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第一章

場所の特定

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 ダリウス君は一切の迷いなくどこかへと向かっている。


 グラヴィスさんがどこにいるのかを知っているように見える。


「何?


 さっきからオレの顔ジロジロ見ないでくれる?


 うっとおしいんだけど」


「ごめん。


 ダリウス君はグラヴィスさんがどこにいるのか分かってて歩いているような気がして…。


 不思議に思ってたら顔をずっと見てしまってたみたいだ」


 俺が言うとダリウス君は何を言っているのか分からないという風に顔をしかめた。


「オレがグラヴィスさんの居場所を分からないことの方が訳分かんないよ」


 何かよくわからない超理論が飛び出た気がした。


「オレ将来はグラヴィス様が今何してて、何のこと考えてるのか分かるようになりたいんだ」


 少し恥ずかしげな表情に決意のこもった目をしているが、語っていることは変態紛いなことだ。


 ダリウス君がこうなのをグラヴィスさんは知っているのか?


 何とも言えない気持ちになりながら、ダリウス君の語るグラヴィスさんの武勇伝を聞き流した。 


 相づちを一応打ってはいるがかなり適当なものであるのに気づく様子もない。




 一つの重厚な扉の前にダリウス君が立ち止まった。


「ここだよ。


 ここにグラヴィス様がいる」


 これで中に本当にいたら、失笑ものだな。


 俺はこの扉の中にグラヴィスさんがいるとは思っていない。


 ダリウス君はグラヴィスさんのいる場所を当てられると言っているが俺は微塵も信用していない。


 重そうに見えた扉を簡単にダリウス君が開けた。

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