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保健室で聞かされた彼女の話は

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 意味ありげにそういうと彼女は言葉を切って立ち止まる。目の前にあるのは進路指導室。その扉をガラリと開けた
「ここ、使っていいって言われてるの。入って」
 言って彼女は小さめの机の向かい側に座った。私もそれに倣って対面に座る。何だか、本当の取り調べみたいだ。
「聞いていいですか。そもそも、今日の事件ってエリナの事と関係あるんでしょうか」
 ただでさえ、進路指導室なんていう場所には緊張感がある。しかも、いま対峙しているのは刑事さん。なんだか飲まれそうな雰囲気を押し殺して私は言葉をかけた。
 対して滝田さんはまたいつものニヤケ笑いを浮かべながら答えてくれた。
「それはまだ分からないわ。まあ、とりあえず校長先生と降矢先生の事件は県警に捜査本部がおかれることになるみたいね。あなたも会ったでしょ、県警の山本警部。彼が指揮することになってるわ」
「ああ、あの偉そうな人ですね」
 私は先ほど図書室に呼び出されて話を聞かれた山本警部の顔を思い出しながら言った。
「エラそうな人って、あははは。あなた中々言うわね、確かにエラそうなおじさんだったでしょ」
 滝田さんは私の言葉がよっぽどおかしかったらしく声を上げて笑う。
「え。いや、そういうことじゃくって、偉い人なんじゃないかなっていう意味でいっただけです」
 私は慌ててフォローしようとしたが、滝田さんは全然気にしないようで話を続けた。
「あの人は確かに偉いっちゃあ偉いわね。県警の捜査一課主任様だからね。今回相当張り切ってるわよ。教師二人の連続死。しかも、校長の方は何だかいかがわしいことしてたみたいじゃない」
「はい。麻衣から直接聞きました」
 これについては隠すこともないだろう。そのまま素直に答える事にする。
「宮前麻衣さん。彼女も大した子よね。お話した聞いた時も相当だったけど、それ以上だったわ」
「あの……。校長って麻衣だけだったんでしょうか」
「それも含めてこれから調べる事になるんじゃないかな。そんな訳でこの件は色々デカい火種が転がってる訳よ。マスコミが食いつけば結構なスキャンダルになるかもしれない。それだけ注目を集める可能性のある事件だからね。解決できれば彼の評価も上がるって訳よ」
 何だかそういっている滝田さんの口調は他人事の様に聞こえた。
「っていう事は滝田さんの方は今日の事件の捜査とは関係ないってことなんですか」
「二見えりな変死事件は今の所、月ヶ瀬警察署の所轄で捜査は進めている。進展次第で関連が見つかれば合同捜査って事にもなるかもしれないけどね。ただね~、あの山本って人、私苦手なのよね。一緒にお仕事したいタイプじゃないわ。まあ、とはいえ必要な情報の共有はしてるわよ」
 彼女がそう言ったと同時くらいに丁度「失礼します」と言って品川刑事が部屋に入って来た。
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