛け、反対側の肩から下げているのはずっしりと重い横長のシンセ(サイザー)。

 手には、シンセを乗せるスタンド(折りたたみ式)と、有名メーカーのギターアンプ。アンプの上に置いた袋の中には、数々のエフェクターやケーブルやシンセやギター用のペダルが覗いて見える。

 またステージに設置されている大きなアンプは大抵客席の方に向いており、演奏者に音が返ってこないために、演奏者が自分の音を聞くための小さなモニターアンプと呼ばれるものも何個か入っているようだ。

「体力には……自信があるとはいえ、これは中々……」

 明日、筋肉痛かなあ。

 全部合わせて多分あたしの体重を超えるだろう荷物を運びながら、内勤でぬくぬくしていたあたしの鈍った身体が悲鳴を上げているのを感じ取る。

 だけど、体力仕事で根をあげるなら、編曲しろだの、あの車で遠出しろとか言われた方が大変だと、重い荷物を快く運んだ。

 早瀬から送りつけられたメールを見たら、イベントの関係者用として用意された部屋ではなく、その並びの最奥にある一室を借りて(脅した?)いるらしく、ゾンビさながらにふらふらしながらドアを開けると、ギターを持っていた裕貴くんが頭を抱えて叫んでいた。

「耳で覚えろなんて無理っ!! 目でも理解できる音符の譜面が欲しいっ」

 譜面?

「早かったな」

 一方、裕貴くんと同じパイプ椅子に優雅に座ったまま、わかりきったことを口にする早瀬。わざとだろうな、この勝ち誇ったような笑みは。
  
「ええ、おかげさまで、とてもとても早く帰れました」

 スタンドをたてて、その上にシンセを置きながら、キッと睨み付ける。

「それはよかった。ご苦労様」

 意味ありげに笑いを見せる早瀬に、いらっとしてケースごとベースと思われるものを押しつけた。

 早瀬が笑いながらケースのチャックを開けると、そこから鮮やかなオレンジと茶色のグラデーションが目を惹くエレキベースが出てくる。

「あるものでと言ったが……六弦のフェンダーか」

 フェンダーとはベースの有名メーカーだ。

 弦の張りを調節してから、電源を入れたアンプから伸ばしたケーブルと、ベースに接続したケーブルの双方を長方形のエフェクターに繋いで、つまみを回していく。

 それで足でリズムを取りながら、ギターより太い弦を指で弾いていく。

 アンプから流れるのは小さな音量であったけれど、凄まじい指の動きに、リズムも音の強弱もなにひとつ乱れることなく。それだけでベースの腕がわかったのは現役ギタリスト。

「あんた、ベーシストだったの!?」

「一般人だ。お前もアンプに繋げ。ここは防音じゃねぇから、音量上げるなよ。上原、シンセセッティングしてくれ」

 突然言われて、ケースから長いシンセを出せば、背面に書かれたメーカーと機種を見て早瀬がぼやく。

「ローランドのXP-80か、古いな。でも76鍵なら仕方ねぇか」

 作曲家であることは知っていたけれどね、楽器通だってあたし初めて知ったけれど。なに、どれくらい楽器の勉強してたの、早瀬。

 あなた専門クリエイティブなお仕事でしょう? 
 なんで楽器を弾く技術や知識まであるの?

 まあ、早瀬だからねぇなどと結論が出ない答えを出して、電源コードを繋ぐあたしに早瀬が言う。

「電源入れて、モニターアンプをケーブルで繋いでいてくれ。ペダルもシンセの背中見ればわかると思うから繋いで」

「わかりました」

 あたし機械詳しくないし、さらにシンセをいじるのも今が初めてで。
 それをわかっているくせに、軽く言う。
 出来ないと言うのは悔しいから、知っているふりをして接続する。
  
「うわっ、エフェクターギターのもある!! あ、ワウだ」

 そんなあたしの頑張りを知らずして、しゃがみ混んだ裕貴くんは、ケーブルが入っていた袋から、片手で掴める長方形サイズの、色とりどりのエフェクターを見て、歓声を上げた。

