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私から彼女達に話した内容は

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「因みに、降矢先生は十六時から十六時四十五分までの間、職員会議に出ていた事が確認されているわ。それ以降は理科実験準備室にいたみたい」
 彼は理科教師なので理科準備室にいること自体は不自然ではない。でも、理科教師は他に彼以外の先生が出入りする可能性だってあるのではないか。
「その間、降矢先生はずっと一人だったんでしょうか?」
「ええ。何でも十七時過ぎ頃から三十分の間に熊谷先生と電話で話をしていたらしいの」
「えっ……でも、しおり先生も学校にいたんですよね。わざわざ電話で話す必要あるんでしょうか」
「熊谷先生の方も十七時から基本的に保健室でこなさなきゃならい仕事があった。だから、降矢先生に電話を掛けたと言っているわ」
「つまり、しおり先生の方からかけてるということですか?」
「ええ。両者の意見は一致してる。一応お互いのスマホの履歴も見せて貰ったんだけど齟齬は無い感じね」
 何だか妙な感じだった。二人共同じ学校の中にいながらわざわざ電話で話す必要があるのだろうか。
「しおり先生が保健室にいたのは間違いないんですか」
「少なくとも転落直後遺体を発見した生徒の一人が保健室に駆け込んでるわ。その時に彼女がいた事は間違いないみたい」
 転落した直後、熊谷しおり先生は一階の保健室にいた。という事は少なくとも転落時に屋上にいる事は難しいだろう。
「まあ、でも流石に熊谷先生は関係ないですよね」
「どうかな。それはこれから詳しく調べない事には分からないけどね」
「え、でも。えりなは熊谷先生の事慕っていた感じでしたよ。熊谷先生の事を話すときはとても楽しそう……」
 言いながら言葉が途切れる。自分で言って気づいたのだ。先ほど話していたエリナの話。
彼女の感情を揺らす人間がいないといった言葉とそれは相反するものだった。
「二見エリナさんと熊谷しおりさんはお互い昔から親しかったのよね」
「はい。そう聞いてます」
「熊谷先生からも少し話を聞いたんだけど、一時期は妹同然に可愛がってたんですってね」
「えりなも姉の様に思ってたと言ってました。」
 近所に住んでいたもの同士、年は離れていても親しくしていた幼馴染。それはとても微笑ましく、暖かかみを感じる間柄。だが、
「でも、熊谷先生は降矢先生と婚約した」
「…………」
「二見さん寂しいって思わなかったのかな」
 そうだ、この質問は直接エリナに尋ねた。その答え方表情。それが彼女の胸の内を物語っていた。が、それをこの場で答えていいのだろうか。彼女があそこまで自分の感情を表にだした事は今までなかった気がする。
 自惚れかもしれないが、彼女は私を信頼してくれていたのではないか。
 恐らく、滝田さんは気づいているっぽい。でも、だからといって、彼女が最期に見せた胸の内を成り代わって答える事が許されるのか。躊躇した結果、
「どう、でしょう」
 と答えるのが精一杯だった。
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