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進路指導室で開かれた捜査会議の内容は
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校長とフル先の死体が発見された翌日。授業は午後から再開という事になった。
事件は当日のテレビや翌日の新聞でも大きく報じられ、生徒に対して校長がいかがわしい行為を働いていたという事が表ざたにもなってしまった。
そしてこの時点で既にフル先を殺したのが校長だという事を匂わせる報道も出ていた。
しかも、その流れの中でエリナの件に関しても注目が集まった。
先週の転落直後は学校で女子高生が転落した不審死という様な扱いでそれほど世間の反応も少なかったのだが、同じ学校で二人の教師が死んだ事により、エリナの死にも再びスポットが当たる事になってしまったのだ。
当然そうした中で校門前にはマスコミが押し寄せていた様だが、学校側は皆が登校する前までには撤収するようにという事。生徒個人への取材は控える事を要請した。
そして登校時には校内周辺の道に何人か腕章を付けた教師が立ち、目を光らせていた。これは防犯の意味合いよりマスコミ関係者をけん制する意味合いの方が強いのだろう。
教室に入ると、既に半数以上の生徒が登校しているのにも関わらず中は水を打ったように静まり返っていた。
「おはよう」
「あ、トーコ。おはよう。ねえ、聞いた? 校長先生の事」
香子は私が座るのも待たずに言葉を掛けてくる。が、内容が内容だけにいつもの彼女の声量より大分小さい物に感じる。そして、彼女の目線の先を見ればそこは宮前麻衣の席だ。そこには彼女の姿はなかったが、何を言いたいのかは大体わかった。
「まあね」
「本当の話なの? ちょっと信じられない様な話だよ」
聞かれてもどこまで話していいかわからないし話して愉快な話とも思わない。
「私に聞かれても分からないよ。確かなことは誰にもいえないでしょ」
「そりゃ、トーコに聞いても意味ないことは分かるけどさ。詳しく知ってそうな人が来てないし。でも、ねえ、日奈。あんたなんか知ってるんじゃないの」
香子の言葉にひなはビクリと身体を揺らしたように見えた。
「な、何って。私も良くはしらないよ」
彼女の言葉には明らかに動揺があった。でも、その様子から彼女は自分の身の処し方として麻衣の事を知らなかったという立場をとろうとしている事は理解した。
「本当に? あんたらいつもつるんでたじゃん。そのあんたが知らなかった訳?」
香子の声とボルテージが段々に上がっていくのを感じる。それに加えて周りのクラスメイト達も口々に「本当にしらないの?」「嘘でしょ」「ひょっとしたら秋田さんも一緒に……」等と言葉を交わすのが耳に入る。
「や、止めてよ。本当に私何も知らないんだから。勝手な事言わないでよ。麻衣と変な事なんかしてないよ」
麻衣は傍にいないし、しょう子も自分の席で俯いている。本宿さんはヘッドホンを付けたまま音に耳を傾けている様だった。つまり、日奈は完全に孤立してしまっていた。
「変な事って何よ? 麻衣が変な事してたって知ってたって事じゃない。あんたやっぱ嘘ついてんじゃないの」
それに対して香子はさらに言い募る。日奈は防戦一方だ。
「ち、違うよ。べ、別に嘘なんかついてない。私、疚しいことしてないもん」
「じゃあ、知ってる事話しなさいよ」
流石に、あまりこの流れはよろしくないと想ったので私は止めにはいることにした。
「まあ、落ち着きなって。当人じゃないんだからさ、そんなの聞いてもしょうがないじゃん」
「でもさ。気になるじゃん。これだけ騒ぎになってさ、私達何も知らされてないんだよ」
「うん、わかるよ。その気持ちはよく分かる。でもさ、それを説明しなきゃならないのは日奈じゃないでしょ」
「何で? 何でかばうのよ。こんな状況で学校に押し込められるなんて、私、おかしくなりそうだよ」
「だから分かるよ。分かるって。私だってさ、おかしくなりそうだよ。っていうかもうおかしくなってるかもしれない。エリナを、彼女の最後をここから……、丁度ここから、見たんだ。しかも、その後校長とフル先の姿も見ちゃった。何で私がって思うよ」
私はもう窓の方にも目を向ける事が出来なくなってしまっていた。そして半分自分で言っている事も分からなかった。私が話している内容は今言う言葉として相応しいのかどうか。
「……トーコ」
