エリュシオンでささやいて

奏多

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第11章 Blue moon Voice

 7.

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 カーテンを全開にした窓から差し込む月明り。
 ブルームーンの光を浴びた須王の広い背中が、青白い燐光を発している。
 月から出てきたような美しい王子様とあたしは、両手の指を絡ませていた。
 静寂の中、カチャカチャとパワーストーンのブレスレットが擦れ合い、音をたてる。

 ベッドの上に横たわるあたしの両足は大きく開き、その膝をあたしの耳につけてしまうかのようにふたつに折りたたんだ格好のわたし。
 その足の間に、須王は頭を埋もれさせ、くねくねと動く舌でわたしの濡れそぼったそこを、一心に愛撫していた。

「ああんっ、あぁあ、やぁあんんっ」

 喘ぐあたしを挑むような目で見るダークブルーの瞳。
 こんな近くにいる須王に、こんなところを犬のように執拗に、だけど丁寧に舐めさせているのだと思えば、そこに意識が集中しすぎて、あたしの感度は否応にも上がり、絶え間なく喘ぎ声が響く。

「柚……可愛い」

 そんな時に、股で挟んでいる須王が、優しく目を細ませてそんなことを言えば、須王の唾液に溢れているそこがきゅうきゅうと収縮して悦んで。

「そんなこと、言わないで……っ」

「どうして?」

 色っぽい声でそう言いながら、ちゅっちゅっとまるで、美味しくて素敵なもののようにキスを送ると、また蕩け出す蜜を舌で掻き出すように舐め上げ、じゅうううと音をたてて吸い立てながら、流し目であたしを見ている。

 確信犯だと思うのに、須王の攻めに翻弄されるあたしは、よしよしと言わんばかりに、繋いで手を須王の指の腹で撫でられる。

 須王は前と抱き方が変わった。

 あたしが苦痛に思っていた期間は、無理矢理が多くて、こういうことはしても、あたしの反応を見るというより、無理矢理啼かせた方が多くて。

 ……結局あたしも、喘がされて果てさせられているのだから、どちらでも同じと言えばそうなんだけれど、それでも須王の愛撫から優しさを感じる今、須王の行いひとつひとつが砂糖菓子より甘くて、蕩けて無くなってしまいそうなほどに啼いている気がする。

 音楽界の王様にこんなことをさせて、その目から放たれる愛情を感じただけで、身体がおかしくなってしまうほど悶えてしまうあたしは、須王に見つめられながら、とことん愛される。

「すお……恥ずかしいよぉぉ、須王っ」

 さらにぐっと足を押し開いて、わざと舌を動かして花園を散らす須王は、悩ましい顔で一心不乱に舌を動かしては、羞恥を高めるような音で、あたしのはしたなく溢れる蜜を吸い取り、その濡れた唇を舌で舐めて見せる。

「なにも恥ずかしいことねぇだろ? お前はただ、俺に愛されてりゃいい」

 その動物的な眼差しに魅せられて。

 舌が動く度に身体に強い快感が奔り、須王の手に爪を立てる。

「須王、須王……それ駄目、駄目っ」

 蜜口を弄っていた舌が、彼の振る頭と共に奥に侵入して、強く吸われる。
 須王を求めてさざめいている胎内は、なんでもいいから須王が欲しいと魔手を伸ばしたようで、淫らに足を広げながら須王の手ごと須王の頭を押しつけて喘ぐあたしに、須王はアブねぇと頭を離して苦笑した。

「俺の舌を引き抜くな、こら」

 そう言いながら身体を伸ばして横向きにあたしを正面に抱きしめる須王は、今度はあたしの胸の頂きを舌で戯れながら、それまで愛されていた秘部に、彼のごりごりと猛ったもので表面を擦るように、精悍な尻を動かす。

「すげぇ、熱くてぬるぬる……」

「やっ、あっ、須王っ、駄目っ、それっ、ああっ」

 確かに息づく、質量あるそれが往復しているだけで、あたしの中のメスの細胞がぶるぶると震えるほどに、気持ちよくてたまらない。

「全然駄目に聞こえねぇんだけど?」

「駄目っ、駄目だけど、いいのっ」

「こら、足で挟むな」

「だって逃げるんだもの」

「……なに? そんなに俺のを離したくねぇの?」

 意地悪く笑う須王に、あたしは抱き付きながら頷く。

「ずっと……あたしだけの須王でいてほしいもの」

「……っ」

「いてくれるよね?」

 そう上目遣いで言うと、秘部にある須王がぶわっと大きくなると同時に、須王は目を細めた。

「……お前、俺を悶死させてぇわけ?」

 須王の息が荒く、濡れた目が剣呑だ。

「……?」

 あたし、怒られることしたっけ?