 ワウというのはエフェクターのひとつで、あたしが持ってきたのはペダル式になっていて、演奏しながらリズムに乗せて片足でペダルを踏めば、その踏み方により音がワウ、ワウと喋っているように聞こえる効果だ。

 よくもこんなものを開発したと思うけれど、結構メジャーなものだ。

「ワウは必要ねぇだろ。ここのPAはあまり腕がよくねぇから、1.6kHzと6.4kHzがハウリングしやすい。イコライザーの1.6と6.4を下げ気味で、400をちょい上げろ。で、エンハンサーを繋げ」

 エフェクターは複数個繋ぐことが出来るそうだ。
 繋ぐ順序で効果が違うという話を聞いたことがある。

 どう繋げればどういう効果が出るのか、残念ながらあたしには知識がないが、イコライザーについているつまみで、特定の音(周波数)の強さを調整するらしい。

「PA、よく聞いてなかった、俺……」

「ハウリング聞くだけでいらっとするから、こちらでも出来る防衛策だ」

 ちなみにPAとはPublic Addressに加えてProffesional Audioの意味も付加しつつある、裏方で、演奏者のアンプら拡声器から出る音だけではなく、会場全体に響かせる音声を調整したり音色加工する。

 PAの善し悪しによって、歌声や演奏をよりよく聴衆の耳に届けることが出来るのだ。

 ハウリングとは、マイクを通した音がキーンと聞こえてしまう、あれだ。

 つまり腕の悪いPAのハウリング対策に、ここでハウリングしやすい特定の周波数を下げることで相殺して、ハウリングを防止しようとしているらしい。

 ……早瀬だって、ちょっとしか聞いてなかったんじゃない?
 それでどの周波数か、わかるわけ?

「シンセ、セッティング完了しました」

 緑色の液晶部分が光る。

 どうだ。ド素人でも出来たんだぞ。
 ……鍵盤見るのが、複雑だけどね。
  
「OK。だったら、これから今、俺がギターパートをシンセで三回弾くから、大至急15分以内で譜面を作ってくれ。ギタースコアでなくて、普通のピアノの楽譜でいい」

「ひっ!? 15分以内!?」

「ああ。お前が譜面を作らないと、このギターリストはギターを覚えてくれなくてさ」

 あたしは涙目できっと睨むと、裕貴くんは申し訳なさそうにした。

「俺、目で見て耳で覚えるタイプで……」

 早瀬は立ち上がってシンセの前に立つと、シンセのカバーケースのポケットからノートらしきものと、シャープペンを取り出した。

「五線譜を入れて貰ってたんだ。……ある程度でいい。全体を把握出来ていないから、このままじゃせっかくのアレンジも話にならん」

「……っ」

 少年っ!!
 自信あると言ってたでしょう!?

「絶対音感、ファイ」

 あたしはもう一度、唇を震わせながら裕貴くんを見る。
 彼は、殊勝にぺこりと頭を下げた。

「お願いします」

 あたしは早瀬から五線譜を奪い取り、シンセに背を向け壁に五線譜を押しつけるようにして、シャープペンを手にして構えた。

「どうぞ」

 もう、やけくそ!
 どっからでもかかってきなさい!

 ピアノに背を向けて、弾かれたピアノの音の聞き取り(聴音)や、楽譜から音を読み取る(読譜)練習――いわゆるソルフェージュは、小さい頃から親やピアノの先生にやらせられてきた。

 そうしたソルフェージュは音大の推薦を取るためにも必要で、楽譜が読めなかった早瀬を通して、彼との遊びで、記憶聴音(複数回聞いてから楽譜にする)や初見読譜(楽譜を見てすぐに演奏する)の練習もしたのだ。

