47 / 59
46話 国王陛下とマグロ様 2
しおりを挟む
【マグロ・フォルクス公爵視点】
「マグロ・フォルクス参りました……」
「良く来てくれたね、フォルクス公爵。まあ、適当に楽にしていいよ」
「畏まりました、ありがとうございます」
イオン国王陛下は話し方も幼いというか……ラフな印象を受ける。特別幼い話し方ではないが、そう見えるのは少年のようなその見た目からだろう。シグレ王子殿下やネルファ王女殿下の父上だとは、見た目からではとても判別が出来ない。
「こうして国王陛下にお会いできましたこと、至上の喜びであります」
「いいよいいよ、そんな杓子定規な挨拶は不要さ。まあ、フォルクス公爵の立場からすれば、仕方ないのかもしれないけどね」
「いえ、とんでもないことでございます」
「国王陛下への謁見とは言っても、君は身内みたいなものなんだし、そんなに固くならなくて大丈夫だよ」
「あ、ありがとうございます……陛下」
身内か……とても良い響きだ。イオン国王陛下を味方に付けられる可能性が増えたのかもしれない。シエナの奴はこの謁見に反対していたけれど……やっぱり来て良かった。あの女は僕の婚約者には向かないな。
「陛下……もう少し厳格な態度を取っていただかないと、他の者に示しが付きませんが……」
「大丈夫だよ、ヴァイス大臣。フォルクス公爵は信用できる……私の目に狂いはないはずだから。心配はないさ」
「し、しかし……」
「まったく心配性だね、大臣は……あはははは」
ジノトール・ヴァイス大臣参謀も頭を抱えている……なかなか大変そうだな。でも、僕となら気が合う仲間になりそうだ。ふふ……もしも、この国王陛下を上手く操れたりすれば……王国の実権は僕が握れるかもしれない。
「陛下、ヴァイス大臣が困っていらっしゃいますよ……はははっ」
「あはは、これはいけないや……ヴァイス大臣、ごめんね」
「いえ、特に構いませんが……」
イオン国王陛下との謁見はほとんど経験がないけれど、やはりというのか……幼い印象は拭えないな。なんとなくシンパシーを感じたし、味方に付けるのは簡単かもしれない。ふふふふ……。
「そういえば、本日の用件だけれど……フォルクス家の管理下について、取り消し要望だったっけ? ふ~ん……」
「は、はい……実はその通りでございまして……」
僕は事前に国王陛下に渡していた資料を、彼が読んでいることを確認していた。イオン国王陛下の適当さ、幼さを考慮すれば、このくらいの嘆願書はすぐに納得してもらえるはず……。
「……」
あれ? なんだろうおかしいな……さっきまでは確かに、適当さを感じていたんだけれど。資料を読んでいる彼の姿はまさしく「国王」の態度だった……。う、上手くいくよね……?
「マグロ・フォルクス参りました……」
「良く来てくれたね、フォルクス公爵。まあ、適当に楽にしていいよ」
「畏まりました、ありがとうございます」
イオン国王陛下は話し方も幼いというか……ラフな印象を受ける。特別幼い話し方ではないが、そう見えるのは少年のようなその見た目からだろう。シグレ王子殿下やネルファ王女殿下の父上だとは、見た目からではとても判別が出来ない。
「こうして国王陛下にお会いできましたこと、至上の喜びであります」
「いいよいいよ、そんな杓子定規な挨拶は不要さ。まあ、フォルクス公爵の立場からすれば、仕方ないのかもしれないけどね」
「いえ、とんでもないことでございます」
「国王陛下への謁見とは言っても、君は身内みたいなものなんだし、そんなに固くならなくて大丈夫だよ」
「あ、ありがとうございます……陛下」
身内か……とても良い響きだ。イオン国王陛下を味方に付けられる可能性が増えたのかもしれない。シエナの奴はこの謁見に反対していたけれど……やっぱり来て良かった。あの女は僕の婚約者には向かないな。
「陛下……もう少し厳格な態度を取っていただかないと、他の者に示しが付きませんが……」
「大丈夫だよ、ヴァイス大臣。フォルクス公爵は信用できる……私の目に狂いはないはずだから。心配はないさ」
「し、しかし……」
「まったく心配性だね、大臣は……あはははは」
ジノトール・ヴァイス大臣参謀も頭を抱えている……なかなか大変そうだな。でも、僕となら気が合う仲間になりそうだ。ふふ……もしも、この国王陛下を上手く操れたりすれば……王国の実権は僕が握れるかもしれない。
「陛下、ヴァイス大臣が困っていらっしゃいますよ……はははっ」
「あはは、これはいけないや……ヴァイス大臣、ごめんね」
「いえ、特に構いませんが……」
イオン国王陛下との謁見はほとんど経験がないけれど、やはりというのか……幼い印象は拭えないな。なんとなくシンパシーを感じたし、味方に付けるのは簡単かもしれない。ふふふふ……。
「そういえば、本日の用件だけれど……フォルクス家の管理下について、取り消し要望だったっけ? ふ~ん……」
「は、はい……実はその通りでございまして……」
僕は事前に国王陛下に渡していた資料を、彼が読んでいることを確認していた。イオン国王陛下の適当さ、幼さを考慮すれば、このくらいの嘆願書はすぐに納得してもらえるはず……。
「……」
あれ? なんだろうおかしいな……さっきまでは確かに、適当さを感じていたんだけれど。資料を読んでいる彼の姿はまさしく「国王」の態度だった……。う、上手くいくよね……?
15
お気に入りに追加
4,480
あなたにおすすめの小説

