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第二章

考えを察する

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 多くの国民たちの命をしょって立つ存在であるのにそれでいいのか。


 もっと真剣に考えた方がいいのではないか。


 そういったことが頭の中を駆けめぐった。


「ふふ、あなた、表情がコロコロ変わっていて見ていて飽きないわ~」


 そう言われつい、顔を隠すように手を頬へと持っていってしまった。


 俺の表情筋はそう柔らかくないはずなのだが。


 イアンは俺の目をしっかりとのぞき込み一切の疑いなく言った。


「あなたはわたしに、あなたが王になることに関してよく考えた方が良い。


 そう思っているわよね~。ね?」


 見事に言い当てられて、目を見開いてしまった。


 その俺の様子を楽しそうに見ながらイアンは言った。


「わたしも伊達に淫魔の国の王をしてないわ~。


 相手がどう感じているのか分からなければ、相手に最も好印象を持ってもらえるような対応が出来ないでしょう?


 淫魔の国では相手を自分に骨抜き状態にできると他者に認めてもらえるようなところがあるのよ~。


 わたしはその国の頂点だから~、あなたの考えを当てるなんて何の造作もないこと」


 イアンの前では考えがばれていると思って間違いがなさそうだ。


 そういえば、日本の妖怪でサトリというものがいた。


 差はあるだろうが、相手の考えが読めるという点では似通っている。


「何の確証もないのに罰するようなことはしないわ~。


 でも、もし竜の宰相さんや小姓さんにあなたが竜人ではなく人間だと知られたときにどうなるかは全然想像がつかないのよ~」


 グラヴィスさんは王に相応しくないものは殺していた。


 俺が人間だと知ればどうするのか、考えただけでも恐ろしかった。
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