 音大の推薦を取り消されてから六年間、聴音の訓練はなにもしていない。
 よりによって早瀬とまた高校時代と同じようなことをするのは、非常に辛くて背を向けたけれど、そんなことを言ってられないのだ。

 ……あと約四十分。泣き言は言ってられない。
  
「上原、ピアノの音、どれがいい? エクスパンション(拡張機能)にピアノが揃ってて」

 ピアノの音と言っても様々なものがあるようだ。

 硬い音、柔らかい音、透明な音……。

 あたしの気持ちなんて考えてないだろう早瀬の、なにか朗とした声に悔しさは募るけれど、集中した耳にしっくりきたのは二番目の音。

「……グランドピアノの音色だな」

 音楽室にあったのもグランドピアノ。
 初めてセックスした視界には、黒いグランドピアノが見えた――。

――柚、気持ち……いい?

 思い出すな、思い出すんじゃない!!

 あたしは頭を壁にがんがん叩きつけた。

「柚!?」

 いつの間にかあたしの名前が、裕貴くんに浸透していたことに気を向けることなく、あたしは堅い声で言った。

「さあ、どうぞ!!」

 目を瞑ったあたしの耳から、早瀬の弾く音色が入ってくる。

 即席でアレンジしたのだろうギターのパートを、あたしが早瀬の車で四苦八苦している間に、こうも大胆にアレンジしてピアノで弾けてしまうほど確固たるものにさせたのは、さすがだ。

 曲の全貌はわからないが、ドラムら打楽器系がないことから、ギターだけでも、メロディアスだけれど変拍子風…だけど四拍子のリズムをきっちりと刻んでいないと、曲が崩れる。

 ギターソロはマシンガンのように音が飛びだして。

 これ、裕貴くんに出来るの?
  
 ~♪

 早瀬の弾いている旋律が、あたしの記憶に刻まれる。
 あたしの身体が、早瀬の音に染まる――。

「大丈夫? すぐ聞いてはわからないよね? すげぇ格好いいけど、リズムも難しいし」

 一回目が終わった時、裕貴くんが心配そうに横に来た。

「大丈夫だと思う。メロディーが耳に残りやすいから。もう一回、今度は四小節ごとで区切りながらお願いします」

 ~♪

 記憶に残っていたのを耳で確認しながら、五線譜に書き込んでいく。

 早瀬の弾く速度が丁度いい。

 ~♪

 カキカキカキ。

 ~♬

 カキカキカキ。

「最後、いいか?」

「はい。あとは確認だけなので、全体を通して下さい」

「はは。もう出来たか。あの時から衰えない、脅威の絶対音感は健在だな」

 〝あの時〟

「戯言は無用! さあ弾く!」

 早瀬が笑う音が聞こえて、そしてまた、早瀬が紡ぐ繊細な音が流れた。
   

 三度目、楽譜を見ながら確認し、小節の上に基本となる和音名(コード)も書いていく。
 コードも、タルタロスで聞いた曲と、ちょっと違えている部分があり、違えた方がなにかしっくりとくる。

 やはり三度聞いても、すごく素敵な音の並び方だ。
 繊細で泣き出したいほど切ない音から、力強く変わる様は、まるで幼なじみを励ましたいという裕貴くんの心象を広げているような。

