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私から彼女達に話した内容は
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その後滝田さんは『すっかり遅くなっちゃったわね。ごめんなさい。また、気になる事があったら話を聞かせて貰うね』と言って話を切り上げた。同時に品川刑事も有吉刑事も頭を下げる。
三人が扉へ向かうのを見ながら私は電気のスイッチまで駆け寄り改めて教室を見回した。すると、先ほど滝田さんが開けたカーテンが少し開いているのに気づきそちらへ向かった。
「あら、ごめんなさい。ちゃんと閉めてなかったのね」
「大丈夫です。すぐ閉めます」
言ってカーテンに手を掛ける。すると、薄暗い窓の外。上から何かが落ちてきたのが見えた。
「ひっ」
思わず声を漏らす。
「どうしたの? 何かあった?」
私の異常に気が付いたのだろう。滝田さんが近づいてくる。でも、私は余りの事に声が出ない。それを振り絞るように指を下に向けながら「し、下に……。人が……」とやっとこ声を上げる。
「え? 確かに人はいるよ。まだウチの捜査員が調べてる筈だけど」
確かにまだライトが揺らめいていて人の気配が感じられた。それに私は違和感を感じる。警察がいる事にじゃない。だって、今、人が、落ちたのを見た。あの時みたいに。エリナが落ちるのを見たのと同じように……。
「あの……。人が、えっと。落ちたように見えたんですけど」
「え? また? この下に?」
滝田さんとのやり取りを聞き、残りの刑事二人も驚きの声を上げて近くに寄って来た。それと同時に滝田さんは窓を開けて下を覗き込んだ。
続いて私もその脇から恐る恐る覗いてみる。が、何人かの制服を着たお巡りさんが動いているのが見えただけで異常はなさそうだった。更にそれを後目に品川刑事が電話を取り出してどこかに掛ける。
「おう、品川だ。今、下にいるな? 何か異常はないか」
どうも、下にいる警察の誰かに電話をかけているらしい。
「今、人が落ちたかもしれないという証言があるんだが。そこだよ、そこ。転落地点付近にもう一人落ちたかもしれない………と。うん、そうか。分かった。念の為周りも捜索してみてくれ。はいはい、ご苦労さん」彼はそう言うと電話を切る。
「ないって?」
「ええ。少なくとも気づかなかったと」
「もう、外は真っ暗だけど、流石に人が落ちて気づかないって事はないよね」
滝田さんはもう一度下に目を向けた後、私に困惑した目を向けた。
「あ、あの。すみません。見間違えかもしれません」
その様子に私は途端に申し訳ない気持ちで一杯になった。多分見間違えなんだろう。きっと幻覚、まぼろしだ。
「そう。まあ、ショッキングなシーンを見てしまったんだものね。無理もないかもしれないわ。申し訳ないわね」
滝田さんは私に詳しく話をさせた事が引き金になったかもしれないということを心配したらしく真剣な顔をして謝ってくれた。
「だ、大丈夫です。それよりこちらこそ混乱させてすみません」
「いやいや、それこそ気にせんでください。何かを隠されるより、錯覚や気のせいと想ったことでもお話頂けた方がずっと我々には有益です」
品川刑事が無骨ながら笑みを浮かべて言った。
「そうそう。さっきも言った通り気になった事があったら遠慮会釈なくいってね。電話が無理ならさっき教えたメールでもいいわ」
「わかりました。ありがとうございます」
三人が扉へ向かうのを見ながら私は電気のスイッチまで駆け寄り改めて教室を見回した。すると、先ほど滝田さんが開けたカーテンが少し開いているのに気づきそちらへ向かった。
「あら、ごめんなさい。ちゃんと閉めてなかったのね」
「大丈夫です。すぐ閉めます」
言ってカーテンに手を掛ける。すると、薄暗い窓の外。上から何かが落ちてきたのが見えた。
「ひっ」
思わず声を漏らす。
「どうしたの? 何かあった?」
私の異常に気が付いたのだろう。滝田さんが近づいてくる。でも、私は余りの事に声が出ない。それを振り絞るように指を下に向けながら「し、下に……。人が……」とやっとこ声を上げる。
「え? 確かに人はいるよ。まだウチの捜査員が調べてる筈だけど」
確かにまだライトが揺らめいていて人の気配が感じられた。それに私は違和感を感じる。警察がいる事にじゃない。だって、今、人が、落ちたのを見た。あの時みたいに。エリナが落ちるのを見たのと同じように……。
「あの……。人が、えっと。落ちたように見えたんですけど」
「え? また? この下に?」
滝田さんとのやり取りを聞き、残りの刑事二人も驚きの声を上げて近くに寄って来た。それと同時に滝田さんは窓を開けて下を覗き込んだ。
続いて私もその脇から恐る恐る覗いてみる。が、何人かの制服を着たお巡りさんが動いているのが見えただけで異常はなさそうだった。更にそれを後目に品川刑事が電話を取り出してどこかに掛ける。
「おう、品川だ。今、下にいるな? 何か異常はないか」
どうも、下にいる警察の誰かに電話をかけているらしい。
「今、人が落ちたかもしれないという証言があるんだが。そこだよ、そこ。転落地点付近にもう一人落ちたかもしれない………と。うん、そうか。分かった。念の為周りも捜索してみてくれ。はいはい、ご苦労さん」彼はそう言うと電話を切る。
「ないって?」
「ええ。少なくとも気づかなかったと」
「もう、外は真っ暗だけど、流石に人が落ちて気づかないって事はないよね」
滝田さんはもう一度下に目を向けた後、私に困惑した目を向けた。
「あ、あの。すみません。見間違えかもしれません」
その様子に私は途端に申し訳ない気持ちで一杯になった。多分見間違えなんだろう。きっと幻覚、まぼろしだ。
「そう。まあ、ショッキングなシーンを見てしまったんだものね。無理もないかもしれないわ。申し訳ないわね」
滝田さんは私に詳しく話をさせた事が引き金になったかもしれないということを心配したらしく真剣な顔をして謝ってくれた。
「だ、大丈夫です。それよりこちらこそ混乱させてすみません」
「いやいや、それこそ気にせんでください。何かを隠されるより、錯覚や気のせいと想ったことでもお話頂けた方がずっと我々には有益です」
品川刑事が無骨ながら笑みを浮かべて言った。
「そうそう。さっきも言った通り気になった事があったら遠慮会釈なくいってね。電話が無理ならさっき教えたメールでもいいわ」
「わかりました。ありがとうございます」
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