どーでもいいからさっさと勘当して
水
恋愛
とある侯爵貴族、三兄妹の真ん中長女のヒルディア。優秀な兄、可憐な妹に囲まれた彼女の人生はある日をきっかけに転機を迎える。
妹に婚約者?あたしの婚約者だった人?
姉だから妹の幸せを祈って身を引け?普通逆じゃないっけ。
うん、まあどーでもいいし、それならこっちも好き勝手にするわ。
※ザマアに期待しないでください

【完結】亡くなった人を愛する貴方を、愛し続ける事はできませんでした
凛蓮月
恋愛
【おかげさまで完全完結致しました。閲覧頂きありがとうございます】
いつか見た、貴方と婚約者の仲睦まじい姿。
婚約者を失い悲しみにくれている貴方と新たに婚約をした私。
貴方は私を愛する事は無いと言ったけれど、私は貴方をお慕いしておりました。
例え貴方が今でも、亡くなった婚約者の女性を愛していても。
私は貴方が生きてさえいれば
それで良いと思っていたのです──。
【早速のホトラン入りありがとうございます!】
※作者の脳内異世界のお話です。
※小説家になろうにも同時掲載しています。
※諸事情により感想欄は閉じています。詳しくは近況ボードをご覧下さい。(追記12/31〜1/2迄受付る事に致しました)

俺はお前ではなく、彼女を一生涯愛し護り続けると決めたんだ! そう仰られた元婚約者様へ。貴方が愛する人が、夜会で大問題を起こしたようですよ?
柚木ゆず
恋愛
※9月20日、本編完結いたしました。明日21日より番外編として、ジェラール親子とマリエット親子の、最後のざまぁに関するお話を投稿させていただきます。
お前の家ティレア家は、財の力で爵位を得た新興貴族だ! そんな歴史も品もない家に生まれた女が、名家に生まれた俺に相応しいはずがない! 俺はどうして気付かなかったんだ――。
婚約中に心変わりをされたクレランズ伯爵家のジェラール様は、沢山の暴言を口にしたあと、一方的に婚約の解消を宣言しました。
そうしてジェラール様はわたしのもとを去り、曰く『お前と違って貴族然とした女性』であり『気品溢れる女性』な方と新たに婚約を結ばれたのですが――
ジェラール様。貴方の婚約者であるマリエット様が、侯爵家主催の夜会で大問題を起こしてしまったみたいですよ?