 ギターだけでこうなら、完成版はどうなるのだろう。
 十二音でよくここまで世界が広がるものだ。
 
――柚、もう一回教えてくれよ。

――あはは、勉強が足りないよ、須王。

 心がきりきりと痛む。

 鼻の奥がつんと痛くなったが、それを意志の力で押さえつけて。
 
「出来ました。ちょっと間違いがあるかもしれませんが、大体のところは大丈夫なはずです。裕貴くん、ちょっと汚いけど、はい」
 
「ゆ、柚。何者!?」
 
「え、ただの一般人」

 そう答えると、なぜか早瀬が大笑いした。

 あたしが書いた譜面を見てからの裕貴くんは早かった。

「なんだ、こういうことか」

 赤い三角おむすび型のピックを使って軽々と。

 どんなリズムも難解なギターソロも、あっという間に音にしていく。

「え、え、ええええ!?」

 素晴らしいリズム感。そしてピック奏法。
 これが十七歳とは思えない。

 顔つきからして違う。

「あのさ、この部分……コード違ってね? G#7sus4の気が……」

「え? どこ?」

 裕貴くんが指さす楽譜に、裕貴くんと一緒に顔を覗き込んだら、早瀬が間に割って入ってきた。正しくは、裕貴くんが横にポイと放られる。
 
「ギターの練習!」

「わかったよ……」

「お前、ギターの譜面じゃなくてもいいんだな」

 確かに、ギターの譜面は音符というより、数字が飛んでいる気がする。
   
「あ、うん。俺、小さい頃バイオリン習ってて、それで普通の楽譜の方がわかりやすいというか」

 同じ弦楽器に属する楽器で、クラシックからの転向。
 クラシックで鍛えたものは、今の彼の強みになっているだろう。

 音楽は、ジャンルを超えてきっと人間の心に忍び入る。

 どんな嗜好のひとでも、感動できる音楽、それを作ってみたいと思う。
 裕貴くんのように曲を作り、早瀬のようにすぐアレンジして可能性を広げるようなこと。

 あたしもこの曲をよくするために、頑張りたい。
 
「ねぇ、あたしも「上原、倉庫内か、ステージとは逆側にあるファミリー向けの小さなイベントスペースかを見て、お面をふたつ用意してくれ」」

「へ? お面?」

 曲作りにお面?

「お面って、よく屋台に売ってるあのお面?」

「ああ。なんでもいい。裕貴の手伝いが俺だとばれたくねぇんだよ」

「え、あなたもステージで演奏するんですか?」

「このイベントは生演奏が必須だ。ギターで歌ってる裕貴から、ベースやシンセが流れたらおかしいだろう」

「いやまあそうですけど」

「シンセで音色に厚みを出すようにしてみる」

 裕貴くんの後ろで、早瀬はベース弾いたりシンセ弾いたりしているということ? どうやって?

「でも楽器かけもちって、めちゃ大変じゃないですか? ベース両手塞がってるし」

「ああ。だからお前も入れよ」

 早瀬が、毒の言葉とは裏腹に優しく微笑む。

「一緒にやろうぜ?」

「はああああ!?」

 なに当然という顔をしているのよ、この男!!
 あたしの指が動かないのわかっていて……っ!

「なぁ、上原」

 早瀬は真剣な面差しであたしを見る。

「お前も、楽しく参加をして貰いたいんだよ」

 眼鏡のレンズの奥で、切なげに瞳が揺れた気がするが、それを気にする余裕もないまま、あたしは怒鳴るようにして叫ぶ。

「出来るわけな「音が抜ける、一オクターブが弾けないというのなら」」

 ……聞いてたんだ、あたしが裕貴くんに言ってたこと。

「俺が弾かせてやる」

 余計なお世話だ。

「同情は「同情じゃねぇよ、なんのために俺が音楽やってると思ってる」」

「え?」

 あたしは訝しげに早瀬を見た。
  
 意味がわからない。
 まるであたしのせいとでも言いたげだけれど、あたし早瀬にフラれてからなにひとつ喋ってなかったじゃない。大学だって違ったじゃない。

 早瀬が音楽やっている理由なんて――。
 
「知らないです、あなたが音楽やっている理由。知りたくもないし」

「………」

 苛つく。

「あたしに鍵盤を弾かせようというのは、余計なお世話です。あたしだってプライドがあります」

 凄く苛つく。

 早瀬がいれば、あたしはピアノが弾けるって?
 動かない指をどうやって?

 なに、早瀬は神様だから、あたしの指を治してくれるとでも言うの?
 あたしの人生、あの時から変えてくれるというの?