「……ああもう。そんな顔さえ破壊的に可愛い。……お前の中でなら、いつでも死んでやるよ」

 須王が笑いながら、あたしの開いた唇に舌を差し込み、あたしの片足をぐいと持ち上げた。そして、その質量あるものを掴んで、その硬い先端を、きゅうきゅうと疼いていたあたしの蜜壷の中を抉るように、ぐぐっと滑り込ませた。

「ああ……っ」

 あたしの中は、須王によって十分解されていたようで、灼熱の杭が奥深くまで穿たれると、歓喜の涙を流して身体を仰け反らせた。

「何度挿れても……キツ……」

 苦笑しながらも、足を絡み合わせるようにして、律動を繰り返す須王に揺さぶられながら、あたしから完全に余裕は取り払われた。

「須王、須王っ、ああっ、須王っ」

「柚、……んっ、気持ち、いい?」

「うん、気持ちいい。須王が、気持ちよくて……たまらないのっ」

「そんなこと、言うなっ、お前より先にイカせる気か、こいつ」

 甘い睦言は須王が感じている証拠のハスキーボイスで。

 須王の吐き出す息すら愛おしくて、あたしからキスをして舌を絡めれば、須王もそれに応えながら、須王は横になったままあたしの後ろに回る。

 腕枕をしながら、あたしの片足を垂直に立てて曲げさせると、途端に後ろから貫いているあたしの中の須王の角度が変わり、あたしは声をあげて身を捩らせる。

「ああああっ」

 須王があたしの首筋に吸い付き、耳をしゃぶりながら、根元まで押し入れてがつがつと抽送すると、彼の先端があたしの中でびりびりするくらいいいところを擦り始め、その上で須王が前に回した指で、結合部分の前方にある粒を擦り、薄皮を剥いてあたしの感度を上げていく。

「須王、須王っ、駄目、それ駄目っ」

 あたしはあまりの快楽に泣き叫びながら、あたしの胸を揉み込んで先端を摘まむ須王の手を鷲掴み、須王を潰すかのように仰け反って、内股を震わせて大きく弾けた。

「まだ終わらせねぇよ、柚」

 須王は後ろから繋がったまま、身体を捻るようにして上から覆い被さる形でキスをしながら、あたしの足を持ち上げて擦り上げる。

「イッたばかりなのに……っ、鬼畜」

 恨めしげに言うあたしに、須王は笑う。

「なんとでも言えよ、柚。今日は寝かせねぇからな、感じまくって落ちても、お前を起こして繋がるからな」

「……っ」

「ブルームーンに、見せつけてやろう」

 ブルームーンを挑発してどうするんだろうと思ったけれど、特別な日だから、そこに永続性を願う須王の気持ちはわかった。

「柚、繋がっているところ、見ろよ」

 だけど、ノーマルでいいと思わないか、須王!

 凶悪すぎるその提案は、あたしの羞恥をより高めて。

「やっ、恥ずかしいっ」

 身体が赤らんでしまうあたしに、幼子を諭すように須王が言った。

「恥ずかしくねぇよ。俺とお前が愛し合っているんだぞ?」

「……っ」

「俺の前では、ただの女になれ。羞恥を捨てて、淫らな柚になれ」

 結合している部分から、白く泡をたてて淫らな液が混ざって見えて、くらりとしながらも須王に貫かれている部分は、さらに濡れた。

「いやらしいな、俺達。だけど、柚だけだからな、こんなに……俺が感じているの」

「感じてる、の?」

「ああ、すげぇ感じてる。お前が思っている以上に」

 隠すこともなく須王は、あたしの耳の近くで悩ましく喘いで見せる。

「はあっ、はあっ、気持ちいい……お前の中、俺溶けそう」

 ぞくりとする。

「――愛しているよ」

 その瞬間、なにかが身体を脳天めがけて駆け抜ける。

「……っ、それは駄目ぇぇぇっ」

「ちょっ、また先にイクのかよ、お前っ」

「須王の馬鹿ぁぁぁっ」

「本気に、俺を置いてイクのか!?」

 王様のエロボイスだけでイッてしまうあたしは、彼が果てるまでに何度も愛されて、散々啼かされたのだった。

 エリュシオンが困った時、須王のボイスCDでも出せば売れまくりそう。
 だけど、あたしが買い占めて、誰にも聞かせてやらないんだから。

 そんなことを、快楽の最中に考えた。


 ……ブルームーンがいつの間にか消えていることに気づかず、ブルームーンに見守られた夜は、永遠に続く。

 
 尽きない愛に、ブルームーンの力は宿ったのだと。
 そう思って、いいよね?
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