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休日の朝方にモーニングコールで起こしてきたのは

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「うーん。それで修羅場となったんなら確かに勝手な話だね」
 あまりにもシンプルな流れだがちょっと理解が及ばないようにも思える内容だった。
『いや実際はそれだけじゃないんだよ』
 私の呆れた様な言葉に香は更なる言葉を続ける。
「なんだ、じゃあまだなんかある訳だ」
『麻衣がさ、エリナに【真田君の事を好きじゃないなら誰の事が好きなの】って言ったらしいの』
「……そりゃまた、でっかいお世話だね」
 言いながら私はエリナとの最後の会話を一瞬思い出す。似たような事を私は聞いてしまっていたなと。
『うん、言われたエリナもそういう返事だったみたい。
 エリナは言った【それを言う必要はないでしょ】でも、言われた方は更にヒートアップしてしまう。
「それで、エリナもついに堪忍袋の緒が切れたって訳?」
『ううん。違うの。問題はその後に日奈が割って入って言った言葉なんだよ』
 秋田日奈はエリナにこう聞いたらしい。
【ひょっとしてエリナが好きな人って熊谷だったりする?】
 熊谷優斗君とエリナが幼馴染だという事は日奈も知っていた。それで名前を出したのだろう。
『エリナはそれを否定した。そしたらね。日奈が笑ったらしいのよ』
『笑ったって、何を』
『えっと、私が言ったんじゃないし、想ってる訳じゃないからね』
 そう前置いた後、香は日奈がエリナに言った言葉を口に出した。
【そりゃそうだよな。いくら幼馴染だからってあんなヌボッとしてどんくさい奴好きになる訳ないか。もしそうだったら趣味悪すぎだし】
「はあ……ひっでえ言い種だな。どっちの趣味が悪いんだか」
 それを聞いた私は他人事ながらむかっ腹が立つ。彼はどちらかというと目立たない方だ。勉強もスポーツも成績として優れている方ではない。これは事実だ。
 でも、とても真面目で一生懸命だという事は伝わるし、私も委員長として一緒に仕事をしていて助けられた事は沢山ある。その彼に対してあんまりな物言いじゃないか。
『本当にね。でも日奈にしてみればその場を和ませる為の軽口の意味もあったのかもしれない』
 状況から麻衣は本気でヒートしちゃってる。エリナはエリナで取り付く島もない。 
 そんな状況を何とかするためのコミュニケーション手段として日奈は誰かを腐してそれを共有して笑うという事しか思い浮かばなかった。だからと言って許されることではないと思うが。
『で、エリナはそれで滅茶苦茶怒っちゃったみたいなんだよね』
「へえ。でもそれそれで想像がつかないな」
 気持ちは分かる。が、彼女の怒ったり泣いたりする姿を少なくとも私は一度も見ていない。でも、だからと言って勿論怒りの感情が無いわけはないのだ。
『でもそりゃそうだよ。恋愛とか関係なくたってさ、子供の頃からの友達の悪口言われたらさ気持ちいい訳ないじゃん』
 とはいえ、彼女は怒鳴ったりはしなかった。ただ、その場で一人一人の顔を見ながら無表情でこういった。
【あなた達四人。二度と私の視界に入らない様にしてちょうだい。もしそうなった時はあなた達全員を嫌いになるからね】
「そりゃなかなかトリッキーなセリフを吐いたもんだね」
『うん。でも、効果てきめんだったみたいよ』
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