 出来もしないことを、言わないでよ。

「お面、探してきます」

 あたしの目に溜まった涙を、早瀬がじっと見ていたから、慌てて拭う。
 裕貴くんもいる前で、泣きたくなんてないのに。

 出て行こうと早瀬の横を擦り抜けようとした時、あたしの腕を早瀬は引いた。
 そのままよろけたあたしの身体は、早瀬の腕の中に引き寄せられ、その逞しい胸に顔を押しつけられた。

 鼻にふわりと、ベリームスクの香り。

「殻から出てこい。……俺が、そこから助けてやるから」

 怒りが込み上げた。

「……なにを勘違いして、動かない指にあなたが責任感じているのか、無責任なのかまったくわかりませんが、大きなお世話です。あたしが自ら選んだ人生、あなたに指図されたくない!」

 激しく睨み付けて、早瀬の手を払って部屋の外に出た。

 悔しい、悔しい。

 早瀬に他人顔で哀れみを受けたことに。
 ……早瀬が、あたしを下に見ていたことに。

 どうやっても、あたしは早瀬とは肩を並べられない。
 昔のようには――。

 そう思ってさらに惨めになる。

 あたしはまだ、昔を捨てられないのかと。
 ひとを介さず直接早瀬と音楽を作りたいなんて、なに馬鹿なことを。

 過去に囚われては前を向けない。
 そう思ってあたしは、立ち直ってきたはずなのに。
 
 どうしても、忘れられない過去がある場合はどうすればいい?

 どんなに嫌悪して忌み嫌って拒んでも、それでも切り捨てられないものがある場合は。

 ねぇ、誰か。
 あたしを助けて――。
 
   ・
   ・
   ・
  
   ・

「あのさ、落ち込んでる?」

「……誰が。今俺がなにをしているのか見て言ってるのか?」

「黙々とシンセでなにかしているのはわかるけど、でもめちゃくちゃ凹んでいるように見えるけど。ちょっと、演奏前に痴話喧嘩はやめてくれよ」

「気のせいだ。痴話喧嘩にもならねぇよ」

「相当凹んでるね。……ねぇ、あんたが関係してるの? 柚の指が動かないということに。だから柚、あんなに怒っちゃったの?」

「………」

「あんたさ、言葉が足りないと思うよ。強引にいくより、もっと寄り添ってあげなきゃ。まだ強引にいける段階じゃないと思うけど」

「寄り添うと怒るし、……時間がない」

「だからって、やり方が一方的でガキ臭いんだよ。もっとさ、女心をわかってやれよ。どうせ柚が音楽に対して楽しそうにしてるから、調子乗って同じ船に乗せようとして、地雷踏んで撃沈したんだろうけど」

「……ゲホッ、裕貴、お前何者?」

「俺? 家族の女連中がどうしようもなく男運悪くてさ、無理矢理相談に乗らせられていたんだけれど、気づいたら俺、恋愛ご意見番よ。ただ俺の意見言ってるだけだけど、友達にも拝まれる始末。なんでも俺、恋愛成就の生き仏なんだって」

「………」

「あんたまで拝むなよ! ……ま、演奏が無事に終えれたら、お礼にアドバイスやるから。見てられねぇし」

「……要らねぇ。俺がなんとかする」

「本当に出来ると思ってる? あんた、やればやるほど墓穴掘ってね? 死にそうな顔するなって、強気で出たんだから強気のままでいろよ。なんで俺の前では素直なんだよ、あんたが素直にならないといけないのはあっち! 柚だろう!? この格好つけ!」

「くっ……十七に言われるなんて……」


   ・
   ・
   ・
  
   ・
 
「やばい。ふたりのお面がないっ!!」

 怒り発散とばかりにレンガ倉庫内走り回り、そしてようやくお祭りのような簡易的な屋台が出ているスペースを見つけたが、今時お面なんていうものは売られていないらしい。

 疲れ果てて肩でぜぇはぁしていたあたしの目には、風船を子供に配ってる……りすとうさぎの着ぐるみが見えた。
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