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進路指導室で開かれた捜査会議の内容は
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「来たわね。そっちはどう? 何か新しい事は分かった?」
「ええ。いくつか興味深い話が出てきてるようです」
「そう。じゃあ、とりあえず分かっている事を整理しましょうか。捜査協力者である東雲塔子さんも知りたい所もあるでしょうから」
いつのまにか私は捜査協力者とやらの扱いをされている様だった。今更それに異論はないので素直に聞く事にさせて貰う。
「わかりました」
言って品川刑事は手帳を取り出し話を始める。
「昨日の二十二時から二十四時頃の間に、本校の校長島谷氏と教師の降矢氏が亡くなりました。降矢氏の死因は縊死。首を吊った事による頸部圧迫等が原因とみられます」
「え、首を吊った事によるって、降矢先生がですか?」
いきなり想定外の言葉が飛び出て私は困惑の声をあげてしまう。確かにフル先の首に何かが巻き付いているのを見た。でも、それは首を絞められて殺されたものだと思っていたのだ。
「四階の理科準備室は知ってるわよね。その柵にロープが括り付けてあるのが見つかったの。しかも、そのロープは途中で千切れてしまっていた」
私の疑問は想定内だったのか滝田さんは事もなげに返答をした。
「皿に言うとそのロープの切れ目と降矢氏に巻き付いていたロープの切れ目は一致してます」
すかさずフォローを入れる品川刑事。
対しては私は未だ少し混乱しながらも今言われた言葉を整理する。つまり、フル先は四階の理科準備室から首を吊った。そして、何らかの理由でロープが切れて下に落ちた。
「そのロープは何で切れたんでしょう」
遠目から見てもあれはちゃんとしたロープだった。そんなものが切れるだろうか。
「それは今の所は何とも言えません。物は学校の備品として昔から使われていた物なので、経年劣化で脆くなり千切れたという可能性もあります」
「じゃ、じゃあ。こ、校長先生は何で亡くなったんですか」
「恐らく降矢氏の身体が落ちてきて直撃した為だと見られます」
「確かに、校長先生が下敷きになっていた様に見えました。けど、何でそんな事になったんでしょう」
「それは未だわかりません。ただ、興味深い事実はいくつか出てきています。まず、昨夜降矢氏は島谷氏を学校に呼び出したようです」
実際に昨夜の二十一時頃にフル先のスマートフォンに校長へのメッセージ記録が残っされていたという。
「確かにその時間に先生達が学校に居た事自体不思議ですもんね。でも、降矢先生は何の為に校長先生を」
「それは……」
品川刑事は一瞬ためらう素振りを見せ、滝田さんに目線を向ける。
「いいんじゃない。彼女、宮前さんから校長先生の行状については教えて貰ってるみたいよ」
何故こんな所で麻衣の名前が出てくるか私は訝しく思いながらも品川刑事の言葉に耳を傾ける。
「そうですか。では言いますが、降矢氏は島谷氏に金銭の要求をした模様です」
「金銭の要求? つまり、脅迫したって事ですか」
想像の埒外にある言葉が飛び出てきた。そんな私をフォローするように滝田さんが言葉を添える。
「理解が早くて助かるわね。そういう内容のメッセージが残ってたみたいよ」
「その脅迫の内容っていうのはひょっとして……」
私もそれについては想像がついた。校長先生について脅迫の種になりそうなことと言えば一つしかない。
「はっきりと書かれていた訳ではないですが、女子生徒との関係をネタにということでしょうな」
「しかも、その額なんと百万円ですって。景気が良い話ね」
「ひゃ、百万円? それはいくら何でも無茶苦茶じゃないですか」
「ええ。いくつか興味深い話が出てきてるようです」
「そう。じゃあ、とりあえず分かっている事を整理しましょうか。捜査協力者である東雲塔子さんも知りたい所もあるでしょうから」
いつのまにか私は捜査協力者とやらの扱いをされている様だった。今更それに異論はないので素直に聞く事にさせて貰う。
「わかりました」
言って品川刑事は手帳を取り出し話を始める。
「昨日の二十二時から二十四時頃の間に、本校の校長島谷氏と教師の降矢氏が亡くなりました。降矢氏の死因は縊死。首を吊った事による頸部圧迫等が原因とみられます」
「え、首を吊った事によるって、降矢先生がですか?」
いきなり想定外の言葉が飛び出て私は困惑の声をあげてしまう。確かにフル先の首に何かが巻き付いているのを見た。でも、それは首を絞められて殺されたものだと思っていたのだ。
「四階の理科準備室は知ってるわよね。その柵にロープが括り付けてあるのが見つかったの。しかも、そのロープは途中で千切れてしまっていた」
私の疑問は想定内だったのか滝田さんは事もなげに返答をした。
「皿に言うとそのロープの切れ目と降矢氏に巻き付いていたロープの切れ目は一致してます」
すかさずフォローを入れる品川刑事。
対しては私は未だ少し混乱しながらも今言われた言葉を整理する。つまり、フル先は四階の理科準備室から首を吊った。そして、何らかの理由でロープが切れて下に落ちた。
「そのロープは何で切れたんでしょう」
遠目から見てもあれはちゃんとしたロープだった。そんなものが切れるだろうか。
「それは今の所は何とも言えません。物は学校の備品として昔から使われていた物なので、経年劣化で脆くなり千切れたという可能性もあります」
「じゃ、じゃあ。こ、校長先生は何で亡くなったんですか」
「恐らく降矢氏の身体が落ちてきて直撃した為だと見られます」
「確かに、校長先生が下敷きになっていた様に見えました。けど、何でそんな事になったんでしょう」
「それは未だわかりません。ただ、興味深い事実はいくつか出てきています。まず、昨夜降矢氏は島谷氏を学校に呼び出したようです」
実際に昨夜の二十一時頃にフル先のスマートフォンに校長へのメッセージ記録が残っされていたという。
「確かにその時間に先生達が学校に居た事自体不思議ですもんね。でも、降矢先生は何の為に校長先生を」
「それは……」
品川刑事は一瞬ためらう素振りを見せ、滝田さんに目線を向ける。
「いいんじゃない。彼女、宮前さんから校長先生の行状については教えて貰ってるみたいよ」
何故こんな所で麻衣の名前が出てくるか私は訝しく思いながらも品川刑事の言葉に耳を傾ける。
「そうですか。では言いますが、降矢氏は島谷氏に金銭の要求をした模様です」
「金銭の要求? つまり、脅迫したって事ですか」
想像の埒外にある言葉が飛び出てきた。そんな私をフォローするように滝田さんが言葉を添える。
「理解が早くて助かるわね。そういう内容のメッセージが残ってたみたいよ」
「その脅迫の内容っていうのはひょっとして……」
私もそれについては想像がついた。校長先生について脅迫の種になりそうなことと言えば一つしかない。
「はっきりと書かれていた訳ではないですが、女子生徒との関係をネタにということでしょうな」
「しかも、その額なんと百万円ですって。景気が良い話ね」
「ひゃ、百万円? それはいくら何でも無茶苦茶じゃないですか」
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