本日より他人として生きさせていただきます
ネコ
恋愛
伯爵令嬢のアルマは、愛のない婚約者レオナードに尽くし続けてきた。しかし、彼の隣にはいつも「運命の相手」を自称する美女の姿が。家族も周囲もレオナードの一方的なわがままを容認するばかり。ある夜会で二人の逢瀬を目撃したアルマは、今さら怒る気力も失せてしまう。「それなら私は他人として過ごしましょう」そう告げて婚約破棄に踏み切る。だが、彼女が去った瞬間からレオナードの人生には不穏なほつれが生じ始めるのだった。
拝啓、婚約者様。ごきげんよう。そしてさようなら
みおな
恋愛
子爵令嬢のクロエ・ルーベンスは今日も《おひとり様》で夜会に参加する。
公爵家を継ぐ予定の婚約者がいながら、だ。
クロエの婚約者、クライヴ・コンラッド公爵令息は、婚約が決まった時から一度も婚約者としての義務を果たしていない。
クライヴは、ずっと義妹のファンティーヌを優先するからだ。
「ファンティーヌが熱を出したから、出かけられない」
「ファンティーヌが行きたいと言っているから、エスコートは出来ない」
「ファンティーヌが」
「ファンティーヌが」
だからクロエは、学園卒業式のパーティーで顔を合わせたクライヴに、にっこりと微笑んで伝える。
「私のことはお気になさらず」

〖完結〗では、婚約解消いたしましょう。
藍川みいな
恋愛
三年婚約しているオリバー殿下は、最近別の女性とばかり一緒にいる。
学園で行われる年に一度のダンスパーティーにも、私ではなくセシリー様を誘っていた。まるで二人が婚約者同士のように思える。
そのダンスパーティーで、オリバー殿下は私を責め、婚約を考え直すと言い出した。
それなら、婚約を解消いたしましょう。
そしてすぐに、婚約者に立候補したいという人が現れて……!?
設定ゆるゆるの、架空の世界のお話しです。

手放したくない理由
ねむたん
恋愛
公爵令嬢エリスと王太子アドリアンの婚約は、互いに「務め」として受け入れたものだった。貴族として、国のために結ばれる。
しかし、王太子が何かと幼馴染のレイナを優先し、社交界でも「王太子妃にふさわしいのは彼女では?」と囁かれる中、エリスは淡々と「それならば、私は不要では?」と考える。そして、自ら婚約解消を申し出る。
話し合いの場で、王妃が「辛い思いをさせてしまってごめんなさいね」と声をかけるが、エリスは本当にまったく辛くなかったため、きょとんとする。その様子を見た周囲は困惑し、
「……王太子への愛は芽生えていなかったのですか?」
と問うが、エリスは「愛?」と首を傾げる。
同時に、婚約解消に動揺したアドリアンにも、側近たちが「殿下はレイナ嬢に恋をしていたのでは?」と問いかける。しかし、彼もまた「恋……?」と首を傾げる。
大人たちは、その光景を見て、教育の偏りを大いに後悔することになる。
お二人共、どうぞお幸せに……もう二度と勘違いはしませんから
結城芙由奈@コミカライズ発売中
恋愛
【もう私は必要ありませんよね?】
私には2人の幼なじみがいる。一人は美しくて親切な伯爵令嬢。もう一人は笑顔が素敵で穏やかな伯爵令息。
その一方、私は貴族とは名ばかりのしがない男爵家出身だった。けれど2人は身分差に関係なく私に優しく接してくれるとても大切な存在であり、私は密かに彼に恋していた。
ある日のこと。病弱だった父が亡くなり、家を手放さなければならない
自体に陥る。幼い弟は父の知り合いに引き取られることになったが、私は住む場所を失ってしまう。
そんな矢先、幼なじみの彼に「一生、面倒をみてあげるから家においで」と声をかけられた。まるで夢のような誘いに、私は喜んで彼の元へ身を寄せることになったのだが――
※ 他サイトでも投稿中
途中まで鬱展開続きます(注意)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる