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私から彼女達に話した内容は

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「実は引っ掛かってたのよ。自殺なら何で彼女はスマホを屋上に残したのか」
「自殺という前提で遺書を残したというなら自分の転落前にそれを残すというのはあり得るんじゃないんすか」
「それは、紙なんかに書き残した場合でしょ。その場合は自分が死んだ後にも誰かの目に触れさせるということが重要な訳。自分の最後のメッセージだから見栄えを気にすることもあるだろうしね。でも、彼女はアプリを使ったんだからメッセージ自体はみんなの目に触れるのは確実だった訳でしょ。なのに何故スマホをわざわざ屋上に残したのか。それを想うと第三者が打ち込んだという方が自然な気もするのよね」
 滝田刑事は分かった様な分からない様な事をいいながら考え込む様子をみせる。
「誰かがスマホを操作したっていうのが本当だということですか」
 そんな彼女に私が首を傾げながらそう尋ねた。
「うーん。そうね……貴方はどう思うかしら」
「そうですね。納得できる部分もあるような気がするし、不自然な部分もあるような気がします」
 本職の警察官にそんな事を言うのは不遜なことかもしれない。でも、聞かれたからには答えない訳もいかない。
「あら、不自然な部分ってどこかしら」
「えっと。さっき滝田さんは自殺ならスマホを屋上に残したのがおかしいという話をされました。それはそうだと思います。でも、事故で転落した後に第三者が彼女のスマホを操作したというのも不自然な気がするんです」
 例えば、授業中や休み時間のトイレタイムにスマホを机や鞄の中に入れて出歩くという事は無くはないかもしれない。でも、時間は放課後だ。
「基本的にはスマホというものは肌身離さずもっているもの。だから転落が事故なら彼女はスマホをその時もっているのが自然じゃないかという訳ね」
「はい、因みに鞄はどこにあったんですか」
 そうだ、教室に入って来た時も出る時に彼女は鞄をもっていなかった。どこか別な場所に置いてあったはずだ。
「鞄は保健室にあったそうよ」
「え……。保健室。ああ、そうか彼女保健委員でしたね」
 でも、保健委員は放課後に何か定期で活動する決まりにはなっていなかった筈だが。
「ええ。保健委員として放課後に備品の点検整備をする事になっていたらしいわ。熊谷先生も三時半くらいまでは一緒だったんだけど、途中で離席してね。戻ったら鞄だけ置いてあったらしいわ」
「なら、やっぱりおかしいですね。鞄に入れて持ち歩いていたならまだわかりますけど」
「そうね。確かにおかしいわね。となるとどういうことだと想う?」
「どうって……」
 ここに来て、滝田さんが何を言いたいか分かった気がした。
 先ほど品川刑事はこういった。彼女が自分で落ちた可能性。誰かに落とされた可能性。それ以外。この中で検討されていない【可能性】というのがまだあるじゃないか。
「私が聞きたい事気づいてくれた? まあ、それって結果一番初めに聞いた話に戻っちゃうんだけど、彼女をこの世から消してしまいたい人間。心当たりないかしら」
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