上 下
52 / 84
学校で担任と交わした会話は

しおりを挟む
ガラガラガラ……
「失礼します……おっと」
 私は呼び出しを受けた理科準備室の扉を開けた。すると扉前にかなり大きな段ボールが置いてあり面食らう。
「おお、すまん、すまん。それ、中身入ってないからどかしてくれ。新しい棚を頼んでいてな」
 呼び出してきた当人の降矢先生ことフル先は床に何かの部品を広げていた。そして壁際には造りかけらしいスチールラックが置いてあった。
「ああ、はい。」
(人を呼び出して置いて作業中なんかい)と少し理不尽な事を想いながら段ボールを押しのけると想った以上にそれは軽く動いた。
「ま、とりあえず。座ってくれ」
 彼は長テーブルの一角にある椅子を手で示したながら部屋の奥にある冷蔵庫から缶コーヒーの缶を持ってきて私に差し出した。
「缶コーヒーでいいかな?」
「ああ、はい。ありがとうございます」
 私は座りながらそう答える。正直ドリンクバーを何度かお替りしたのでお腹がたぽたぽだった。でも、缶ならこのまま持ち帰ればいい。
「まあ、今日は休みだしな。余り固くならずに話して欲しい……つっても、内容が内容だけに難しいかもしれないがな」
 言いながらフル先はボトル式のコーヒー自分の前に置く。
「はあ……」
 こちらもどう答えて良いかと想いながら何とはなしにそのボトルに目をやった。ラベルにはカフェインレスと書かれていた。それに気付いたのか、
「ああこれか。ほら、コーヒーが好きだって言った事なかったっけ?」
「ああ、そういえば聞いた気がします」
 確か入学の挨拶の時だ一日何杯も飲むとか言ってた気がする。
「それが理由で調子崩しちゃってさ。頭痛くなったり、眠れない何てことも多くなっちゃってな」
「ええ……それは良くないですね」
「ああ、で、カフェイン減らそうと想ってな。これを飲むようにしてるんだよ」
 言ってフル先はボトルを手に持ち少しフル仕草をみせた。
「なるほど。でも、それならコーヒー自体を止めたらいいんじゃないですか」
「それが出来りゃ苦労はないよ。飲むのが習慣みたいになっちゃっててな。飲まなきゃ飲まないで落ち着かない」
「そこまでのことなんですか?」
「ああ、お前も気を付けろよ。飲むなとは言わないけど、カフェインを取りすぎるとこんなんになっちゃうぞ」
「ご心配なく。私の意志はそこまで柔くないですから」
「たはははは。言うな、お前」
 フル先はカラカラとわざとらしく笑った後、真面目な顔をしていった。
「月曜日に今度の件で職員会議が持たれる事になってな。一応の事情を説明しなきゃならないんだ。悪いが詳しく聞かせて貰うよ」
「……分かりました」
 元より私もそんな所だろうと想っていたので動揺はない。
 私は自分で経験したことを時系列を追って説明した。と言っても内容はたかがしれている。
 エリナと話をした後に転落を目撃して気を失い。保健室に運ばれてその後警察の取り調べを受けた。それだけだ。 
 警察とのやり取りについてはどこまで話せばいいのかわからなかったので最小限にとどめる事にした。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子

ちひろ
恋愛
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子の話。 Fantiaでは他にもえっちなお話を書いてます。よかったら遊びに来てね。

[R18] 激しめエロつめあわせ♡

ねねこ
恋愛
短編のエロを色々と。 激しくて濃厚なの多め♡ 苦手な人はお気をつけくださいませ♡

若妻の穴を堪能する夫の話

かめのこたろう
現代文学
内容は題名の通りです。

部室強制監獄

裕光
BL
 夜8時に毎日更新します!  高校2年生サッカー部所属の祐介。  先輩・後輩・同級生みんなから親しく人望がとても厚い。  ある日の夜。  剣道部の同級生 蓮と夜飯に行った所途中からプチッと記憶が途切れてしまう  気づいたら剣道部の部室に拘束されて身動きは取れなくなっていた  現れたのは蓮ともう1人。  1個上の剣道部蓮の先輩の大野だ。  そして大野は裕介に向かって言った。  大野「お前も肉便器に改造してやる」  大野は蓮に裕介のサッカーの練習着を渡すと中を開けて―…  

お嬢様、お仕置の時間です。

moa
恋愛
私は御門 凛(みかど りん)、御門財閥の長女として産まれた。 両親は跡継ぎの息子が欲しかったようで女として産まれた私のことをよく思っていなかった。 私の世話は執事とメイド達がしてくれていた。 私が2歳になったとき、弟の御門 新(みかど あらた)が産まれた。 両親は念願の息子が産まれたことで私を執事とメイド達に渡し、新を連れて家を出ていってしまった。 新しい屋敷を建ててそこで暮らしているそうだが、必要な費用を送ってくれている以外は何も教えてくれてくれなかった。 私が小さい頃から執事としてずっと一緒にいる氷川 海(ひかわ かい)が身の回りの世話や勉強など色々してくれていた。 海は普段は優しくなんでもこなしてしまう完璧な執事。 しかし厳しいときは厳しくて怒らせるとすごく怖い。 海は執事としてずっと一緒にいると思っていたのにある日、私の中で何か特別な感情がある事に気付く。 しかし、愛を知らずに育ってきた私が愛と知るのは、まだ先の話。

生贄にされた先は、エロエロ神世界

雑煮
恋愛
村の習慣で50年に一度の生贄にされた少女。だが、少女を待っていたのはしではなくどエロい使命だった。

♡ちょっとエッチなアンソロジー〜舐める編〜♡

x頭金x
大衆娯楽
♡ちょっとHなショートショートの詰め合わせ♡

処理中です...