でも、彼女は何か感じ入るものがあったのか。日奈の方にもう一度目を向けた後「わかった。ごめん」といってそのまま黙る。
そこへ扉が開き副担人の今宮先生が入ってくる。
事件は当日のテレビや翌日の新聞でも大きく報じられ、生徒に対して校長がいかがわしい行為を働いていたという事が表ざたにもなってしまった。
そしてこの時点で既にフル先を殺したのが校長だという事を匂わせる報道も出ていた。
しかも、その流れの中でエリナの件に関しても注目が集まった。
先週の転落直後は学校で女子高生が転落した不審死という様な扱いでそれほど世間の反応も少なかったのだが、同じ学校で二人の教師が死んだ事により、エリナの死にも再びスポットが当たる事になってしまったのだ。
当然そうした中で校門前にはマスコミが押し寄せていた様だが、学校側は皆が登校する前までには撤収するようにという事。生徒個人への取材は控える事を要請した。
そして登校時には校内周辺の道に何人か腕章を付けた教師が立ち、目を光らせていた。これは防犯の意味合いよりマスコミ関係者をけん制する意味合いの方が強いのだろう。
教室に入ると、既に半数以上の生徒が登校しているのにも関わらず中は水を打ったように静まり返っていた。
「おはよう」
「あ、トーコ。おはよう。ねえ、聞いた? 校長先生の事」
香子は私が座るのも待たずに言葉を掛けてくる。が、内容が内容だけにいつもの彼女の声量より大分小さい物に感じる。そして、彼女の目線の先を見ればそこは宮前麻衣の席だ。そこには彼女の姿はなかったが、何を言いたいのかは大体わかった。
「まあね」
「本当の話なの? ちょっと信じられない様な話だよ」
聞かれてもどこまで話していいかわからないし話して愉快な話とも思わない。
「私に聞かれても分からないよ。確かなことは誰にもいえないでしょ」
「そりゃ、トーコに聞いても意味ないことは分かるけどさ。詳しく知ってそうな人が来てないし。でも、ねえ、日奈。あんたなんか知ってるんじゃないの」
香子の言葉にひなはビクリと身体を揺らしたように見えた。
「な、何って。私も良くはしらないよ」
彼女の言葉には明らかに動揺があった。でも、その様子から彼女は自分の身の処し方として麻衣の事を知らなかったという立場をとろうとしている事は理解した。
「本当に? あんたらいつもつるんでたじゃん。そのあんたが知らなかった訳?」
香子の声とボルテージが段々に上がっていくのを感じる。それに加えて周りのクラスメイト達も口々に「本当にしらないの?」「嘘でしょ」「ひょっとしたら秋田さんも一緒に……」等と言葉を交わすのが耳に入る。
「や、止めてよ。本当に私何も知らないんだから。勝手な事言わないでよ。麻衣と変な事なんかしてないよ」
麻衣は傍にいないし、しょう子も自分の席で俯いている。本宿さんはヘッドホンを付けたまま音に耳を傾けている様だった。つまり、日奈は完全に孤立してしまっていた。
「変な事って何よ? 麻衣が変な事してたって知ってたって事じゃない。あんたやっぱ嘘ついてんじゃないの」
それに対して香子はさらに言い募る。日奈は防戦一方だ。
「ち、違うよ。べ、別に嘘なんかついてない。私、疚しいことしてないもん」
「じゃあ、知ってる事話しなさいよ」
流石に、あまりこの流れはよろしくないと想ったので私は止めにはいることにした。
「まあ、落ち着きなって。当人じゃないんだからさ、そんなの聞いてもしょうがないじゃん」
「でもさ。気になるじゃん。これだけ騒ぎになってさ、私達何も知らされてないんだよ」
「うん、わかるよ。その気持ちはよく分かる。でもさ、それを説明しなきゃならないのは日奈じゃないでしょ」
「何で? 何でかばうのよ。こんな状況で学校に押し込められるなんて、私、おかしくなりそうだよ」
「だから分かるよ。分かるって。私だってさ、おかしくなりそうだよ。っていうかもうおかしくなってるかもしれない。エリナを、彼女の最後をここから……、丁度ここから、見たんだ。しかも、その後校長とフル先の姿も見ちゃった。何で私がって思うよ」
私はもう窓の方にも目を向ける事が出来なくなってしまっていた。そして半分自分で言っている事も分からなかった。私が話している内容は今言う言葉として相応しいのかどうか。
「……トーコ」
でも、彼女は何か感じ入るものがあったのか。日奈の方にもう一度目を向けた後「わかった。ごめん」といってそのまま黙る。
そこへ扉が開き副担人の今宮先生が入ってくる。
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