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14話 ササリアの本音 3
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【ササリア視点】
「ボルドーお前は……ササリア嬢を精神的に支配していた、ということか?」
「め、滅相もありません、兄上! 決してそのようなことは……!!」
フリージア姉さまにはちゃんと、私の真意が伝わっていたようで安心した。先ほどんからの何回かの目配せが功を奏したと言えるだろうか。
「そうですね、ジスパ様。ボルドー様は第四王子殿下という立場を利用し……妹のササリアを精神的に逆らえないようにしていたのだと思います」
「な、何を言っているのだ、フリージア! 意味が分からないぞ……!」
実際問題として、精神的な支配を受けていたという程ではないけれど、姉さまも容赦する気はないようだ。まあ、ボルドー王子殿下が完全に悪だし、彼が何を言っても今更覆ることはないだろう。ボルドー王子殿下は王家に居てはいけない種類の人間だというのは間違いないし。
私達の復讐も兼ねて、最大限の罪を負ってもらおうと思う。さてと、後は私が真実を述べれば済む話だ。
「ササリア……とても言いにくいことだとは思うけれど、後のことは考えずに正直に答えて! あなたは好きでボルドー様と一緒になったの……? そこに真実の愛は存在していたの?」
「姉さま……」
私はそこで敢えて、相当に時間を置くことにした。まるで心の奥の鎖を必死で断ち切る様を描くように、勇気を振り絞って、ボルドー・ウィクリフという悪漢から逃げ出す少女を演じている。そして、絞り出すように言葉を出した。
「いいえ、真実の愛など存在しておりません……申し訳ありません。今までの言葉は嘘でした、ボルドー様に逆らうとイルハート家がどうかなってしまうのではないかと怖くて……フリージア姉さまにも多大な迷惑を掛けると」
「ササリア……あなたは……」
「だから、今までボルドー王子殿下の命令に従ってきました……!」
「お、おい……待ってくれ、ササリア……?」
ボルドー王子殿下はとても焦っているようだ。血の気が引いているのが分かる。でも、私は止まることはしなかった。これは身勝手な彼に対する復讐なのだから。
「ボルドー様は私を精神的に支配しています……!! 王家にこのような人間が居るなんて、とても信じられません……!」
「ササリア!」
「姉さま!」
私とフリージア姉さまは力強く抱き合った。この部分は演技でも何でもない……姉さまと心が通じ合った証、その喜びを体現したのだ。さようなら、ボルドー王子殿下。あなたは姉さまに酷いことをした……もう、終わりですよ。
「ボルドーお前は……ササリア嬢を精神的に支配していた、ということか?」
「め、滅相もありません、兄上! 決してそのようなことは……!!」
フリージア姉さまにはちゃんと、私の真意が伝わっていたようで安心した。先ほどんからの何回かの目配せが功を奏したと言えるだろうか。
「そうですね、ジスパ様。ボルドー様は第四王子殿下という立場を利用し……妹のササリアを精神的に逆らえないようにしていたのだと思います」
「な、何を言っているのだ、フリージア! 意味が分からないぞ……!」
実際問題として、精神的な支配を受けていたという程ではないけれど、姉さまも容赦する気はないようだ。まあ、ボルドー王子殿下が完全に悪だし、彼が何を言っても今更覆ることはないだろう。ボルドー王子殿下は王家に居てはいけない種類の人間だというのは間違いないし。
私達の復讐も兼ねて、最大限の罪を負ってもらおうと思う。さてと、後は私が真実を述べれば済む話だ。
「ササリア……とても言いにくいことだとは思うけれど、後のことは考えずに正直に答えて! あなたは好きでボルドー様と一緒になったの……? そこに真実の愛は存在していたの?」
「姉さま……」
私はそこで敢えて、相当に時間を置くことにした。まるで心の奥の鎖を必死で断ち切る様を描くように、勇気を振り絞って、ボルドー・ウィクリフという悪漢から逃げ出す少女を演じている。そして、絞り出すように言葉を出した。
「いいえ、真実の愛など存在しておりません……申し訳ありません。今までの言葉は嘘でした、ボルドー様に逆らうとイルハート家がどうかなってしまうのではないかと怖くて……フリージア姉さまにも多大な迷惑を掛けると」
「ササリア……あなたは……」
「だから、今までボルドー王子殿下の命令に従ってきました……!」
「お、おい……待ってくれ、ササリア……?」
ボルドー王子殿下はとても焦っているようだ。血の気が引いているのが分かる。でも、私は止まることはしなかった。これは身勝手な彼に対する復讐なのだから。
「ボルドー様は私を精神的に支配しています……!! 王家にこのような人間が居るなんて、とても信じられません……!」
「ササリア!」
「姉さま!」
私とフリージア姉さまは力強く抱き合った。この部分は演技でも何でもない……姉さまと心が通じ合った証、その喜びを体現したのだ。さようなら、ボルドー王子殿下。あなたは姉さまに酷いことをした……もう、終わりですよ。
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